吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 08月 31日

社債、上乗せ金利拡大・サブプライム問題の余波

米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した世界的な信用収縮懸念を受け、日本企業の資金調達コストが上昇し始めた。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070831AT2C3003X30082007.html


(CFOならこう読む)

企業の社債スプレッド幅(国債に対する上乗せ金利)が
2倍に広がっているというニュースです。

これは資金調達コストが上昇していると見るのは正しくないと思います。
信用収縮を受けて長期金利(10年国債利回り)が大きく低下しています。
右のグラフを見ればわかるように、
サブプライム問題以前は1.9%を超えていた長期金利が1.5%まで低下しています。
つまりスプレッド幅が2倍になっているとしても社債金利は低下しているのです。

今後日本の金利は間違いなく上昇していきますので、
サブプライム問題を受けて長期金利が低下している今は、
絶好の起債のチャンスだと思います。

by yasukiyoshi | 2007-08-31 08:52 | 資本コスト
2007年 08月 31日

ブルドック、事前警告型買収防衛策を導入

20%以上の議決権保有を目指して株式を買い付ける投資家が現れた際に独立委員会で買収防衛策の発動の是非を検討する。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D3009S%2030082007


(CFOならこう読む)

リヒテンシュタインさん、
ブルドックさんが打ち出の小槌をプレゼントしてくれましたよ。

今度は企業価値創造に向けた具体的な計画を提示し、
魅力的なTOB価格を提示してくださいね。
きっとブルドックさんはその価格に見合った
小判をプレゼントしてくれますよ。

by yasukiyoshi | 2007-08-31 08:49 | M&A
2007年 08月 30日

金融庁:税制要望まとめる

株式の配当と譲渡益にかかる税率は現在、本来の20%から10%に軽減されているが「貯蓄から投資」の流れを定着させ、金融・資本市場の国際競争力を強化するため、現行税率の維持が不可欠として恒久化を求める。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20070830k0000m020119000c.html


(CFOならこう読む)

証券市場がきちんと機能するためには
一般投資家を増やしていくことが決定的に重要です。
そういう意味で軽減税率の維持の恒久化は不可欠でしょう。

これに対し民主党は「金持ち優遇」と批判している
との記事がありましたが(2007年8月30日「日本経済新聞」朝刊3面)、
将来展望に欠けた主張と言わざるを得ません。

すべての日本国民が個別銘柄、投資信託、年金等形態は様々でも、
株式への投資を増やしていくことが、
日本がまともな資本主義国家として生きていくための必須条件なのです。
証券投資は「金持ち」だけがするものでは決してないのです。

by yasukiyoshi | 2007-08-30 08:12 | 税制
2007年 08月 29日

新日鉄、自社株買いで「筆頭株主」に。6月末7.5%に

新日本製鉄が保有する自社株(金庫株)数が6月末時点で、
筆頭株主を上回ったことが明らかになった。
株主への利益配分策として自社株買いを積極的に行っているためだ。
世界最大手のアルセロール・ミタルの誕生以来、鉄鋼業界は再編が進んでいる。
自社株買いにより、市場で流通する株式を減らし、
敵対的な買収に備える狙いがある。
(「日本経済新聞」2007年8月29日(水)朝刊11面)
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070829AT1D2807V28082007.html



(CFOならこう読む)
敵対的買収防衛のために自社株買いを進めているというのが本当なら大問題です。

自社株買いにより、株価に反映されていない余剰現金を
株主に還元することにより株主価値を高め、
ファイナンシャルバイヤーの敵対的買収を防ぐというのならわかります。

しかし一般投資家の持株割合を減らし、
持合株式の比率を上げることにより敵対的買収を防ぐのは、
経営者が支配権の帰趨を決定することになるので、到底許されません。

市場がきちんと機能していれば
(つまり市場のプレイヤーのほとんどが一般投資家であるなら)、
株価が大きく下がり経営陣の責任が問われるので、
こういう市場無視の方策はとれないのですが、
日本の市場はまだまだそこまで行っていないので、
厳格な規制を設ける必要があるのかもしれません。

