吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

cfonews.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

<   2007年 06月 ( 37 )   > この月の画像一覧


2007年 06月 30日

上場企業M&A、最高の338件・TOBも6割増50件、1-6月

海外企業による買収や、業界・グループ再編などが活発で、
TOB(株式公開買い付け)件数も50件と過去最高になった。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070630AT1D2907H29062007.html

アサヒとカゴメ、トマト果汁の低アルコール飲料発売
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070630AT1D2904U29062007.html

(CFOならこう読む)
合併、株式交換、TOBといった支配権の移動を伴うもの以外にも
アサヒとカゴメのように物流網の相互利用や商品の共同開発を目的とした
緩やかな経営統合も増加しています。
自社の企業価値創造のための戦略として
他社との合従の機会をいかに見出していくかが非常に重要な時代です。
これからのCFOは単なるブックキーパーではなく、
戦略家でなければなりません。

M&Aの場面でも適切な価値評価を行い、スキームを構築し、
資金調達を行うといった全てのステージでCFOの役割は重大です。
常に目を光らせ、貪欲に勉強していかなければなりませんね。

by yasukiyoshi | 2007-06-30 09:07 | M&A
2007年 06月 30日

法人実効税率、日本がOECDで最高・6年連続

欧州では企業誘致をにらんだ税率の引き下げ競争が起きており、
ドイツも08年に実効税率を29%台に下げる予定だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070630AT3S2700R29062007.html

(CFOならこう読む)
ドイツが年内に税率を引き下げ、
実効税率が38.4%から29%台になります。
ドイツにしても日本同様外資を積極的に導入し、
ウィンブルドン化しないと国民の長期的かつ良好な雇用を確保できないことが明らかです。

そこで税率引き下げは有効ですが、
それ以上に日本企業全体が外資を積極的に受け入れる姿勢を示す必要があります。

しかし、最近の買収防衛策の議論を見ていると、
そういった日本の行くべき方向性やビジョンの視点が欠けているように思えてなりません。

by yasukiyoshi | 2007-06-30 09:00 | 税制
2007年 06月 29日

ブルドック、買収防衛策を容認・東京地裁

鹿子木康裁判長は「買収防衛策を決議した株主総会の判断が明らかに合理性を欠くとは認められず、著しく不公正ではない」として、スティールの申し立てを却下した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070629AT3Y2800528062007.html

(CFOならこう読む)
健全な資本主義社会において、
M&Aにおいて速やかに経営権が移動することは必須です。
したがって既存の経営者が自己の保身のために防衛することは
法的にも容認されるべきではありません。
ブルドックの買収防衛策が認められるなら、
多くの企業は株式の持合を復活し、
安定株主作りに勤しむことになるでしょう。

そうなれば日本の企業はまた一昔前の社会資本主義という状態に逆戻り、
外資の導入も進まず孤立することになるでしょう。
そのような問題意識から東京地裁の仮処分決定を検討してみました。

仮処分決定の骨子は次の通りです。

①今回の買収防衛策は買収者に適正な対価が交付され、株主平等原則に違反しない。
②買収防衛策の必要性判断は原則、株主総会に委ねられるべきだ。
③特別決議を経ても、防衛策の相当性は既存株主に与える不利益などから総合的に判断すべきだ。

ポイントとなるのは③です。

東京地裁は、

「株主総会による対抗手段であっても、
特定の買収者による経営支配権の取得を妨げるという目的に必要な範囲を超えて、
当該買収者又はその他の株主の利益を損なうことは許されないのであって、
株主総会が当該対抗手段を採るに至った経緯、
当該対抗手段が既存株主に与える不利益の有無及び程度、
当該対抗手段が当該買収に及ぼす阻害効果等を総合的に考慮して判断すべきである」

とした上で、

「本件においては、債権者関係者は、
現経営陣との買収に関する協議を経ることなく買付期間を約40日とする公開買付を開始して
おり、かつ、債権者関係者は、債権者の経営方針や投資方針等を明らかにしなかったので
あり、このような提案は現経営陣に代替案を提出する時間的余裕を与えないまま、
株主に公開買付に応ずるか否かの判断を迫るものであるといわねばならない」

としています。

つまり、株主に判断のための時間が与えられていない現状において買収防衛策の発動は
容認されると言っており、この点は妥当であると思います。
つまり、株主総会の特別決議を経たから買収防衛策の発動が認められると言っている
わけではないのです。

それではスティールはどう対抗すべきでしょう?

