吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

cfonews.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2008年 10月 30日

社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)-ソフトバンク

ソフトバンク、最大750億円損失の恐れ 債務担保証券投資で
ソフトバンクは29日、証券化商品の一種である債務担保証券(CDO)に投資していた750億円が全額損失となる可能性があることを明らかにした。現時点では損失となっていない。仮に全額が損失となれば、金融危機の影響で日本の事業会社が証券化商品に関連して被る損失として最大級となる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081030AT1D290BH29102008.html
【CFOならこう読む】
社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)とは、企業が社債の元利金を信託銀行に払い込み、負債をオフバランス化することを言います。信託銀行は国債など安全資産でこの資金を運用し、社債投資家への元利金払いに充当する仕組みになっています。3月4日に私のブログで武富士のケースをとりあげました(http://cfonews.exblog.jp/7423814/)。

オフバランスの為の要件を日本の会計基準は次のように定めています。
金融商品会計に関する実務指針46項
「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」

金融商品会計に関するQ&A
「わが国において、元利金が保全される高い信用格付けの金融資産とは、国債や政府機関債のほかに、例えば、拠出時に複数の格付け機関よりダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられます」
実際に大きな損失を被るリスクを会社が有しているにも関らず、オフバランスを認めている会計基準にも問題があると思います。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-30 08:32 | 資金調達
2008年 10月 29日

債務保証の会計処理

信用不安の元凶はCDS
昨年夏のサブプライム問題の深刻化から始まった米国の金融不安は、欧州諸国を巻き込んだ世界規模の金融危機に拡大した。特に9月15日のリーマンブラザーズの破綻以降、米国最大級の保険会社であるAIGの急速な経営悪化、一部MMFの元本割れ、モルガン・スタンレーなどに対する預かり資産の大量引き出しなどが重なり、世界のドル短期金融市場は閉塞状態に陥っている。こうした危機は1929年の大恐慌以来のことといえよう。本稿では、当初は米国の住宅金融市場に限られていた金融不安が、世界的に拡大した背景を探った上で、日本の金融システムへの影響を分析する。
(日本経済新聞 2008年10月29日 33面 経済教室)
【CFOならこう読む】
今日の経済教室で日本経済研究センター理事長の深尾光洋さんが、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる信用デリバティブの会計処理について次のように言っています。
「CDS取引による保証供与からの収入は、将来の保証債務の負担に見合っているはずで、大半を引当処理する必要がある。だがAIGは受け取った保証報酬の大半を利益計上していたとみられる。」
深尾さんの言っていることはもっともですが、日本の会計基準はそんな風にはなっていません。
金融商品会計に関する実務指針 138項
「クレジット・デリバティブ及びウェザー・デリバティブのうちデリバティブの特徴を満たし市場価格に基づく価額又は合理的に算定された価額がある場合には当該価額をもって評価する。ただし、クレジット・デフォルト・オプションのうち市場価格に基づく価額がないものについては、債務保証に準じて処理する。」
ということで大半は債務保証に準じて処理されると思います。
金融商品会計に関する実務指針 137項
「債務保証については、金融資産又は金融負債の消滅の認識の結果生じるものを除いて時価評価は行わず、監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」によって処理する。保証料は、受取保証料又は支払保証料として収益又は費用に計上し、期末には発生主義に基づき未収若しくは前受け又は未払若しくは前払いを計上する。」


監査委員会報告第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」

e0120653_11471315.jpg



つまり、平時において保証料見合いの金額を引当計上する実務はないのです。この点日本でも見直しが必要だと私は思います。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-29 10:51 | 会計
2008年 10月 28日

リニカル、上場初日売り殺到

<マザーズ>リニカルが売り気配のまま売買不成立 きょう新規上場
(大引け、コード2183)きょう新規上場。終日売り気配が続き、気配値を公募・売り出し(公開)価格(1000円)を25%下回る750円まで切り下げたものの、大引けでも売買が成立しなかった。大引け直前の注文動向は13万株程度の売り越しだった。
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/chumoku.aspx?site=MARKET&genre=m6&id=AS3L2705B%2027102008
【CFOならこう読む】
リニカルの公募株数50,000株、売出株数1,180,500株(オーバーアロットメント160,500株含む)、合計1,230,500 株に対し、昨日取引時間終了時点の売り注文は526,800株と約半分に上りました。

記事では、「国内相場が大きく下落するなか新規公開株を損失覚悟で換金する動きが出ている」と分析していますが、下表のようにVCの保有株数が相当程度あり、これが売りに出ている影響とも考えられます。
この会社、ロックアップ条項はあるものの、対象は個人株主に限定されています。

e0120653_939766.jpg


当社役員も上場時売出を行っていますが、社歴3年程度の会社がマザーズという成長期待の市場に上場するに当たり、経営者自ら売出を行うという趣旨が私にはよくわかりません。成長力を一般投資家に買ってもらおうというときに、経営者が自分の持株を換金売りするのは、どう考えても説得力に欠けます。

秦野社長は、「当社の業績を考えると、相場に引っ張られた」と話したようですが、相場のせいばかりではない、と私は思います。

【リンク】
株式会社リニカル IR情報
http://www.linical.co.jp/IR/yuho.html


# by yasukiyoshi | 2008-10-28 08:48 | IPO
2008年 10月 27日

MBOにおける「公正な価格」を巡る司法の判断

レックスのMBO 高裁、少数株主の保護重視
焼肉店「牛角」を展開するレックス・ホールディングスの経営陣による買収(MBO)で、強制買い取り価格に不満を持つ個人株主が裁判所に価格決定を申し立てた。
会社側の主張を認めた東京地裁から一転、高裁は9月、会社の提示を上回る価格を妥当と判断し、波紋が広がっている。情報量の面で不利な少数株主に目配りした決定を評価する意見もあるが、M&A実務の現場では戸惑いの声も上がっている。

(日本経済新聞2008年10月27日16面)
【CFOならこう読む】
本件で高裁は、妥当なプレミアムを20%と判断しました。高裁はその理由を次のように説明しています。
「本件MBOと近接した時期にMBOを実施した各社では、公開買付公表前の3ヵ月または6ヶ月の平均株価に16.7&~27.4%のプレミアムを上乗せした価格を買付価格としている」
「プレミアムについては、これらの近接事例に加え、平成12年~17年に日本企業を対象とした公開買付事例85例のプレミアム平均値が27.05%であることなどから、20%のプレミアムを加算した金額が、最終的に株価上昇に対する評価額を考慮した本件株式の取得価格と認めるのが相当」
(出所:商事法務No.1844 51頁)
買収プレミアムを上乗せした価格とは、
「新たな経営者が支配権を獲得して従来と異なる新たな経営方針で経営する場合に予想されるキャッシュフローの現在価値総和である、あらたな「DCFフルバリュー」よりは低い値で、売り手である株主と合意できる程度のプレミアムを含んだ値」(実践M&Aハンドブック 服部暢達 日経BP社)
を言います。

買収プレミアムに影響を与える変数は、取得議決権割合、評価マルチプル、対価の種類、買収手法、案件の敵対性、のれんの大小、税務メリット等無数にあります。つまり個別性が非常に強いと言えるのです。