最近読んだ『株式会社はどこへ行くのか』(上村達男/金児昭著、日本経済新聞出版社)
という本の中で、上村さんが次のように述べています。

「アメリカの場合、最大限の自由を経済活動に認める一方で、
最大限の規律を求めるというアプローチがとられています。
日本の株主主権論者の多くは前者のみに注目して、
後者については無視または軽視しています。
しかし両者は表裏一体であり、切り離して考えられるものではありません。
規律とは自由への制約ではなく、市場の成立条件が大半です。
日本の制度の水準はアメリカ並みになったという人もいますが、
こういう意味での規律がない自由は、
ブレーキの弱い自動車ですから、それならないほうがよいのです。
そこをはき違えている場合が多いように思います。」


確かに強大な権力を握る経営陣及びその予備軍に
いくらあるべき論を論じても通用しないでしょう。
日本経済の進むべき方向性を見据えた上で
規制を課していくことが必要であると思います。

by yasukiyoshi | 2007-08-29 08:45 | 自社株取得
2007年 08月 28日

取締役報酬が21%増

上場企業の取締役報酬が増えている。主要企業が2060年度に支払った
1人あたり取締役報酬額は6030万円と2005年度に比べ21%伸びた。
業績連動型の報酬制度が広がり、ここ数年の業績好調を反映している。

(「日本経済新聞」2007年8月28日(火)朝刊3面)


(CFOならこう読む)
記事によると、1人あたりの取締役報酬が最も多かったのは、
カルロス・ゴーン社長が率いる日産自動車で、2億7,980万円。

米国の経営トップの平均報酬は17億円。
業績不振が続く米ゼネラル・モーターズ(GM)の主要役員6人の報酬額は41億円、
1人当たり平均報酬額は6億8千万円。
これに対しトヨタの1人当たり平均役員報酬額は7,726万円にすぎず、
日本企業は米国企業と比べると報酬額は格段に少ない。

今後日本企業の役員報酬の水準はどうなっていくのでしょうか。
私は、「間違いなく米国の水準に近づいていく」と考えています。

ミクロ型(市場型)資本主義において最も希少な資源は「優秀な経営者」であり、
企業価値創造の一番の担い手であるので、
株主は株価が上がってさえいれば、
経営者がいくら報酬を取ろうが「NO」とは言わないのです。
これは必然です。

格差社会を是認するか否かを論じるとこに意味がありません。
大きな格差社会が間もなく到来するのです。
これが必然であることはプロ野球の世界を見ればわかると思います。
日本国内のプロ野球だけ規制しても意味はないのです。

であるなら経営者の一員であるCFOは、
大きな企業価値創造を達成し、何億円という報酬を獲得することを
自己の仕事と考えるべきでしょう。
そして、我々自身が市場で値付けされる、
そんな厳しい時代が来ることを前提に日々鍛錬する必要があるでしょう。

「毎日畳が擦り切れるほど素振りをしていますか?」

by yasukiyoshi | 2007-08-28 08:36
2007年 08月 27日

ティファニー銀座本店、ゴールドマンが坪1億8000万円で購入

米大手投資銀行のゴールドマン・サックスが米宝飾品大手のティファニーから東京都中央区の銀座本店ビルを約370億円で取得する。
http://markets.nikkei.co.jp/ranking/news/index.cfm?id=d2c2403j25&date=20070825&genre=c1

(CFOならこう読む)

すごい金額ですね。

東京の一等地の不動産価格の上昇は止まるところがありません。
長い目で見た場合、今後外資の日本進出が増えるにつれて
東京の商業地の需要は過熱していくことが予想されます。
したがってゴールドマンのつけた値段をもって「バブル」であると
言うことはできません。
ただしこれにつられる形で首都圏を中心に
住宅地の値段もあがっている点には注意が必要です。