私の考えは“一旦TOBを取り下げ、企業価値向上策をきちんと説明し、
十分時間をとった上で再度TOBをかける”というものです。
そのとき株価が現状のまま維持するなら、スティールへの新株予約権の取得の対価
396円(当初のTOB価格の4分の1)に妥当性がなくなり、これを会社側は引き上げざる
を得なくなるでしょう。
会社としてはこれだけのキャッシュアウトを正当化することと買収防衛策を発動せず、
TOBを受けることとを測りにかけて、結局TOBを受けることを選択することになると思います。

いずれにしてもTOBは失敗に終わる可能性が高いと思いますが、
買収防衛策を発動してTOBを阻止するか、
TOBに応ずる株主がいなくてTOBが失敗に終わるかはそのプロセスにおいて大きく
異なります。
防衛策発動の悪しき実績を作らないためにもスティールにはもうひと踏ん張りしてもらい
たいところです。

by yasukiyoshi | 2007-06-29 09:09 | 買収防衛策
2007年 06月 28日

円建て外債の発行急増、6月は最高の8490億円

2007年1―6月累計では1兆2600億円となり、上半期としても2000年1―6月(9080億円)を上回り、現在と同様の集計が可能となった1998年以降では最大となる見込み。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2D27001%2027062007

(CFOならこう読む)
これも円キャリー取引と同様円安の一因であるというニュースです。
日米の金利差は縮まっていませんが、
日本の異常な低金利政策はそろそろ限界に近づいていて、
金利引き上げは時間の問題です。

そこで大きく円高にシフトするというのが素直な見方であろうと思います。
CFOとしては金利上昇局面におけるヘッジとともに
円高リスクへの対応を早急に計る必要があります。

by yasukiyoshi | 2007-06-28 08:31
2007年 06月 27日

エクイティファイナンス、上半期7割減・敵対的買収の増加警戒

敵対的買収の増加を背景に、浮動株が増えるエクイティを敬遠するムードが強まったほか、金利の上昇を見越して普通社債(SB)の発行を前倒しする動きが相次いだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2D25017%2026062007

(CFOならこう読む)
現在日経225銘柄のPERが約20倍となり、
妥当な水準の上限に近づきつつあります。
株価が割高となった段階で第三者割当増資を実施し、
割安となったところで自社株取得を行うのが財務戦略の常識です。

そうすると、多くの企業は今こそエクイティファイナンスを行うべきときでしょう。
最適資本構成を追求する中で今は社債で資金調達すべき
であるという判断は十分にあり得るとは思いますが、
記事にあるように敵対的買収の増加を背景に、
浮動株が増えるエクイティファイナンスを敬遠するムードが強くなったということなら、
その会社の経営陣は全く企業価値を志向していない証左であると見られても
仕方がないところだと思います。
いずれにしても常に説明責任を問われる時代であることはくれぐれもお忘れなきように。

by yasukiyoshi | 2007-06-27 08:27
2007年 06月 26日

グッドウィル、最大200億円の資金調達

資金調達は自己資本の増強が目的で、
調達資金は国内外の人材派遣事業の運転資金に充てるという。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070625AT1D2509O25062007.html

グッドウィル:不利な条件で予約権発行 ドイツ銀行に
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070626k0000m020086000c.html

(CFOはこう読む)
最低資本調達金額保証型ファイナンス(FBF)による資金調達です。
これは要するに時価の95%の価格で普通株式に転換される新株予約権であり、
株主価値を毀損する点でMSCBと大差ありません。

実際、7月1日より施行される日本証券業協会の
「会員におけるMSCB等の取扱い」では
FBFを「MSCB等」として規制対象とすることになっています。

それにしてもこの期に及んで株主価値を大きく毀損する資金調達を
その経済的効果をきちんと(わかりやすく)開示することなく行うことに
憤りを感じます。

それにしても、これって有利発行にならないのでしょうか?
条件から考えると新株予約権の価値がとても低いように思います。
第三者割当増資の場合の有利発行の基準は、時価を10%以上下回る
場合とされており、グッドウィルの事例は新株予約権と合わせて時価の
5%しか下回らないので有利発行とはならないとの判断があるのかも
しれませんが、新株予約権は本来それ自体で評価されるべきものである
との判決がライブドア事件のときにあったはずです。
有利発行であるなら、当然株主総会の特別決議が必要となります。

by yasukiyoshi | 2007-06-26 08:19
2007年 06月 25日

買収防衛策の発動承認・ブルドック総会、有効性を司法判断へ

スティールに対抗するため経営陣が提案した買収防衛策の発動は、8割超の賛成票を得て可決された。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070624AT2D2400124062007.html