ですから、平均27.05%だから云々という議論は、売り手株主の判断材料にはなるとしても、公正な価格を決める司法の判断として相応しいとは思えません。

軽々しく20%などという水準を示すことの実務に与える影響を考えてもらいたいと思います。

【リンク】
実践M&Aハンドブック
服部 暢達

4822246434
日経BP社 2008-01-24
売り上げランキング : 26473
おすすめ平均 star

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



# by yasukiyoshi | 2008-10-27 10:28 | M&A
2008年 10月 25日

資本政策詳解-クロス・マーケティング

【CFOならこう読む】
クロス・マーケティングの株式上場の概要は次の通りです。

e0120653_12345717.jpg


クロス・マーケティングは、平成15年設立のインターネットによる市場調査を行っている会社です。

公募価額590円、2008年12月期見込みEPSが93.71円なのでPER6.3倍というインターネット関連としては低水準での株式公開となっています。

e0120653_1235101.jpg


クロス・マーケティングの主な資本政策は (表2)の通りです。
e0120653_12352284.jpg


全く破綻のない資本政策で、平野氏が策定したプラン通り実行してきたのでしょう。それだけに面白味にかけているとも言えます。五十嵐社長はまだ35歳なのだから、配偶者や血族にまで株をばらまく必要はないだろうと思うのですが…。

(表3)はクロス・マーケティングの株主構成です。
e0120653_1235318.jpg


上場後でも五十嵐社長単独で50%超の持分を確保する資本政策になっています。

平成19年12月時点で従業員数96名、従業員持株会は設立しておらず、従業員のインセンティブはストックオプションによっています。

クロス・マーケティングの資本政策からイカガワシイ感じは全くしません。それだけに、何故、あえてマーケットが最悪のこの時期に、この価格で上場しなければならないのか、疑問に思います。

【リンク】
平成20年9月「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」株式会社クロス・マーケティング
http://www.cross-m.co.jp/ir/pdf/prospectus_20080919-01.pdf


# by yasukiyoshi | 2008-10-25 11:17 | IPO
2008年 10月 24日

変動利付国債についても市場価格以外の評価容認へ

市場価格以外の評価容認、変動利付国債も対象 会計基準委方針
金融危機を受けた時価会計の見直しを検討している企業会計基準委員会(ASBJ)は、価格が下落している変動利付国債や物価連動国債を単純な市場価格以外の時価で評価することを認める方針だ。新たに作成する指針の中に、価格が極端に下落している国債などはそれ以外の時価で評価してよいとの考え方を盛り込む。変動利付国債を大量に保有する銀行など金融機関は決算で評価損を計上せずに済むことになりそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081024AT2C2301X23102008.html

【CFOならこう読む】
新聞記事によると、
「変動利付国債は市中発行残高が40兆円強あり、主に銀行など金融機関が保有。通常の国債と比べて流動性が乏しいため海外勢などの売却で価格が急落し、多くの投資家が含み損を抱える状況になっている。」

「変動利付国債にこのまま時価を当てはめると多額の含み損を抱えるため、「時価会計を適用するのと緩和するのでは自己資本比率が大きく変わってくる。」
とのことです。

今後は「理論価格の算定法や監査法人の実務対応が焦点になる」(国内証券)でしょう。

この点について、ロイターが次のように書いています。
「2008年9月中間期以降の決算の会計処理で、変動利付国債のどの回号に理論値を採用するかは、各金融機関の判断にゆだねられるが、大和総研の吉井一洋制度調査部長は、理論値採用の判断を金融機関にゆだねるなら、変動利付国債の同じ回号でも違う価格で評価されることが起こりうると指摘。「同じ金融商品で金融機関によって評価額がばらつくなら時価会計の理念とかけ離れてしまう」と厳しく指摘している。」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-34460220081022
吉井さんが言うように、会計士の判断により評価額がぶれるということがあれば大問題です。ASBJは、理論値による評価を容認するのであれば、責任を持って、指針となる価格評価フォーミュラーを提示すべきでしょう。

ただ、私自身は満期のある債券の評価は、東京大学経済学部の醍醐教授が言う、「償却原価・時価比較高価法」(http://cfonews.exblog.jp/8772474/)により行うのが良いのでは、と思っています。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-24 08:54 | 会計
2008年 10月 23日

モック増資 発行済株式数は最大で5.5倍に

増資などで11億円調達
結婚式場運営のモックは22日、第三者割当増資と新株予約権の発行で最大11億7千4百万円を調達すると発表した。発行済み株式数は最大で5.5倍に増える。
一方、東京証券取引所は同日、新株発行を伴う資金調達に際し流通市場の機能や株主の権利に配慮するよう上場会社に文書で要請した。

(日本経済新聞2008年10月23日14面)
【CFOならこう読む】
会社法は授権枠(発行可能株式数)を発行済株式数の4倍に制限しています。それにも関らず5.5倍まで株式を発行できるのは何故でしょう。

この件は昨年9月8日(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)にお話しましたが、こういうことでした。

昨年6月30日現在の発行済株式数は134,263株、授権枠は300,000株であったのを昨年9月26日の定時株主総会で、まず授権枠を537,000株に拡げた上で、10株を1株とする株式併合を実施しました。これにより、当社の発行済株式総数は134,263 株から13,426株となり、授権枠に対して約523,000 株分の余裕が生じることになり、大幅に希薄化を伴う新株発行が可能になったのです。

2008年10月22日現在、モックの既発行株式数は88,552 株なので、発行枠は537,000株-88,526株=448,474株の余裕があるので、今回の最大400,000株の新株が発行される資金調達が実行できるのです。

東証は、昨日全ての上場会社宛に文書を送付し、この件について問題視していることを次のように言明しています。
多くの既存株主に株主としての地位を失わしめる大幅な株式併合を実施したことから、流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとして、以前、当取引所が公表措置を行った上場会社が、当該株式併合によりいわゆる授権株式数が大幅に拡大したことを利用して、今般、通常を大きく超える規模の新株等の発行を行う事例が発生しております。
当取引所としては、一般に、株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとして、強く憂慮しております。」
会社法の法改正が間に合わないのなら、市場ルールにより今すぐにでも規制すべきだと私は思います。

【リンク】
2008年10月22日「第三者割当により発行される株式および新株予約権の募集ならびに支配株主、筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社モック
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/081022.pdf

2008年10月22日「著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて」株式会社モック
http://www.tse.or.jp/news/200810/081022_c.pdf



# by yasukiyoshi | 2008-10-23 07:47 | 資金調達
2008年 10月 22日

減損会計停止・株買い取り機構…

減損会計停止案が浮上 政府・与党、追加経済対策で
政府・与党が近くまとめる追加経済対策を巡り、自民党内で減損会計の停止や国による株式買い取り機関の設置が争点になっていることが21日、明らかになった。世界的な金融不安に対し、これまでの政策を大きく変更する内容。金融庁や党の閣僚経験者は、安易な会計基準の見直しや国の市場介入に強く反対しており、追加対策のとりまとめは難航しそうだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081022AT2C2101N21102008.html
【CFOならこう読む】
またぞろ国家を挙げて粉飾を行おうというのでしょうか?