少子化、高齢化が進む中で住宅の需要は
長期的に増加していくことはあり得ないと思います。

今後中古住宅が大量に余り、中古物件の市場が形成されるようになると思います。
そう考えると、今の住宅地の不動産は
すでに「バブル」であると言ってよいかもしれません。

by yasukiyoshi | 2007-08-27 08:40 | 不動産
2007年 08月 25日

防衛省、調達費抑制へ新方式・装備品契約、原価低減促す

製品をつくった後で、原価に5%の利益を上乗せする現行方式では企業の合理化努力が働きにくいと判断。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070825AT3S2401D24082007.html

(CFOならこう読む)
企業内の部門間の振替価格の問題に置き換えて
この記事を読むと面白いと思います。

振替価格の決め方として、
市価基準(市場で取引されている同種製品の市価に基づいて振替価格を決定する)と
原価基準(かかったコストに基づき振替価格を決定する)があります。

原価基準によると
供給部門に原価低減を促せないという欠点があると言われています。

今回防衛省が検討している方式は原価低減額分を
企業の取り分とするものです。
一見とても良い方法のように思えますが、
原価基準の一種であるこの方法にも次のような欠点があります。

第一に、原価低減に成功しても次回は原価低減後のコストに基づき
価格が決まるので、継続的な原価低減効果が働きづらい。
第二に、もともとの原価算定が供給部門の都合で行われているなら、
現状の振替価格でも供給部門では十分な利益が出ている。

第二の欠点を若干補足します。
原価計算における原価のうち
大きな部分を占める製造間接費の配賦には
もともと恣意性が入りやすいのです。
例えば間接費の配賦基準を100%操業を前提にするか、
当期の稼動予定を前提にするかによって配賦額は全く異なります。

記事の中で製造間接費について次のような記載があります。
「新方式の導入にあたって、原価を算出する仕組みを厳しくする。
具体的には、装備品を製造する設備の減価償却費や人件費など
製造間接費と呼ぶ費用について、
それぞれ項目ごとに算出して提示するよう求める。
これまでは人件費や減価償却の区別を求めていなかった。
民間航空機など防衛省以外の受注分も含めて
一定の計算式で間接費を算出していたため丼勘定との指摘もあった。」

そもそも直接費と間接費の区分すら極めて主観が入りやすい中で、
供給部門が製造間接費を膨らませて高い原価に基づき
振替価格を決めるのは容易なはずです。
仮に現状このようにして調達価格が決まっているとするなら、
企業の合理化努力を引き出すのは困難でしょう。

原価基準はそろそろ止めにして、
市価基準を積極的に採用すべきではないでしょうか。

by yasukiyoshi | 2007-08-25 10:09 | 原価計算
2007年 08月 24日

三越と伊勢丹、経営統合を正式発表・業界首位に

百貨店業界4位の三越と同5位の伊勢丹は23日、来年4月1日付で持ち株会社「三越伊勢丹ホールディングス」を設立し、経営統合すると正式発表した。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070824AT2F2303P23082007.html

(CFOならこう読む)

