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2008年 01月 31日

連結:国際会計基準、単体:日本国内基準?

会計基準の世界的統一が加速するなか、日本の孤立感が深まっている。国際会計基準を採用する国は百カ国を超え、2011年には資本市場の「共通語」となることがほぼ確実。欧米間で基準作りの主導権争いが激しさを増す一方で、出遅れた日本は会計分野で発言力を失いかねない。決算書の透明性向上を目指した「会計ビッグバン」を経て、日本は再び大きな試練を迎えている。
(2008年1月31日日経金融新聞7面)

【CFOならこう読む】
企業会計基準委員会(ASBJ)は、昨年8月、国際会計基準とのその時点での差異を2011年6月末までに解消すると発表しました。しかしこれは国際会計基準を全面採用するということではなく、あくまで自国の会計基準を存続させた上で、昨年時点の国際基準との差異を解消するということなので、国際会計基準審議会(IASB)が開発するルールは、2011年時点でも解消されません。

つまり今のままではいつまでたっても国際会計基準と完全に統一されることはないのです。何故国際会計基準を全面採用することができないのでしょうか? 記事では国内法制や税制との整合性が障害となっていると指摘しています。しかしそれは日本固有の問題ではないはずです。こういった障害を解決し2011年にはカナダ、韓国、インドなども一斉に国際基準に乗り換えます。

日本は縦割り行政であり調整不可能であると、自国の会計基準にいつまでも拘泥していると、世界の中で完全に孤立することになりかねません。会計士協会会長の増田氏は解決策として「連結決算だけに国際基準を適用してはどうか」と言っているそうです。しかしそれが企業にどれだけ余計な負担を強いることになるかわかっているのでしょうか? それともその分会計士の仕事が増えて望ましいとでも思っているのでしょうか? 

EUが上場企業に対し連結ベースの決算書に国際基準を適用し、各国の法制や税制が絡む単独決算は自国基準を使う「連単分離方式」を採用していることを理由に、増田氏の言うような方向性もあり得るとの意見もあるようですが、言語も文化も異なるEU内の統一と、日本国内の権益の調整を同じ次元で語る神経が私には全く理解できません。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-31 08:53 | 会計
2008年 01月 30日

北畑経済産業事務次官講演?-株主は軽薄、強欲で堕落している!!

またここに来て外国人に日本株売りを促すような話が出てきた。経済産業省の最高幹部が先週末、東京都内で株主重視の企業経営を頭から否定するような講演をしたのだという。出席者の話では、村上ファンドや米スティール・パートナーズの行動を批判した後、「長期的投資だけを誘致するのが日本の政策」「株主は軽薄、強欲で堕落している」「良い会社は株主を軽視する」といった発言があったそうだ。
会社法も買収防衛ルールも証券取引所の規則も、株主平等原則などどこへやら、日本的資本主義のあり方を模索するためと称して、「お城としての企業」を守る方向に整備されているから、経産省幹部のような考え方を持つ人がいても驚くには当らない。
しかし今どき中国やロシアの高官ですら、公の場所でこんなことは言うまい。株主中心の資本主義にいろいろな弊害があっても、それが経済を前向きに動かす原動力であることを、日本も含めて多くの国が納得して受け入れている。よく株主よりも顧客、従業員、地域社会を重視する会社として引き合いに出される米ジョンソン・エンド・ジョンソンも、自己資本利益率(ROE)は25%に達しており、長期の株価上昇率は株価指数を上回る。

(2008年1月30日日経金融新聞24面スクランブル)


【CFOならこう読む】

北畑経済産業事務次官は、ブルドック事件の高裁判決について、「従業員や取引先、消費者などとの関係を重視する日本の会社制度の実態を踏まえた画期的な判断」とコメントした人です(http://cfonews.exblog.jp/6090182/)ので、先週末の講演でも御自分の信念に従い本音をおっしゃられただけなのでしょう。いずれにしても既得権益と深く結びついた政官財一体の支配構造はいまだ堅牢であるということなのでしょう。しかしその堅牢な城も早晩朽ち落ちる運命にあります。”軽薄で強欲な株主”の皆様には、「いまこの国を見捨てないでください」と切にお願いする次第です。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-30 09:19 | コーポレートガバナンス
2008年 01月 29日

