カテゴリ:コラム( 4 )


2008年 05月 31日

読書メモ

日本電産 永守イズムの挑戦 日本経済新聞社編
日本電産永守イズムの挑戦 (日経ビジネス人文庫 ブルー に 1-32)
日本経済新聞社

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【CFOならこう読む】
先日、村上龍のTV番組に永守さんが出ているのを見て、未読であったこの本を読んでみました。
日本電産が三協精機を買収した時に、永守さんが最初に本社で行った訓示がとても具体的で明確なものでした。以下私自身の備忘メモとして書き記します。

1.赤字は罪悪という意識の徹底と計画必達意識の向上
 ・会社はどんなことをしても黒字であること
 ・全部門、全事業の黒字化の達成
 ・決めたこと、約束したことは必ずやり遂げる
 ・厳しいリスク会議のデイリー開催(時間外開催)
 ・現場現物主義の徹底(メーカーの原点は現場にあり)
 ・営業利益率10%が健全経営の最低目標
 ・キャッシュフロー最重視経営(売上より利益、利益よりキャッシュフロー)
2.社員モラールの向上
(当たり前のことを当たり前にやれる社員集団)
 ・3Q6S=全職場80点以上(時間外自主活動による)
  3Q=Quality Worker、Quality Company、Quality Products
  6S=整理、整頓、清潔、清掃、作法、躾
 ・出勤率=全職場98%以上(まず、休まず遅れずが原点)
 ・競争力を保持できる年間労働時間への改定
 ・会議は時間外または休日に開催(緊急は除く)
 ・一人の100歩より100人の一歩(全員参加の経営)
 ・日々完結の経営の徹底(今日のことは今日中にして帰る)
3.「経営五大項目プラス二」の徹底管理
 ・品質=50PPM(百万分の一)<二万分の一の意味>以下
 ・材外費=最終売価の50%以下
 ・在庫=0.4ヶ月以下
 ・生産性=従業員一人当たり百万円/月以上の付加価値高
 ・経費=一人当たり付加価値高の25%以下(売上1億円当たり5百万円以下)
  -売掛金=45日以下(回収は早く、支払いは遅く)
  -遊休資産=有効活用の徹底、または売却の強力促進
4.営業マン一人当たりの訪問件数
 ・営業部門は会社の機関車の役目を果たすこと
 ・訪問百件/月以上(うち、新規開拓30件以上)
5.三大精神の厳守
(情熱・熱意・執念、すぐやる・必ずやる・出来るまでやる・知的ハードワーキン
グ)
 ・開発スピード=3倍アップ
 ・製造部門生産性=2倍アップ
 ・直間比率=50%改善
6.購買力の徹底強化
(利は元にあり)
 ・仕入先からの接待や贈答品の受け取りの厳禁
 ・3~5ステップネゴの徹底(世界一のコスト追求)
 ・前回比低減の徹底(全員参加によるコストネゴ)
7.実力実績の人事・賃金体系の確立
 ・学歴・年齢・社歴に関係ない人材登用を実行
 ・経営感性を持った人物の抜擢
 ・利益貢献度と業績変化率重視の人事評価の徹底
 ・競争原理の働いている賃金制度の確立
 ・グローバル社員の優遇制度の実施
 ・ぶら下がり社員の再教育と再指導の徹底(怠け者は去っていく、良貨が悪貨を駆逐する社風)
8.スピード感のある決裁体制づくり
 ・経営幹部が即断即決で方向性を指示
 ・営業部門と開発・生産各部門の同期体制確立(営業は働いている時間に他の全ての部門が対応、マーケット順応を最重視)
 ・幹部の率先垂範体制(自ら手を汚す)
 ・QCDSSS(クオリティ、コスト、デリバリー、サービス、スピード、スペシャライゼーション(顧客の要望を満たした特殊化)を最優先する組織と人事対応
 ・日本電産グループの全面支援体制(共同購買や販売支援の強化)

by yasukiyoshi | 2008-05-31 10:46 | コラム
2008年 03月 17日

休載します

本日は、ニュースの更新をお休みしてコメントに返信しました。
なかなかタイムリーに返信できませんが、今後もこのブログが議論の場になればと思います。

by yasukiyoshi | 2008-03-17 09:08 | コラム
2008年 03月 05日

「会社は公器」それを体現するもの

先日、株主重視と公器としての会社のあり方についてコメントをいただきました。
よい機会なので、なぜ株主を大切にすることが会社経営上、重要な視点となるのかまとめておきます。