あたかも経営統合が正式に決定したような報道ですが、
統合は11月下旬の臨時株主総会により決定されます。

先日もお話しした通り、1:0.34の統合比率はプレミアムが10%にも届かず、
三越株主がこの水準で統合に賛成するかどうかは不透明です。

そもそもホールディングカンパニーの下に
2社をぶらさげる経営統合とは極めて日本的な手法で、
売り手・買い手を明確にしないまま統合することを可能にします。

しかしこの統合の本質は、
買収危機に直面した三越経営陣が
自己保身のため伊勢丹にホワイトナイトになってもらった
というところにあります。

ですからこれは統合ではなく
三越の伊勢丹への身売りなのです。
身売りの場面における三越経営陣の最も重要な仕事は、
株主のためにいかに会社を高く売るかにつきます。

しかし昨日の記者会見で三越の石塚社長の口からこういった
責務があることを自覚しているような発言はまったくありませんでした。

去年まではそれで良かったかもしれません。
が時代は変わったのです。
そのことに気づいていない経営者はあまりに感度が低すぎます。

三越の個人株主比率は約4割を占めます。
臨時株主総会で統合を決めるには3分の2以上の賛成を必要とするので、
個人株主が全員反対すれば統合は成立しません

ですから経営統合が可決されるかどうかは
まったく不透明であると言わざるを得ないのです。

また三越の3000億円とも言われる含み益を狙った第三者が
三越にTOBをかけてくることも十分に考えられます。
そのとき三越経営陣は「濫用的買収者」であると
その第三者に対し買収防衛策の発動をできるとでも思っているのでしょうか。

三越はすでに売りに出たのです。

高く買ってくれる相手を経営陣が否定することは断じてできません。
TOBに応ずるか否かは株主の判断に委ねられるのです。

いずれにしても11月下旬の臨時株主総会まで
紆余曲折がありそうです。

三越株を1000株買ってドラマに主人公として
参加するのも楽しいかもしれませんよ。

by yasukiyoshi | 2007-08-24 09:09 | M&A
2007年 08月 23日

研究開発の税控除拡大・経産省が要望へ

企業の研究投資の活発化を図り、国内産業の競争力強化につなげる狙いだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S17025%2022082007&g=E3&d=20070822

(CFOならこう読む)

昨日お話しした通り投資全額が所得控除を受けられる場合、
その投資から得られる利益は実質的に無税となる効果があります。
これと同じ税効果を実効税率相当分だけ税額控除をとれる場合でもとることができます。

税制改正後は、中小企業の場合、
試験研究費の12%を無制限で税額控除することが認められるとのことです。
中小企業の実効税率を仮に36%であるとすると、12%はその3分の1に相当しますから、
投資額の3分の1から得られる利益は無税となることを意味します。

この税制改正は、企業の研究投資の活発化を図り、
国内産業の競争力強化につなげる狙いがあるのですが、
会計が試験研究費の資産計上を認めておらず、試験研究費の増額はEPSの悪化を招くので、
これを積極的に利用しようという企業はあまり多くないかもしれません。

しかし重要なのはEPSではなく中長期的なキャッシュフローです。
節税はその分必ずキャッシュフローを好転させることを忘れてはいけません。

by yasukiyoshi | 2007-08-23 08:13 | 税制
2007年 08月 22日

ベンチャー投資優遇拡充

ベンチャー投資促進へ所得控除 経産省、税制改正を要望
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070816-00000092-san-bus_all

経済産業省は、個人のベンチャー企業への投資を税優遇で後押しする
エンジェル税制」を拡充する検討に入った。
個人が投資をする段階で、投資額の20%相当分を所得税額から差し引ける税額控除による
新たな措置を2008年度の税制改正要望に盛り込む。
現行の株式売却益から投資額を差し引く所得控除方式では効果は薄いため、
ベンチャー投資促進には優遇措置の拡充が必要と判断した。
(2007年8月22日朝刊5面)

(CFOならこう読む)
投資段階で投資額を所得控除できる場合、その投資は実質的に無税となることを、
ブラックショールズモデルのマイロン・ショールズが自著「タックス・ストラテジー」の中で述べていますが、
今回検討されている優遇税制は税率20%の人にとっての所得控除と同様の税効果があります。
それだけにこの税制改正により
エンジェル投資を呼び込む一定の効果はあると思いますが、
上限200万円ではいかにも規模が小さすぎます。

ベンチャー企業にとって必要なのは小口の投資家ではなく、
自分の経営経験、人脈をフルに活用して若いベンチャーに対し経営指導をする
金も出すが口も出すプロの投資家です。
彼らが200万円の税額控除に魅力を感じるとは思えません。
投資額全額を所得控除できるようにすれば
プロのエンジェルを呼び込むことができると思うのですが。

by yasukiyoshi | 2007-08-22 08:28 | 税制