米国のようにモノサシ自体の妥当性を検討しようという方向性なら理解できますが、
財務数値が悪化し事業に支障が生じるから、モノサシの目盛りを変えて財務数値の悪
化がないことにしようというのは、到底まともな議論とは思えません。

資本主義経済において財務数値が正しく企業実態を現すことがいかに重要か、全く理
解していない輩が自民党に存在するということが私には信じられません。

それにしても自民党は大きな政府を目指す政党なのか、小さな政府を目指す政党なの
か、選挙前にはっきりしてもらいたいものです。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-22 09:03 | 会計
2008年 10月 21日

低格付け債、発行が急減

投資家に警戒感 調達コスト上昇
格付けの低い企業の社債発行が急減している。トリプルB格の社債発行額が全体に占める比率は今年4月—9月に約3%と10年ぶりの低さとなり、10月以降も記載が途絶えている。今夏以降は格付けの引下げ件数も増加。米国発の金融危機と景気後退懸念が企業の資金調達に悪影響を及ぼし始めた。(日本経済新聞 2008年10月21日 16面)
【CFOならこう読む】
流通市場での、トリプルB格の社債のスプレッドは1.6%と5年半ぶりの高い水準です。4月—9月における、トリプルB格の社債の発行は1400億円と全体に占める比率は1998年度の0.3%以来の低水準です。

もともと日本の社債市場で機関投資家の投資の下限がトリプルBであり、トリプルBがリスク許容の限界となっていると言えます。6月からデフォルトが続いたことにより、このリスクの下限が上方に移行しているように思われます。

もっともトリプルB未満の社債の取引が市場でなされていないことにも問題があると言えます。

リスクから逃げるのではなく、リスクに真摯に向き合うことが、金融の重要な役割であると私は思います。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-21 08:05 | 資金調達
2008年 10月 20日

エルピーダMSCB発行

エルピーダ、逆張りの資金調達 市場低迷時のCB発行、嫌気され株価急落
エルピーダメモリが発行を決めた500億円のCBの評判が芳しくない。株式市場では1株価値の希薄化を嫌気した売りが殺到し、株価は発表翌日の15日から3日連続で制限値幅の下限まで売り気配を切り下げた。3日間の累計下落率は36%に達し、初めて1000円台を割り込んだ。17日の終値は883円。ただでさえ株式市場が冷え込んでいる時期に、なぜ株価下落のリスクをはらむ資金調達に踏み切ったのか。坂本幸雄社長が得意とする「逆張り経営」の真価が問われている。
(日経ヴェリタス 2008年10月19日 16面)
【CFOならこう読む】
会社は、今回発行されるCBの特徴を次のように説明しています。
「本新株予約権付社債には、①毎月一度、転換価額がそのときの株価の93%に相当する金額に修正されるという転換価額修正条項に加え、②割当先である「Nomura AsiaLimited」との間で、原則として毎月一定数量(社債額面金額50億円)を転換する旨の合意をする予定であり、さらに③原則として償還期限の前取引日において残存する新株予約権付社債全てが株式に切り替わるという取得条項が付されていることにより、着実な資本拡充が期待できます。なお、このような新株予約権付社債においては、発行後に株価が上昇すれば希薄化の度合いが小さくなり、株価が下落すれば希薄化の度合いが大きくなる一方、当社は、株価の推移に関わらず当社の判断で繰上償還を行う権利(コールオプション)を有することから、想定外の急激な株価下落により当社の予想と異なる速度・程度で希薄化が進む蓋然性が高まった場合等において、資本政策を柔軟に見直すことが可能となっております。」
何故、株式市場が最悪なこの時期にエクィティファイナンス(しかもMSCB)に踏み切ったのでしょうか?

記事は次のように説明しています。
「エルピーダはいち早く最新鋭の生産設備に移行するなど、コスト競争力は業界の中でも高い。それでも赤字になるなら「他社は膨大な赤字になっているはず」(エルピーダ)だ。世界的に金融市場の信用収縮が進み資金調達も容易ではない。坂本社長は「資金繰りの悪化で、近い将来に業界再編が一段と進む」と予測する。他社にのみ込まれるのではなく、のみ込む側になるための条件とは、豊富な手元資金を持つことに尽きる。
エルピーダは銀行団と締結している融資枠(コミットメントライン)のうち、長期のコミットメントライン1100億円を10月中に全額引き出す。それだけでは足りずに500億円の資金調達を決断した。これで手元資金は2500億円程度に増える。2年間の設備投資を賄える額だ。
坂本社長は長年の経験から「不況時こそチャンス」という半導体業界の鉄則が深く体に染み込んでいる。今回のような不況時には業界全体が投資を抑制しており、好況時よりも大幅に安い価格で製造装置を購入できる。業界再編となれば経営が行き詰った他社の持つ製造設備を格安な条件で買うこともできる。荻原俊明CFOは「今、調達する500億円は好況時の1000億円に匹敵する」と話す。だからこそ悪条件の中で、逆張りの資金調達に踏み切った。」
DRAMの市況回復が不透明な現状においてエクィティファイナンスを行おうと思えばMSCBしかないのかも知れませんが、多くの株主には容認できないところでしょう。

e0120653_9292298.jpg


それでも中長期的な価値創造に確信があるなら、マネジメントは意思決定すべきです。短期的な株価の動きに惑わされるべきではない、と私は思います。

【リンク】
2008年10月14日「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債発行に関する
お知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-14mj.pdf

2008年10月17日「第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件の決定に関するお知らせ」エルピーダメモリ株式会社
http://www.elpida.com/pdfs/pr/2008-10-17mj.pdf


# by yasukiyoshi | 2008-10-20 09:26 | 資金調達
2008年 10月 18日

敵対的買収へ? ノーリツ・スティールのケース

日米欧、時価会計一部凍結へ 金融危機封じへ非常手段
日米欧が一斉に、金融機関や企業が保有する債券や証券化商品などの金融商品を時価で評価する時価会計の適用を一部凍結する方向で動き出した。日本は民間の企業会計基準委員会(ASBJ)が16日、時価評価の対象外になる範囲を拡大するなど会計基準を見直す検討を始めた。市場の混乱を受けて時価会計凍結を検討する米国や、見直し策を打ち出した欧州に追随する。世界的な金融危機を封じ込めるため緊急措置に踏み切る。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081017AT2C1601T16102008.html
【CFOならこう読む】
新聞報道にある通り、ノーリツは、スティールの買収行為を、「大規模買付行為に関する対応方針」(以下大規模買付ルールという)の適用除外としないことを決めました。

したがって、今後はノーリツが事前導入にしている大規模買付ルールに従って事が進められることになります。具体的には次の通りです。

1.大規模買付ルール遵守表明書の提出
2.大規模買付ルール遵守表明書提出後10日以内に、大規模買付情報の提供とその開示
3.取締役会評価期間及び株主熟慮期間の設定等取締役評価期間ー情報提供後90日間(全部買付でない場合)株主熟慮期間ー取締役会評価期間満了後30 日間


特別委員会への諮問については次のように定められています。
「当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に反すると認められるか否かの検討及び判断にあたって、当社取締役会は、大規模買付者の提供する買付後の経営方針等を含む情報に基づいて当該大規模買付者及び大規模買付行為の具体的内容(目的、方法、対象、取得対価の種類・金額等)や当該大規模買付行為が当社株主共同の利益に与える影響を検討いたしますが、その客観性及び合理性を担保するため、当社取締役会が適切と判断する時点において、特別委員会に対して当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に反すると認められるかどうかにつき諮問し、その勧告に従うとともに、社外監査役全員の同意を得ることといたします。但し、当該特別委員会の勧告に従うことが、当社取締役の善管注意義務に違反することとなる場合にはこの限りではありません。
なお、当該特別委員会の勧告が、当該大規模買付行為は当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に反するとは認められないとする内容であって、当社取締役会が、これと異なる判断を行おうとする場合は、下記(3)の要領により株主意思の確認手続きをとることができるものとします。」
要するに特別委員会が、大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に反すると判断し、取締役会も同じ判断である場合には買収防衛策の発動が出来る設計になっています。