日本企業のROE改善道半ば

企業財務の軌跡?ROE改善道半ば、欧米との差なお大きく
日経金融新聞はバブル経済に沸く一九八七年十月に創刊した。以来、紙面では一九九〇年代初めの歴史的なバブル崩壊と「失われた十年」を経て、日本企業が一応の復活を遂げるまでの二十年間を追ってきた。資本効率を重視する投資家の台頭、時価会計の導入や間接金融からの脱却、頻発するM&A(合併・買収)など、経営を揺るがす大波にもまれながら奮闘してきた日本企業の財務の軌跡と課題を振り返った。
http://www.nikkei.co.jp/ks/topnews/20080128f1b1s001_28.html

【CFOならこう読む】
伝統的に日本企業のROEは低く、年度平均で見ると5%を下回る年もありました。ところがここ最近日本企業のROEは着実な改善傾向を示し、2006年3月期以後は2年連続で9%台に達しています。日本企業は過去20年バブルの負の遺産とも言える「負債・雇用・設備」の3つの過剰を解消し、収益構造は格段に筋肉質になりました。

ROE=売上高当期利益率×総資産回転率×財務レバレッジに分解できますが、負債返済に伴い財務レバレッジは20年前の4倍前後から2007年3月の2倍台に低下したのに対し、3つの過剰の解消と円安効果により、バブル崩壊以後1%前後で推移していた売上高当期利益率は2004年3月期から急上昇、2007年3月期には3.3%に達しています。つまり財務レバッレジの低下を売上高当期利益率の上昇が上回り、ROEの改善が進んだのです。

しかし欧米企業のROEの水準は20%に届くような水準にあり、これと比較すると日本企業のROEはいまだ10%近く低い水準にとどまっています。日本企業はようやくバブル期の負の遺産を整理し終えたわけですが、これから欧米の水準まで資本効率を高めて行くことができなければ投資家(日本人、外国人を問わず)の日本株式への興味はますます小さくなるでしょう。それにしてもROEを今の倍にまで増加させるのは大変なことです。価値創造の最大の担い手は経営者ですが、ここのリソースが決定的に不足している今の日本の状況では到底不可能であると私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-29 08:27
2008年 01月 28日

同族企業の後継者問題-大手企業などに株式売却の動き広がる

まい泉など同族企業の株売却広がる・後継者不足や市場縮小背景
トンカツ総菜店で有名な井筒まい泉(東京・渋谷)がこのほどサントリーの傘下に入ることを決めた。同社に限らず、同族・オーナー経営企業の間で創業者らが自社株を大手企業などに売却する動きが広がっている。後継者難に加え、国内市場が成熟・縮小する中で中堅規模では生き残れないとの危機感も背中を押している。オーナーが経済合理性を重視、同族経営にこだわらなくなった気質の変化も背景にありそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080128AT1D2700727012008.html

【CFOならこう読む】
記事の中で同族企業のM&Aについて、「証券優遇税制の今年末の期限切れを控え、駆け込み的に増えている」という専門家の指摘が紹介されています。これはどういうことかと言うと、未上場株式の譲渡益の税率は20%ですが、上場株式の譲渡益の税率は今年末まで10%の優遇税率が適用されるので、同族企業のオーナーとしては普通に株式を売却するのではなく、株式交換等で上場企業の株式と交換した上でこの上場株式を売却すれば税制上有利であるのでこれを利用しようというものです。