「企業は社会の公器である」という経営理念は松下電器のものです。その松下電器の創業者は株主重視を口にしていたそうです。森下洋一社長(当時)は、日経産業新聞(1999年6月7日)のインタビューの中で次のように答えています
「もともと松下は株主を大事にする意識の高い会社でした。ただ社内に意識が浸透していても、時には希薄になることもある。CCM(EVAに近い業績評価指標。筆者注)を取り入れることが、株主のために企業価値を向上させようとの意識を徹底することにつながる。」
株主重視とは、株主だけが大事であるという意味では決してありません。私はそういう意味で株主重視という言葉を使ったことは一度もありません。顧客、取引先、従業員など他のステークホルダーが満足していないと残余利益である株主利益を長期的に創造し続けることはできないためです。つまり利益配分の順位が最も低い株主価値を重視するということは、全てのステークホルダーに目配りをして経営することに他ならないのです。

さらに言うと私は、株主のほとんどが個人(又は個人に対し受託者責任を負う機関投資家)で、老後の年金も子供が行く大学も病院も株式市場を頼る状況こそが、「企業は社会の公器である」という究極の姿だと思っています。この点について「株式会社はどこに行くのか」の中の上村達男氏の言葉を引用させてください。
「アメリカで株主が強いといわれているのは、市民社会の力が強いことの反映であることに思いをいたさなければ、アメリカの資本市場と株式会社を理解することはできません。個人投資家中心のアメリカにおいて、資本市場と市民社会の反映であり、株主とはそうした市民を意味しているのです。会議体としての株主総会が機能しなくても、投資家と呼ばれている人々が市民として強力に企業社会と資本市場を監視していることが大事なのです。」
苦言を一言。私は私のブログを常識ある大人のCFO及びCFO予備軍のために書いています。初めてコメントする場合は、まずは挨拶からお願いします。それが最低限の大人のマナーだと思います。

by yasukiyoshi | 2008-03-05 08:21 | コラム
2007年 11月 24日

「CFOニュース」を始めた理由

今日は3連休の中日です。読みほぐしたいニュースも特にないので、今日は少し趣向を変えて、このブログ「CFOのための読みほぐしニュース」を始めた理由について少しお話ししたいと思います。

日本では「CFO」という役職にまだまだ馴染みが薄く、「財務経理担当取締役」や「管理本部長兼取締役」のことを米国ではCFOというのだろう、という位の認識しかない人がほとんどです。

米国でさえCFOが脚光を浴びるようになったのは比較的最近のことで1990年以後です。1993年に米国のフォーチューンという雑誌が、市場型資本主義の時代を象徴する新しいヒーローとして「スーパーCFO」の特集記事を掲載しました。その特集記事を読むと米国の「CFO」とはどのようなものであるかわかるので、少し紹介したいと思います。
「スーパーCFOが単なる伝統的な「帳簿係」と決定的に異なるのは、その守備範囲が非常に広範な点にある。従来型のCFOはまるで帳簿の記入欄のような狭い世界で豆の数をチェックし、アニュアル・レポートを作成し、誰かが提案した設備投資案件を精査することに終始していた。しかし現代のスーパーCFOは最高級のゼネラル・マネージャーであり、財務戦略やディール・メイキングの専門家であることに加えて、業務全般にわたる該博な知識と鋭い経営戦略のセンスも兼備している。換言すれば、やり手のCFOは単に企業の価値創造のパフォーマンスを測定するだけでなく、価値創造そのものに深くかかわっている。」
(最強CFO列伝 井手正介日経BP社より)
e0120653_3455282.jpgそして「スーパーCFO」の代表選手として、コスト・カッターとして有名なIBMのCFOジェリー・ヨーク、ディズニーが190億ドルを投じて買収したキャピタル・シティーズ/ABCの案件を仕組んだステファン・ボーレンバック、そしてボーレンバックの師匠ゲリー・ウィルソン、採算の悪い新薬開発プロジェクトを正当化する公式を編み出したメルク社のクウォンツCFOジュディ・ルウェント、GEの21世紀に向けた事業ポートフォリオ構築の中心人物デニス・ダマーマンをインタビューを交え詳細に紹介しています。