この点スティールはノーリツの大規模買収ルールについて、次のように批判しています。
「我々は、貴社取締役会が2007年に導入されている、貴社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下、「買収防衛策」といいます。)の内容を存じております。当ファンドは、過去の経験より、このような事前警告型の買収防衛策は、主に交渉の機
会の限定と経営陣の保身を目的としているため、欠点が多いと考えております。また、貴社の買収防衛策に基づく手続きは一応「独立した」特別委員会の監督を受けることとなっておりますが、当委員会の委員は内部出身者からなる取締役会により選任され、当買収防衛策においては貴社取締役会が最高の意思決定機関とされております。このように、明らかに独立性を欠き、利益が相反していることに鑑み、当ファン
ドは貴社に対し、一切対抗措置を発動せず、当ファンドの買付提案に応じるか否かを個々の株主の一存に任せられるよう、要請いたします。」
今後の展開は予断を許しませんが、スティールは買収を止めないとすると、買収防衛策の発動、それに対する差し止めの仮処分の申し立て、最終的には最高裁の判断に委ねる、という風に進んでいくのではないか、と私は思っています。

【リンク】
2008年7月14日「スティール・パートナーズ・ジャパン、 ノーリツに主力事業への集中と不採算事業の閉鎖を要請」スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、
エル・ピー
http://www.spjsf.jp/pdf/080714-noritz_j.pdf

2008年9月11日「スティール・パートナーズ・ジャパン、ノーリツに買収提案」スティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンド(オフショア)、
エル・ピー
http://www.spjsf.jp/pdf/080911-noritz_j.pdf

平成20 年10 月17 日「SPJSF からの書簡における当社大規模買付ルール適用除外同意の要請に対する回答について」株式会社ノーリツ
http://www.noritz.co.jp/news/2008files/081017_01.pdf

2008年10月17日「『当社の見解』に関する補足資料」株式会社ノーリツ
http://www.noritz.co.jp/news/2008files/081017_02.pdf

平成20年10月17日「SPJSF に対する回答書簡について」株式会社ノーリツ
http://www.noritz.co.jp/news/2008files/081017_03.pdf

平成19年2月13日「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)について」株式会社ノーリツ
http://www.noritz.co.jp/news/2007files/070213.pdf




# by yasukiyoshi | 2008-10-18 11:45 | 買収防衛策
2008年 10月 17日

時価会計一部凍結?-満期保有目的の債券

日米欧、時価会計一部凍結へ 金融危機封じへ非常手段
日米欧が一斉に、金融機関や企業が保有する債券や証券化商品などの金融商品を時価で評価する時価会計の適用を一部凍結する方向で動き出した。日本は民間の企業会計基準委員会(ASBJ)が16日、時価評価の対象外になる範囲を拡大するなど会計基準を見直す検討を始めた。市場の混乱を受けて時価会計凍結を検討する米国や、見直し策を打ち出した欧州に追随する。世界的な金融危機を封じ込めるため緊急措置に踏み切る。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081017AT2C1601T16102008.html


【CFOならこう読む】
時価会計の凍結などとセンセーショナルな見出しが、今日の日経の一面を躍っていますが、その内容は、下図の通り、「時価評価」が必要な「売買目的」有価証券から「満期保有目的」の債券への保有区分の変更が認められるようになるようになることと、証券化商品の評価方法が緩和される、というものです。

(2008年10月17日日経新聞 7面 より)
e0120653_1754531.jpg特に後者については、FAS157と同様の基準を新たに日本でも設けようということなのだと思います(FAS157は、有価証券を性質に応じて、流動性が高く時価が測れるレベル1、参照できる指標があるレベル2、取引が薄く時価がないレベル3に分類し、レベル3に分類されると内部データに基き公正価値を測定することを容認しています)。これをもって時価会計の凍結、ということには必ずしもなりません。

前者については若干説明が必要です。

金融商品会計に関する実務指針69項によると、満期保有目的の債券とは、「企業が償還期限まで所有するという積極的な意思とその能力に基づいて保有することをいう」とされ、「保有期間が漠然と長期であると想定し保有期間をあらかじめ決めていない場合、又は市場金利や為替相場の変動等の不確定要因の発生いかんによっては売却が予想される場合には、満期まで所有する意思があるとは認められない」とされています。

そして「満期まで所有する意図は取得時点において判断すべきものであり、いったん、他の保有目的で取得した債券について、その後保有目的を変更して満期保有目的の債券に振り替えることは認められない。」としています。

つまり、証券化商品を売買目的有価証券から満期保有目的の債券に振り替えることは現状認められないのですが、これを容認することにより、市場価格による時価評価は免れるし、また、レベル3に区分することにより、強制評価減も免れ得る、ということで、”時価会計の凍結”を実効せしめようということなのだと思います。

この変更の是非については多くの議論があると思いますが、そもそも論として、「満期保有目的」の債券というカテゴリーを設けること自体が必要なのか、という問題があります。

この点、東京大学大学院経済学研究科 金融システム専攻の醍醐聰教授は「会計学講義〔第4版〕」(東京大学出版会)の中で次のように批判しています。
「市場金利の動向や資金需要の変動のいかんで、保有する債券を中途売却したり、保有目的を変更したりするのは機動的な投資行動の常である。翻って考えると、問われるべきは、債券の分類変更をした企業の投資判断の不合理性ではなく、企業の合理的な投資判断に対してまで会計が干渉し、ペナルティーを課さなければ効力を維持できないような会計基準を設けたことの不合理性である。」
それではどうするか? 醍醐教授は次のように言っています。
「機動的な投資判断が想定される満期のある債券については、償却原価と時価を比較して高い方を採用する「償却原価・時価比較高価法」が適合すると考えられる。」
償却原価は、信用リスクに応じた償還不能見積高を算定し、これを控除したものとすれば、実態に即した会計処理ができると私も思います。

以前からお話ししているように、「状況が悪いときに、それを測るモノサシを変えてしまおうという発想」は許されません(http://cfonews.exblog.jp/7724804/)。

しかしモノサシが実態を測定できないなら、そのモノサシは変えるべきです。実態を正しく表すモノサシを新たに策定する、そういう姿勢での検討をASBJには切にお願いしたいところです。

【リンク】
会計学講義 第4版
醍醐 聰

413042128X
東京大学出版会 2008-05
売り上げランキング : 37852

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


# by yasukiyoshi | 2008-10-17 11:04 | 会計
2008年 10月 16日

持合い株式の評価損-アデランスのケース

アデランス最終赤字8億円 8月中間
アデランスホールディングスは15日、2008年8月中間期の連結最終損益が8億3百万円の赤字(前年同期は5億6千8百万円の赤字)になったと発表した。従来予想は7億円の赤字。保有する大和生命株に評価損が発生した。
(日本経済新聞 2008年10月16日 16面)

【CFOならこう読む】
昨日アデランスは次のようなプレスリリースを公表しています。
「平成20年10月10日の大和生命保険㈱の破綻に伴い、当社の所有している同社株式(簿価701百万円)について、中間期において全額評価損として特別損失に計上いたしました。」
持合い株式には当然このようなリスクがあります。リスクに見合ったリターンが本当にあるのか、このようなリスクを取ってまで株式の持合いをする意味がどこにあるのか、株式持合いを行っている全ての会社が考えるべきであると、私は思います。