駆け込み的に増えているかどうかの真偽は不明ですが、いずれにしても買い手のCFOとしては株式交換ありきで交渉にあたるのはやめた方が良いと思います。M&Aの通貨として現金を使うか株式を使うかは最適資本構成の観点から考えるべきです。買い手の立場からは現金買収を選択すべきということになったとしてもそれで交渉が決裂するとは限りません。何故ならオーナーが被る税務上の損失分を売却代金に上乗せすることもできるからです。マイロン・ショールズ等は”Taxes and Business Strategy”というMBAテキストの中で、税引後の売り手の手取り金額に着目して価格交渉を行うことの重要性が詳しく説明されているので参考にしてください。

【リンク】
Taxes and Business Strategy: A Planning Approach
Mark A. Wolfson Merle M. Erickson Edward L. Maydew

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by yasukiyoshi | 2008-01-28 09:51 | M&A
2008年 01月 26日

大量保有報告書ートヨタが買収された???

「ソニー株など51%取得」 川崎の会社、虚偽報告か
金融庁が運営する株式の大量保有報告書の閲覧ページ「EDINET」で25日、ソニーやトヨタ自動車など大手6社について「発行済み株式の51%を取得した」との報告が相次いだ。報告によると株式の取得総額は20兆円を超え、各社とも「あり得ない」としている。金融庁は、金融商品取引法違反(虚偽記載)とみて、調査を始めた。
http://www.asahi.com/national/update/0125/TKY200801250337.html

【CFOならこう読む】
金商法は、上場株式等の5%超の保有者に対し保有者に関する情報を大量保有報告書により開示することを求めています。いわゆる5%ルールです。大量保有者は、大量保有者となってから5日以内に内閣総理大臣に大量保有報告書を保有者自らが提出しなければなりません。大量保有者が誰で、その保有目的は何であるかは、対象会社の支配関係に影響を与えるとともに需給関係にも影響するため、適時に投資家に周知させることがこの制度の目的です。

報告書は金融庁が所管する電子開示システム「EDINET」を通じ一般に公開されていますが、定款さえ提出すれば登録のためのIDとパスワードが発行され、それを入力しさえすれば誰でも報告書の提出ができるようになっています。 今回の公開は3時を過ぎてから行われており、株式市場がすでに閉まっていたため、市場に与える影響は小さかったが、これが3時前であったなら大変な騒ぎになっていた可能性もあります。

大量保有者であるテラメントは、資本金千円で昨年11月に設立された会社で、事業内容は、「IT,自動車、通信、家電、半導体、宇宙航空、原子力、製薬、放送」と今回報告書が提出されたトヨタ、ソニー、NTT,三菱重工、フジテレビ、アステラス製薬の事業内容と一致しているので、虚偽の大量保有報告書を提出するためだけのために設立されたものと見られていますが、その本当の狙いは不明です。

このニュースは、安直な規制緩和が、ライフラインである公共インフラの破綻に繋がるリスクを我々に知らせているように思います。もちろんだからといってテラメントなる会社が許されるわけではありませんが。

【リンク】
FDINET 有価証券報告書等の開示書類を閲覧するホームページ
https://info.edinet.go.jp/EdiHtml/main.htm

平成20 年1 月25 日「大量保有報告書の提出に関する調査について」金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/19/syouken/20080125-2.pdf

「株券等の大量保有の状況等に関する開示制度(5%ルール)の概要について」
http://www.mof-tohoku.go.jp/b8_rizai/04_tairyou.html