(CFOはこう読む)
決着は司法の場でということになります。
「特別決議なら裁判所は防衛策を認める」とみる専門家が多いとのことですが、
このような買収防衛策の発動は絶対に認められるべきではないというのが私の考えです。

企業価値報告書は、防衛策の適法性について、

①企業価値への脅威の存在
②脅威に対する防衛策の妥当性
③防衛策の維持・発動・解除に関する取締役会の慎重かつ適切な行動

を判断の基準として掲げています。


今回のスティール・パートナーズのTOBが企業価値を明らかに毀損するもの
であることをブルドック経営陣は立証していません。
立証していない以上、脅威の存在を前提にした防衛策の発動は認められません。
そもそも特別決議を可決するだけの賛同を株主から得られているのですから、
正々堂々とTOBを受けるべきです。

そして今回賛成票を投じた安定株主の方々も、自社の株主に対し
PER60倍を超える高価格のTOBに応じない理由をきちんと説明すべきです。
上場会社は株主を選べません。例外は、株主その他のステークホルダー
の価値が明らかに毀損するような敵対的買収者を排除する場合に限られます。

今回の司法判断の中で、スティールが企業価値を毀損する敵対的買収者
に該当するか否かの判断があるかどうかわかりませんが、
脅威の存在と脅威に対する防衛策の妥当性という点から、
防衛策発動差し止めの判決があることを期待します。

以前述べたように、“買収防衛策は抑止力であって発動されることが
あってはならない“のです。

by yasukiyoshi | 2007-06-25 08:58 | 買収防衛策
2007年 06月 23日

ソフトバンク社長「今は配当より成長」

ソフトバンクの孫正義社長は22日に開いた株主総会で「まだ成長できる。今は配当より成長」と述べ、当面は投資に軸足を置く考えを明らかにした。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D220BK%2022062007&g=S1&d=20070622

(CFOはこう読む)
ファンドに増配を迫られる会社が急増する中、自社の配当政策を中長期の経営計画と関連させた形できちんと取締役会で議論する必要があります。配当政策は孫社長が言うように成長ステージや資金需要によって異なるもので、増配=株主価値重視というような単純な構図ではないことを理解する必要があります。ファンドに増配を迫られている会社は、資本コストを上回る投資機会がないため余剰資金が積み上がっている会社です。このような会社は資金を株主に還元し、株主自身が別の投資機会を探す方が株主の富が増加するのです。一方資本コストを上回る投資機会(=NPVがプラスの投資機会)が存在する会社は無配であったとしても株主価値を創造し続けているので全く問題がありません。ソフトバンクがどうであるかは知りませんが…。

by yasukiyoshi | 2007-06-23 08:25 | 配当政策
2007年 06月 22日

特許権など無形資産の課税範囲例示・移転価格税制で国税庁

企業が海外子会社との取引であげた利益への課税を調整する「移転価格税制」について、国税庁は新たな運用指針を月内に公表する。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070622AT3S2101521062007.html

(CFOはこう読む)
移転価格税制とは、日本企業が税率の低い海外子会社との
取引で取引価格を通常より安くすることにより、
日本の利益を海外に移転し、課税所得を総額で減らしている
企業の取引価格を通常の価格にひき直して課税することを目的とした税制です。

日本本社の持つ特許権やブランドなど本社が持つ無形資産を
海外子会社が無償又は廉価で使用している場合にも移転価格税制の
対象となりますが、国税庁はこれまであいまいであった対象となる
無形資産の範囲を明確にするとのことです。

移転価格税制で追徴課税されると、海外子会社が納めた税金は
進出先の国から返してもらうことができますが、
その場合は日本と相手国の協議が必要で、協議には時間がかかります。

また英語による膨大な資料の提出が求められ、
その作成コストも馬鹿になりません。
大手会計事務所系の税理士法人は、
どこも移転価格税制のコンサルティングに力を入れているので、
心配な企業は一度相談に行かれると良いと思います。

by yasukiyoshi | 2007-06-22 08:52 | 税制
2007年 06月 22日

サンリオ、中期計画が大幅未達 希薄化進み株低迷

二十一日の株主総会で経営責任を問う声もあがりそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/ks/topnews/20070621f1a6l000_21.html

(CFOはこう読む)
6月21日の株主総会で「株価が不満だ」とする株主に対し
辻社長は「売るから安くなる」「全部売るから安くなる」
と応じたそうです。

売るから安くなる…?!

こんなことを株主総会で言う社長って、それだけで資質が疑われます。
笑いをとるつもりだったんでしょうか。

by yasukiyoshi | 2007-06-22 08:47