e0120653_3463064.jpg彼らの報酬は数億円、ときには10億円を超えます。そんな「スーパーCFO」はまだ日本に存在しません。政官財が雇用を最優先に戦後奇跡的な復興を遂げるために、全ては“政策的に”にヒト、モノ、カネを動かしてきた日本では、“市場”も彼らの道具にすぎなかったのです。資金の循環は彼らの手先である銀行が一手に担っていたので、“株式市場”が機能する必要性は特になかったのです。しかしバブル崩壊とともに全ては吹き飛びました。今、日本は、好むと好まざるとグローバルな市場型資本主義の渦に巻き込まれようとしています。そしてそんな新しい時代に価値創造の担い手としての「スーパーCFO」の登場が待たれているのです。


e0120653_3465534.jpgしかし「財務経理担当取締役」が「スーパーCFO」に成長するためには多くのことを学ばなければなりません。自分の所属する会社のビジネス、競争戦略上の強み・弱み、バリューチェーンを完璧に理解した上で、会計、税法、会社法、金商法、ファイナンス、ITといった分野の知識を道具として使いこなせなければなりません。そして何より“市場”に対する深い洞察が求められます。表層的な株主価値創造ではなく、市民主義ともいうべき成熟した市場型資本主義の時代に、真の意味での公共の利益を創造しなければならないのです。

これは大変なことです。「スーパーCFO」は、答えのない問題と日々格闘していくのです。誰にも相談出来ず、七転八倒しながら結果を出し続けなければならないのです。そんな「スーパーCFO」になるために研鑽を続ける人のために、“市場”が提供してくれる毎日のニュースを題材に、実践演習の場を作りたいと思ったのがこのブログを始めた理由です。

今の日本には市場型資本主義の進化に伴う多くの混乱が見られます。間違ったことが平然と行われています。そもそも会社法にだっておかしな所がたくさんあります。法を犯してなければいいだろうではすまないのです。でもそんな時代だからこそ考えるべき題材が巷にあふれています。そこから10年後も20年後も通用する本質的な知恵を身につけることが可能だと思ったのです。そしてまがりなりにも半年続けてきました。

毎朝、その日の新聞から何かひっかかるニュースを見つけ、ネット上でさらなる情報を入手し、考えるに値する問いを立て、そして自分なりに正しいと思える解答を導き出す…、正直言ってかなりきつい作業です。毎朝8時には娘を幼稚園まで送り届けに行かなければならないので、それまでに作業を終わらせなければなりません。なので時間的にもかなりタイトです。

ですが能動的に問いを立て、短い時間の中で筋道を立てて考えるという作業を毎日続けるのって、物凄く自分自身が鍛えられるのです。人ために役立ちたいと思って始めたことですが、結局これって一番自分のためになっているじゃんと最近は感じます。

だから当分続けていきます。もちろん究極の目標はこのブログの読者から一人でも多くの「スーパーCFO」を生み出すことです。
最強CFO列伝 ― 巨大企業を操るもう一人の最高権力者たち
井手 正介

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by yasukiyoshi | 2007-11-24 09:00 | コラム