by yasukiyoshi | 2008-01-26 10:11 | M&A
2008年 01月 25日

買収資金の調達と財務制限条項ードリコムのケース

ブログシステム販売のドリコムが収益低迷に苦しんでいる。成長を期待した新事業の育成に失敗したからだ。事業の立て直しに着手したが、資金面での制約もある。業績を回復させながら将来の成長に向けて布石を打つという難しい手綱さばきが求められる。
昨年11月に発表した2007年9月中間期の連結決算。経常損益は1億8300万円の赤字(前年同期は5700万円の黒字)だった。消費者が情報発信にかかわる「Web2.0」関連の代表銘柄が赤字転落したことが注目されたが、それ以上に市場関係者に衝撃を与えたのは開示された財務制限条項だ。
同条項は子会社のジェイケン(埼玉県所沢市)の9億2千万円の借り入れに付いた。「ドリコムの連結経常損益が2期連続で赤字となった場合などには、三井住友銀行に担保のジェイケン株を処分される恐れさえある」との内容だ。ドリコムの今期の予想経常損益はトントン(前期は1億8100万円の赤字)。計画を下回ればすぐさま条項に抵触する。ジェイケンは消費者が作成した携帯用の「着メロ」を販売する会社で、2007年4月に買収したばかり。ドリコムはジェイケンの買収効果で、今期の売上高は前期比2.6倍の22億円を予想するが、買収をテコにした拡大戦略に暗雲が漂うことになる。

(2008年1月25日日本経済新聞16面)

【CFOならこう読む】
ドリコムの2007年3月期の売上高(連結ベース)は8億4300万円であったのに対しジェイケンの買収金額は13億円。つまり売上高の1.5倍というかなり大きな規模の投資でした。しかもその資金はほとんど銀行借入により調達されています。連結経常損益2期連続で赤字、という財務制限条項は極めて一般的なものではありますが、主力事業の業績が不安定で、かつ2007年3月期の経常損失が1億8100万円の赤字であるにも関らず、このような財務制限条項付きの借入を実行するのは相当に無理があると言わざるを得ないとおもいます。

この買収により、自己資本比率は、2006年9月中間期末の82.6%から2007年9月期末は31.4%と財政状態は大幅に悪化しています。事業リスクを自己資本で吸収しなければならないベンチャー企業の資本構成としては、望ましい水準とは言えません。ベンチャー企業の投資資金は、資金使途を明確にした上で、エクィティ系により調達するのが本筋だと思います。内藤社長の持株比率が55%であり、これが希薄化することを回避するためにデットにより資金調達したを選択したのだとしたら、その判断は間違っていると私は思います。

【リンク】
平成19年11月15日「平成20年3月期 中間決算短信」株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/ir/library/20071115.pdf


by yasukiyoshi | 2008-01-25 10:46 | 資金調達
2008年 01月 24日

本日の日経の経済教室

「失われた10年」乗り越えた日本企業 『ハイブリッド』型顕著に
失われた10年を経て、日本企業の姿は多様化した。資金調達や株主構成は資本市場に立脚しながらも、取締役会改革や雇用面では長期関係を重視したハイブリッド型が支配的なタイプとして浮上した。一方で数多く残る伝統的企業は統治構造改革や事業再構築が先送りされている。
(宮島英昭 2008年1月24日日本経済新聞27面)

【CFOならこう読む】
本日の経済教室、とても面白いです。
東証1部、2部の事業会社723社を、クラスター分析により企業統治と内部組織の特徴と分布を調べた分析結果が書かれています。
タイプとしては次のように分類されます。

①米国型…0社
市場志向的な金融・所有構造(直接金融と機関投資家の優位)と内部組織(外部取締役採用、強い業績連動報酬、流動的な雇用)の結合

②ハイブリッド型173社(24%、従業員ベース67%)

市場志向的な金融・所有構造と長期関係を重視する関係志向的な内部組織(内部者中心の取締役会や終身雇用)が結合。ただしコアとなる従業員を絞り込む一方、成果主義的賃金やストックオプションの導入、情報公開や自社の実態に即した取締役改革を進めている。

③新興企業…173社(21%、従業員ベース10%)
関係志向的な金融・市場志向的な雇用システムが結合。銀行借入に依存して機関投資家の保有比率が低い一方、有期雇用や成果主義的賃金ストックオプションを積極利用する

④伝統的日本企業…398社(55%、従業員ベース23%)
関係志向的な金融・所有構造と内部組織が結合。資本市場への依存が小さく、機関投資家の保有比率も小さく、機関投資家の保有比率も低いこの企業群は、内部統治組織や雇用システム改革に消極的で、収益力も相対的に低い。