【リンク】
平成20年10月15日「業績予想の修正および特別損失の発生に関するお知らせ」株式会社アデランスホールディングス
http://www.aderans.co.jp/hd/pdf/news/2008/20081015.pdf


# by yasukiyoshi | 2008-10-16 09:18 | コーポレートガバナンス
2008年 10月 15日

財務の弱い企業は淘汰される?-信越化学工業のケース

信越化学工業は塩化ビニールとシリコンウエハーという2つの市況産業で世界シェア首位を占める。世界経済がさらに悪化した場合の影響を問われ、金川千尋社長は「そうなれば財務諸表が弱い企業が撤退する」と即答した。市場全体が膨張と収縮を繰り返す構図は、事業会社も金融機関も同じだ。資本という裏付けのある「強い財務」を持つ企業だけが経済危機を勝ち残り、持続的成長を可能にする。
(日経ヴェリタス 2008年10月12日 11面)
【CFOならこう読む】
米国景気が一段と悪化すれば、塩ビ市場全体が縮小するのではありませんか、という記者の問いに対し、金川千尋社長は次のように答えています。
「そうなれば財務諸表の弱い企業が撤退すると思います。それを待つには自分が財務諸表が強く、圧倒的に強くなければなりません。オリンピックでも金メダルを取るのは大変でしょう。金メダルをとっても2~3年で引退する人をみるとがっかりしますね。」
「借金してまで投資をやりたくはない。新工場の設備投資はすべて手元資金です。私はもともと貧乏性で、お金を借りるというのは絶対に嫌。お金を借りて無理をして、手形を期日に落とせなかったり、買掛金が払えなくなったりするから、つぶれるんですよ」
金川千尋社長の言う財務諸表の強さとは、資本が充実していることを指しています。信越化学の場合、2008年3月期の純資産は1兆4836億円と売上高1兆3763億円を上回るだけの厚みを保持しています。

自己資本を積み増しながら、ROEも年々引き上げているところがこの会社の凄いところです。

e0120653_1127557.jpg


表を見てわかるように、その源泉はマージンにあります。マージンを地道に高める努力を続けていることがROEの上昇につながっているのです。

ただし、自己資本の大きさは、企業が直面しているリスクとの関係で決まるのであって、無借金が全ての企業にとって最適であるわけではありません。
信越化学の主たる事業は市況産業で、リスクに対し十分な備えを必要とするのでしょう。それにしても売上高を上回るほどの自己資本が本当に必要であるか、ただ単に銀行と付き合いたくないだけではないか、現在の資本コストは不要に高くなっているのではないか、というような疑問がないわけではありません。

もっとも、業績が堅調な会社からも突如として融資を引き上げる、ビジョンのかけらもない日本の銀行から借金などしたくないという気持ちは分からなくもありませんが…。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-15 10:54 | 自社株取得
2008年 10月 14日

本日休載します

新聞休刊日のため休載します。

# by yasukiyoshi | 2008-10-14 12:09
2008年 10月 11日

自社株買いの規制、一部撤廃

首相、自社株買い「規制を一時撤廃」 株安対策で年内いっぱい
麻生太郎首相は10日、世界的な株安への対策として、上場企業の自社株買いに関する規制の一部を週明けから年内いっぱい撤廃する考えを記者団に表明した。金融問題を巡る主要国首脳会議(サミット)緊急会合について「日本として主催する用意がある」と述べた。日経平均株価の急落には「明らかに常軌を逸しているほどの下がり方だ」との認識を示した。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S10029%2010102008&g=MH&d=20081010
【CFOならこう読む】
上場企業の自社株買いはインサイダー取引防止のため(1)1日当たりの購入株数を直近4週間の1日当たり平均取引量の25%までとする(2)午後2時半以降の30分間は売買禁止、などの制限があります。

予想PERは11倍を割り込み、相場は明らかに下げすぎです。
余剰資金の使途がない会社にとっては、自己株買いの絶好の好機到来です。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-11 09:33 | 自社株取得
2008年 10月 10日

飲食店の賃貸借契約解約に伴う補償金

飲食店運営の一六堂が9日に発表した2008年8月中間期の連結決算は純利益が前年同期比2.8倍の3億1千3百万円だった。東京・秋葉原の居酒屋「八吉」の閉店に伴い家主から支払われた補償金3億5千万円を特別利益として計上した。3月に買収した17店舗の改装費が膨らんだため、営業利益は6%減の2億4千3百万円にとどまった。
(日本経済新聞 2008年10月10日 15面)
【CFOならこう読む】
家主都合の賃貸借契約解約補償金の相場がどれくらいであるのかわかりませんが、3億5千万円という金額には目を惹かれます。

会社はこの件、昨年11月26日に、次のように公表しています。
1.特別利益の発生及びその内容
当社は、平成17年12月より当社の主力業態であります「天地旬鮮 八吉 秋葉原ワシントンホテル店」を、賃借にて盛業のもと営業しております。この度、賃貸人様より老朽化した建物を建て直したいとの申し出がありました。
当社といたしましては、秋葉原エリアの再開発と賃貸人様の更なる発展に寄与するという形で、平成20年3月をもって、当店舗をやむなく閉店し明け渡すこととし、本日、明け渡しに関する覚書に調印いたしました。本明け渡しにより、333百万円の特別利益が発生する見込みです。

2.特別損失の発生及びその内容
上記明け渡しに伴い、固定資産除却損及びリース契約解約損として、80百万円の特別損失が発生する見込みです。

3.今後の見通し
本件に伴う特別利益及び特別損失は、来期の平成21年2月期の業績に織り込む予定でおります。
賃貸借により店舗運営を行っている会社のCFOは、1つの事例として記憶しておくのが良いかもしれません。

【リンク】
平成19年11月26日「特別利益及び特別損失の発生に関するお知らせ」株式会社一六堂
http://ir.eol.co.jp/EIR/3366?task=download&download_category=tanshin&id=511103&a=b.pdf

秋葉原ワシントンホテル
http://www.akihabara-wh.com/


# by yasukiyoshi | 2008-10-10 09:17
2008年 10月 09日

為替マネジメントの方向性

中小企業の高成長実現に
8日の外国為替市場は円相場が一時、1ドル=98円台まで急騰した。金融危機をきっかけにドルは中長期的な先安観が強まり、しかも為替市場の予想変動率は歴史的高水準に達している。海外展開を加速する日本企業にとって、為替マネジメントは試練の時を迎えた。
(日本経済新聞 2008年10月9日 17面)
【CFOならこう読む】
8日、円・ドル相場の先行き1ヶ月の見通しを示す予想変動率(ボラティリティ)は、前日比2.1ポイント増の24.9%と1998年10月20日に25%を付けて以来の高水準となりました。

また円相場は大幅続伸し、一時1ドル=99円61銭まで円高・ドル安が進みました。

そんな中、多くのCFOは為替マネジメントに苦慮していることと思います。
今日の日経新聞17面の特集記事、「グローバル財務の潮流」の中でいくつかの企業の為替マネジメントの事例が掲載されています。
商船三井
「1ドル=60円なら2500億円の損失ー。同社はこんな想定の下、いざという時でも十分な資本と投資を確保できるよう、自己資本1兆円構想(前期末は6800億円)を掲げ資本の積み増しに励む。90年代に比べ円高への耐久力は高まっており、現時点で極端な円高を予想しているわけではない。それでも有事に備え、踏み込んだ議論を続けている。」