このような分析を見ると、一律に日本企業を論じるのは間違いであることがわかります。まさに今問題なのは④に位置付けられる企業群なのです。論文はこのように締めくくられています。
「この企業群に含まれる債務にほとんど依存しない企業の扱いだ。この企業では、過剰な現預金を、収益を期待できないプロジェクトにあえて投資するフリーキャッシュフロー問題の可能性があるが、負債による経営の規律付けは期待できず、そのため、アクティビストファンドの活動の余地が生じる。だが、このタイプの企業は、買収の脅威が高まると、経営者の保身から買収防衛策を導入したり、いっそうの安定化を進めたりする可能性がある。これらは明らかに構造調整に対して阻止的である。先のハイブリッド型と対照的に、安易な防衛策導入や株主安定化を阻止する慎重な制度設計が必要だ。」
ブルドックはこのタイプに属することを前提に議論しないと議論の方向性を間違えます。また、経営者も自社の属するカテゴリーを意識したガバナンスの設計を行う必要があります。そして、我々CFO及びその予備軍にとってとても重要なことは、④の企業に自分の仕事はないということを知ることだと思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-24 08:47 | コーポレートガバナンス
2008年 01月 23日

アインとの統合否決 委任状争奪戦-イオン・CFSのケースその6

CFS株主総会、アインとの統合否決
ドラッグストア大手CFSコーポレーションと調剤薬局大手アインファーマシーズの経営統合案は、22日のCFSの臨時株主総会で否決された。CFSの筆頭株主で統合に反対するイオンが委任状争奪戦を仕掛けた結果、議決権の3分の2以上の賛成を得られなかった。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080123AT1D220CQ22012008.html

【CFOならこう読む】
42.8%の反対でCFSとアインファーマシーズの経営統合は否決されました。思った以上にイオンは反対票を集めたなあ、というのが率直な反応です。しかし57.2%が賛成したのもまた事実で、イオンによるCFS再建策が支持されたと見ることもできません。結局15%程度の資本提携ではどうにもならず、敵対的TOBに打って出るしかないように思います。日本企業における資本提携とは、やくざの盃のようもので、盃を返した後には血の雨が降ることになっているのです。

今回CFSの取引先企業(卸売業者など)のうち約半分がイオン側についたと報道されています。彼らはCFSの資本政策上、安定株主だったはずです。しかし結果としては安定株主でも何でもなかったわけです。昨日のCFSのプレスリリース「株式移転計画の失効並びに決算期変更及び定款の一部変更の中止について」は次の文章で締めくくられています。
「最後になりますが、当社株式を保有していただいている取引先様には、本件統合に反対を表明されていたイオン株式会社とのお取引のある会社も多く、多大なご心労をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。」
イオンとCFSの板挟みになった取引先企業にとってもどちらにつくかは苦渋の選択であったはずで、株式持合いを含め安易な資本提携は厳に慎むべきである、というのがこのニュースの教訓であるように思います。

【リンク】
平成20年1月22日「株式移転計画の失効並びに決算期変更及び定款の一部変更の中止について」株式会社CFSコーポレーション
http://www.cfs-corp.jp/corp/topics/pdf/press080122.pdf

【関連過去記事】
12月11日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケース 」
http://cfonews.exblog.jp/6925859/

12月18日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその2」
http://cfonews.exblog.jp/6959604/

12月21日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその3」
http://cfonews.exblog.jp/6975070/

1月10日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその4」
http://cfonews.exblog.jp/7071043/

01月21日「委任状争奪戦-イオン・CFSのケースその5」
http://cfonews.exblog.jp/7119548/


by yasukiyoshi | 2008-01-23 08:50 | M&A
2008年 01月 22日

オーベン(旧アイシーエフ) 株式交換で不正か

マザーズ上場のICF、株交換で不正か…利益20億円
東証マザーズ上場のネット関連企業「アイ・シー・エフ」(ICF、東京都港区)の旧経営陣らのグループが、不正な手段で株式交換による企業買収を行って大量の自社株を発行し、多額の売却益を上げていた疑いのあることがわかった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080120it01.htm


オーベン株下落

21日の株式市場で、投資事業などのオーベンが前週末比340円 (5.2%) 安の6140円と下落した。「旧経営陣らが不正な手段で株式交換による企業買収を行い、多額の売却益を上げていた疑いがあることがわかった」との一部報道がきっかけだ。根強く残る新興株への不信感を広げ、相場全体を押し下げる一因になった。
(2008年1月22日 日経金融新聞 4面)

【CFOならこう読む】
オーベンが株式交換で買収した主な企業(上記日経金融新聞記事より抜粋)
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会社は、昨年6月にエイチ・エヌ・ティーとの株式交換で佐藤克氏の義務違反により損害を被ったとして、14億9千万円の支払いを請求する損賠賠償請求を提起し、8月に東京地裁から請求を認容する判決を得た、とHPに開示しています。

読売新聞によると、大阪第一企画の買収の際に、債務超過である同社を、粉飾によりかさ上げし企業価値に基づき株式交換比率を決定し、8億円相当のアイ・シー・エフ株式を大阪第一企画の株主に交付。これを市場で10億円前後で売却させ、これをアイ・シー・エフの旧経営陣に還流させたとして、証券取引等監視委員会と大阪府警が金商法違反(偽計)容疑で立件する方針。旧経営陣は同様の取引で少なくとも20億円の利益を得たとのことです。

大阪第一企画の買収は2005年2月、これが今頃立件されるとはどういうことでしょう。
日本の株式市場はこんなものだとすると、個人投資家は恐くてとても近寄れませんね。

【リンク】
平成19年6月27日「当社元代表取締役に対する訴訟提起について」株式会社オーベン
http://www.orben.co.jp/library/pdf/release/2007/070627.pdf

平成19年8月30日「当社元代表取締役に対する訴訟の判決に関するお知らせ」株式会社オーベン
http://www.orben.co.jp/library/pdf/release/2007/070830.pdf

平成20年1月21日「当社旧経営陣に関する一部報道について」株式会社オーベン
http://www.orben.co.jp/library/pdf/release/2008/080121.pdf


by yasukiyoshi | 2008-01-22 08:58 | M&A
2008年 01月 21日

委任状争奪戦-イオン・CFSのケースその5

CFSのアイン統合案 株主総会で承認微妙に
ドラッグストア大手CFSコーポレーションは22日、調剤局大手アインファーマシーズとの経営統合を諮る臨時株主総会を開く。統合にはCFSの筆頭株主であるイオンが反対し、委任状争奪戦を仕掛けている。
(日本経済新聞2008年1月21日 9面)

【CFOならこう読む】イオン側が1/3超の反対票を積み上げられれば、CFSの経営統合は否決されます。これは、イオンの持株比率は15%なので、あと18%強の否決票が必要だということを意味します(もちろん当日の議決権行使率が低ければこの比率は下がります)。

勝敗の鍵を握るのは、23%の持株比率を握る個人株主の動向です。資本主義化の会社経営は多数の個人株主により民主的に行われるべきであると思うのですが、日本の多くの企業はそうはなっていません。今回のケースのように株主総会で個人株主が大きな存在感を示すことができる機会は滅多にありません。個人株主の皆さんはぜひとも議決権を無駄にしないようお願いしたいものです。

株主総会にはイオンの岡田社長自ら出席されるそうです。ならばCFS側もアインファーマの社長を出席させて、どちらの傘下に入るのが株主価値をより創造させるのか2人に一騎打ちで議論をさせれば面白いと思うのですが。

【関連過去記事】
12月11日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケース 」
http://cfonews.exblog.jp/6925859/

12月18日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその2」
http://cfonews.exblog.jp/6959604/

12月21日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその3」
http://cfonews.exblog.jp/6975070/

1月10日「委任状争奪戦ーイオン・CFSのケースその4」
http://cfonews.exblog.jp/7071043/


by yasukiyoshi | 2008-01-21 09:03 | M&A