エイチ・アイ・エス
「2008年10月期から、新規の長期為替予約(ドル買い)を中止した。海外旅行先のホテルなどの仕入れ代金を固定するため、前期までは1ドル=110円程度の水準で2-3年先まで為替予約をしていた。しかし為替相場が激しくなり、思わぬ損失を被る可能性が出てきたためだ。」

三菱電機
「エアコンなど欧州圏での事業が拡大するなか、ドル建て取引のユーロ建てへの変更を進めている。昨年後半からの米国金利の低下で、世界的にドル安が進むと予測したからだ。取引先によってはドル建てを希望するケースもあり、個別に交渉してユーロ建てに順次切り替えている。」

ユニデン
「ドルに偏る保有資産の分散を検討中。約300億円のドル預金を、円建ての預金や有価証券などに配分し直す方針だ。」

コメリ
「同社は売上高の約15%が輸入品で原則ドルでの決済。現時点ではドル建ての決済方針を変えていないが、円に変えた方が利点が多いとなれば、変更も選択肢の一つだ。」
一番難しいのは、ドルが駄目ならユーロに行けば良いというものではない点です。岩井克人教授は、「資本主義から市民主義へ」の中で、次のように言っています。
―ドルが揺らぐと、これはほんとうに世界危機になる。そのなかで日本がどうなるか。

岩井 心中でしょう。ユーロのほうは大丈夫だと思っているだろうけれど、ユーロがもっているユーロダラーというのは膨大です。ドル危機が本格化したら、ユーロだって危機に陥る。ユーロはある程度は穏便にいくように振る舞うしかない。
それでもドルのリスクをとるよりはマシだとは思いますが。

【リンク】
資本主義から市民主義へ
岩井 克人

4403231055
新書館 2006-07
売り上げランキング : 130119
おすすめ平均 star

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

# by yasukiyoshi | 2008-10-09 08:09 | 為替
2008年 10月 08日

今日の経済教室

中小企業の高成長実現に CFOの存在が不可欠 忽那憲治神戸大学教授
筆者のかつての分析では、中小企業の成長に大きな影響を与えていたのは、資金調達に関連するものでは外部株主の導入と計画の作成という2つの要素だった。今回の7社へのヒアリング調査でも、高成長中小企業にはこうした特徴が顕著に見られた。だがその背後には社長以外で経営に携わるスタッフの存在、具体的にはCFO人材の加入がかかわっており、高成長を達成する上での重要な要因となっていることが明らかになった。
【CFOならこう読む】
忽那教授はベンチャー経営研究の分野でとても有名な学者です。忽那教授はCFOの必要性について次のように述べています。
「技術ベースのベンチャー企業の場合、ファイナンスに関する知識が不足していることが多い。そうした場合、事業のリスクを分析したうえで、成長資金の調達のための資本政策を作成し、事業計画書にまとめ、実行できる経営レベルの人材が重要になる。これがCFOである。」
そしてCFO人材の加入が大きな効果を生んだ次の事例を紹介しています。
「電子商取引関連事業を営むビックタウン(東京・中央)は2年前に同社の顧問税理士A氏を財務担当役員のCFOとして迎え入れた。創業当初は政府系金融機関に2千万円の融資を申し込んでも、5百万円しか調達できないような資金繰りだったが、A氏の参画以降、銀行からの借入れが楽になったという。株式公開を目指すようになった同社は、事業計画書を作り直し、これがVCから高く評価され、多くのVCから投資提案が舞い込んだ。
だが順調な事業拡大で資金繰りが良好だったため、このCFOは「事業をさらに軌道に乗せ、時価総額を上げた後に、より有利な条件でVCから資金を調達した方が得策」と判断。VCなどへの第三者割当増資で20007年3月に1億5千万円を調達した際は、時価総額を10億円にまで高めた段階で実施したため、VCの保有比率は13%程度に抑えることができた。財務担当者が会社に加わることで、銀行との融資交渉が円滑になっただけはでなく、VCからの資金調達でも既存株主の保有比率の低下を抑えることができたわけだ。」
忽那教授の議論は全く的を得ていますが、高成長中小企業にCFOが必要であるということを言っているのであって、良いCFOがいれば成長できると言っているわけではないことに注意する必要があります。高成長企業だからこそCFOの活躍できる機会があるのです。CFO自信もこの辺りを見据えたうえで、仕事場を選択する必要があると思います。

それから忽那教授はCFOの職能として資金調達に焦点を絞った議論をしていますが、これは中小企業のCFOとしてはとても重要ではありますが、上場企業のCFOまで含めてその職能を考えると、M&A、配当政策立案、資本コスト管理、投資の採択、IR、リスク管理、税務戦略、システム構築等カバーしなければならない範囲は非常に広く、必ずしも資金調達がCFOにとって最も重要な仕事というわけではないという点にも留意が必要です。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-08 10:25 | 資金調達
2008年 10月 07日

貸し渋りの実態調査開始

金融庁と中小企業庁、中小金融の実態調査を開始
金融庁は6日、中小企業庁と共同で地方の中小企業の業況や資金繰りの実態調査を開始した。全国150カ所の企業が対象。金融庁は中小金融の円滑化を進めているが、調査の結果次第では追加の対策を打ち出す可能性もある。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C0601O%2006102008&g=E3&d=20081006
【CFOならこう読む】
「「期限直前になって借り換えはできないと言われた」と訴える中小企業が増えてい
るという。」
(日本経済新聞 2008年10月7日 5面 視点より)
私の周りにも、これに近い話がたくさんあります。今頃調査を開始するというのでは、遅きに過ぎますが、やらないよりはまし、早急に対策を講じてもらいたいと思います。

昨日の国会でも、北側公明党幹事長の「金融機関による貸し渋りがある。柔軟な融資をすべきだ」という質問に対し、中川財務・金融担当相は、「金融機関が目の前の赤字や債務超過といった数字だけでなく、地域に密着した企業の良い面を把握できるようにしなくてはならない。金融庁として、関係団体に柔軟にきめ細かく対応するよう指示している」、与謝野経済財政担当相も「融資保証の業種拡大などは思い切ってやる。11月の早々には新制度による保証が可能となるよう準備を始めている。国会でも配慮をお願いしたい」と答弁しています。

問題の一端は、昨年10月の信用保証制度の変更にあります。従来は協会が損失の全額を負担していたが、新たに金融機関が2割を負担する「責任共有制度」に変えたことにより、中小企業に対する金融機関の融資姿勢が慎重になっているといるのです。
「保証協会が保証すると言っても融資を断る金融機関がある。制度変更が『貸し渋り』を招いている」(東京中小企業家同友会)状況を打開するためには、全額協会負担に戻す以外ないでしょう。

日本経団連の御手洗会長が、昨日、記者会見を行い、「補正予算案を早期に成立させ、中小企業の資金繰り対策や個人・企業への減税など緊急の経済対策を検討すべきだ」との緊急提言を行ったとのことですが、そんな他人事のようなことを言っている場合ではありません。事態を見据えた具体的な提案を行ってもらいたいものです。
経団連会長、追加対策を緊急提言
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081007AT3S0601W06102008.html
日本経団連の御手洗冨士夫会長は6日の記者会見で、米金融危機を引き金に世界経済への不透明感が強まったことを受け緊急提言を公表した。まず必要なのは「各国政府、金融当局が協調し、金融システムを沈静化すること」と指摘。次に国内では「補正予算案を早期に成立させ、中小企業の資金繰り対策や個人・企業への減税など緊急の景気対策を検討すべきだ」と追加策を求めた。

 「補正予算案の早期成立を望む」と題した提言をまとめた。国内外の景気情勢は「米国発の金融システム不安が広がり、世界同時不況への瀬戸際に立たされている」と言及。6日の日経平均株価の下落に関しては「金融不安が欧州にも飛び火し、市場はこれからも(危機が)出てくると読んで株価に表れている」との見方を示した。(07:01)
【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-07 09:34 | 資金調達
2008年 10月 06日

FAS157 Q&A

米国の金融安定化をきっかけに、時価会計の停止論議が熱を帯びている。金融危機を引き起こしたサブプライムローンなどを組み込んだ複雑な証券化商品の市場が崩壊し、時価会計を基に金融機関に多額の評価損を迫る懸念が浮上しているためだ。しかし、時価会計の全面停止は世界の市場を混乱させかねない劇薬だ。とりあえずは柔軟な運用を可能にするにとどめ、金融機関自身に早期の体質強化を迫る、当局のメッセージと読み解く向きが多い。
(日経ヴェリタス 2008年10月5日 19面)
【CFOならこう読む】
ここ数日、米当局が、あたかも時価会計の停止を決めたかのような報道もありますが、それは事実と異なります。
9月30日に、SEC(米証券取引委員会)とFASB(財務会計基準審議会)が、FAS157号に関し次のようなQ&Aを公表しています。

Q 市場からの時価の証拠が存在しない場合、将来キャッシュフローなどを利用して会社側の想定に基づいて計算してもよいか?
A 使ってもよい。適切なリスクプレミアムを加えたキャッシュフローを用いた算定は許される。公正価値の決定は判断を必要とする。さまざまな原因からの複数の情報が公正な価値のより良い証拠を提供する可能性がある。予想キャッシュフローはほかの関連情報と同様と考えることができる。

Q 市場の混乱による、正常でない取引の価格は公正価値を測定する際の参考となるか?
A 正常でない取引は公正価値測定を決める際には決定的ではない。ただ取引が正常でないかどうかには判断が求められる。

Q 活発でない市場における取引は時価算定に影響を与えるか?
A 影響を与える。活発な市場における取引価格は、公正な価値を最も代表しているし、参考にされるべきだ。活発でない市場における取引は公正な値を測定するときの1つの情報かもしれないが決定的でない。活発でない市場での価格と、類似資産の価格が一致していないのならば、調整が必要かもしれない。
(日経ヴェリタス 2008年10月5日 19面)
読んでおわかり頂けると思いますが、このQ&Aは、従来の基準の前提を大きく変えるものではありません。”時価会計が諸悪の根源”という意見に対し、157号の解釈の枠内でも大幅な損失計上が必要ない場合があることを再確認させる、というのがこのQ&Aの趣旨だと思われます。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-06 09:31 | 会計
2008年 10月 04日

日本相撲協会と経営の規律

朝青龍関が八百長疑惑を否定 名誉棄損訴訟、法廷で証言
八百長疑惑の記事で名誉を棄損されたとして、日本相撲協会と力士らが記事を掲載した「週刊現代」を発行する講談社などに損害賠償を求めた訴訟の弁論で、横綱の朝青龍関が3日、東京地裁(中村也寸志裁判長)に出廷し、「真剣勝負でやっている」と疑惑を全面否定した。横綱が法廷で証言するのは異例。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1G03034%2003102008&g=K1&d=20081003
【CFOならこう読む】
今日は相撲の話を少しさせてください。

私は子供の頃から相撲が大好きで、それこそ40年近く相撲を見続けています(若貴が嫌いだったので、全く見ていない時期もありますが)。

国技館にも1場所に2度は必ず足を運びます。接待で行くわけではありません。
純粋にスポーツ観戦に行くのです。

相撲のチケットは昔に比べて随分と取りやすくなりました。千秋楽の枡席もぴあで普通に買うことができます。
枡席では飽き足らず、ここ数年は溜り席(土俵下の座布団だけ置いてある席。砂かぶりとも言います。)で見ています。

溜り席のチケットはさすがにぴあでは売っていません。
親方やお茶屋さんにコネがないと一般に入手不可能と言われています。
私にはコネなんぞありませんので、最初お茶屋さんに直談判してチケットを売ってもらったのです。今では何も言わなくてもお茶屋さんがチケットを送ってきてくれます(もちろん正規料金をお支払いします)。

初めて溜り席で相撲を見たときに、立会いの際に力士同士がぶつかる、その時の音の大きさに驚きました。

真剣勝負の音です。

八百長が行われているかどうか私にはわかりませんが、目の前で八百長が行われていれば私にはわかると思います。”土俵の充実”と前理事長は馬鹿の一つ覚えのように言っていましたが、土俵はいつも充実しています。

充実していないのは、経営者たる相撲協会の理事連中です。経営努力が全く足りていません。
全ては部屋任せで、組織としての経営は行われていないに等しい。
顧客にも全然目が向いていない。
相撲協会に注文は山ほどあります。

一番の問題は経営に規律が働いていないことです。

みんな身内ですから、責任が問われることがありません。
従業員同士が殺し合いをしているのに、経営陣が責任を全く認識していない、全く稀有な組織なのです。

経営を規律付けするにはどうしたら良いか。仲良しの有識者を外部理事として迎え入れれば万事解決なんてことは絶対にありません。

そう、これはコーポレートガバナンスの問題なのです。

日本の多くの経営者に相撲協会は腐っているなんて言う資格はありません。
自社のコーポレートガバナンスと相撲協会を比べてみてください。
50歩100歩じゃないでしょうか?

【リンク】
大相撲:八百長疑惑報道訴訟 板井氏法廷証言「80%八百長」「長く地位保つため」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20081004ddm035040060000c.html


# by yasukiyoshi | 2008-10-04 12:07 | コーポレートガバナンス
2008年 10月 03日

経団連提言、11年度消費税率10%に

経団連が麻生政権に改革提言 消費税、11年度10%に
日本経団連は2日、麻生太郎内閣に向けた改革提言書を公表した。当面の改革期間を3年と定め、社会保障費の財源確保や財政再建に向けて、消費税率は 2010年度、遅くとも11年度に10%に引き上げるよう求めるのが柱。中低所得者層を想定した所得税の定額減税の実施も盛りこんだが、11年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を「必ず達成」と示すなど財政規律を重んじた。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081003AT3S0201702102008.html
【CFOならこう読む】
経団連が増税を提言する意味というのはどこにあるのでしょう?
そんな疑問をかねてから持っていましたが、最近読んだ「サラリーマン「再起動」マニュアル」で大前研一先生が、そんな経団連を次のようにぶった切っていました。
「すでに日本経団連は、増税せずに財政再建を進めるには歳出を現在の半分にカットする必要があるとの試算を発表している。現実には歳出半分カットなどできるわけがなく、結局、消費税を引き上げるしかない。経団連は、現在5%の消費税率を07年度に10%、10年度に13%、13年度に16%と3段階で引き上げる案と、07年度に10%に引き上げ、それ以降は1年に1%ずつ引き上げて12年度に15%にする案の2通りの消費税増税シナリオを示した。すでにその試算のスタート時点を過ぎてしまっているわけだが、いずれにしても今後、消費税が2~3倍にハネ上がることは確実な情勢なのである(それにしても、経済のパイを拡げる提案ではなく、加減乗除で辻褄合わせしかできない経団連という組織は、政党の応援団みたいなものに堕している。世界広しといえども、増税、特に消費税増税を提案する経済団体など見たことがない)。」
買収防衛策を巡る経団連と経済産業省のやりとりを見ていても、経団連は誰のために存在する組織か、言わずもがなでしょう。

【リンク】
2008年10月2日「税・財政・社会保障制度の一体改革に関する提言」(社)日本経済団体連合会
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/068/index.html


サラリーマン「再起動」マニュアル
大前 研一

4093794545
小学館 2008-09-29
売り上げランキング : 20
おすすめ平均 star

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


# by yasukiyoshi | 2008-10-03 12:00 | 税制
2008年 10月 02日

新規上場企業の資金調達額91%減

4-9月リスク回避を反映
新規上場企業の株式市場を通じた資金調達が急減している。今年度上半期(4-9月)に国内株式市場に新規上場した企業が公募増資で調達した資金は67億円と前年同期比91%減った。米国発の金融不安による信用収縮で安全志向を強めた投資家が、リスクの高いベンチャー投資を敬遠している。新興企業の事業停滞は産業界の活力低下につながりかねない。
(日本経済新聞 2008年10月2日 14面)
【CFOならこう読む】
記事によると、
「4-9月の新規上場企業は11社で、前年同期のほぼ5分の1に減った。全11社が東証マザーズやジャスダックなど新興市場への上場だ。上場時の公募増資による1社当たり調達額は平均6億1千6百万円と6割減った。ピークだった2005年の2割強の低水準だ。調達額で最大はFXプライムの13億円超。10億円を超えたのは3社(前年同期比16社)にとどまった。」
とのこと。

比較のため、新規上場会社の過去3年の状況はどうであったか、少し調べてみました(但し私の持っているデータは年(1月ー12月)データなので、上の記事の年度データとは異なります)。

e0120653_123216.jpg


傾向としては、昨年まではジャスダックの凋落が目立っていましたが、今年はマザーズも酷い状況になっているということが言えそうです。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-10-02 12:21 | IPO
2008年 10月 01日

TOB不成立-大日本印刷・インテリジェントウェイブのケース

18日。大日本印刷によるインテリジェントウェイブのTOBは応募総数が買い付け予定株数の下限の半分にも届かず失敗した。過半数を占める個人が議決権に目覚め、安易な経営支配嫌の移動に「待った」をかけた。
(日本経済新聞 2008年10月1日 16面)
【CFOならこう読む】
TOBは8月20日から9月18日まで実施されましたが、買い付け上限を52.02%、下限を33.41%に設定し、応募株数が下限を下回った場合は一切買い付けないことになっていました。買い付け価格の29,740円は過去3ヶ月間の終値平均を45%上回るプレミアムを付したものでしたが、多くの個人投資家が応募を見送った結果、わずか12.19%の応募にとどまりました。

本件、そもそも友好的TOBでありながら、筆頭株主である安達会長がTOBに応募しておらず、本気度今ひとつのTOBでしたが、記事が言うように、個人株主が「安易な経営支配嫌の移動に「待った」をかけた」、と解釈するのもどうかなという気がします。

TOBという制度は、必ずしも株主の望む通りの結果にならない可能性があることが、「TOBによる敵対的買収の不可能性」として1980年にサンフォード・グロスマンとオリバー・ハートにより指摘されています。

この理論によると、多くの株主が次のように考えます。
「大日本印刷はインテリジェントウェイブの将来性について自分たちの知らない良い情報を持っているに違いない。大日本印刷がマジョリティを握ることで株価はTOB価格より上がるはず。ならばそのまま持っていよう。」多くの個人株主がこのように考えるなら、当然TOBは不成立に終わります。

また、大日本印刷への支配権の移動に反対の株主もTOBには応じません。従って、こう考えるといずれにしてもTOBは成立しないことになるのです。さらに他の株主の行動をどのように予想するかということまで考えると、この結論は大きく変わり得ます。

大日本印刷への支配権の移動に反対の株主も、このTOBが成立しそうだと考えると、自分が支持しない経営者のもとで株主として取り残されるより、TOBに応募しようと考えるでしょう。

また、大日本印刷を支持する株主は、TOB不成立の可能性が高いと思えば、TOBに応募せず市場で売り抜けようと考えるでしょう。本件で、TOB期間の最終日付近でインテリジェントウェイブの株価が大きく下がったのは、このような要因によるものだったのかもしれません。

いずれにしても、TOB不成立=安易な経営支配嫌の移動に「待った」をかけた、ということではない可能性があることを我々は理解しておく必要があります。

【リンク】
平成20年8月19日「株式会社インテリジェントウェイブ株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」大日本印刷株式会社
http://www.dnp.co.jp/jis/news/2008/080819.pdf

平成20年8月19日「当社株式に対する公開買付けに関する参道の意見表明のお知らせ」株式会社インテリジェント ウェイブ
http://www.iwi.co.jp/pdf/pdf_080819_3.pdf

平成20年9月20日「大日本印刷株式会社による当社株式の公開買付けの結果に関するお知らせ」株式会社インテリジェント ウェイブ
http://www.iwi.co.jp/pdf/pdf_080919_1.pdf


# by yasukiyoshi | 2008-10-01 10:17 | TOB
2008年 09月 30日

SPCを使ったオフバランス取引-ビックカメラのケース

SPCを使って、資産や負債をバランスシートから切り離すオフバランス取引に厳しい視線が注がれている。表面的には分離されていても、企業による実質保有が続いている可能性があるからだ。SPC取引の問題点を探る。
(日本経済新聞 2008年9月30日 16面 揺れるSPC取引 上)
【CFOならこう読む】
e0120653_2021920.jpg2002年8月、ビックカメラは、東京・池袋本店と本社ビルを2002年8月に特別目的会社である有限会社に290億円で売却し、この有限会社が不動産を担保に、小口の証券を発行、販売しました。いわゆる「不動産の証券化」です。

記事によると、同社元社員が経営に携わっていた「豊島企画」(同渋谷区)も約70億円出資していたということです。

特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(会計制度委員会報告第15号)は、流動化の要件として、リスク負担の金額の割合が流動化する不動産の譲渡時の適正な価額(時価)の5%以内であることを求めています(第13項)。そしてこの計算には譲渡人の子会社又は関連会社が負担するリスクを含めなければならないことになっています(第16項)。

ビックカメラは14億5千万円の劣後出資を行っています。この金額は流動化した池袋本店と本社ビルの時価290億円のちょうど5%に当ります。豊島企画が子会社であるということになると流動化の要件を満たさなくなるのです。

【リンク】
 なし

# by yasukiyoshi | 2008-09-30 09:19 | 資金調達
2008年 09月 29日

日本経済回復への道標

再び失望を招く日本経済
4~6月期再びマイナス成長に陥った日本経済。高すぎる輸出依存度を解消するため、内需の喚起が必要であることは自明の理である。しかし実現への議論さえいまだ始まっていない。
-スミザーズ・アンド・カンパニー会長 アンドリュー・スミザーズ氏

(日経ヴェリタス 2008年9月28日 26面
【CFOならこう読む】
スミザーズ氏は、次のように、日本経済が上向かない理由が構造的な不均衡にあると指摘しています。

「日本は過去数年にわたる限定的な経済成長を輸出と企業の設備投資に依存してきた。個人消費が弱すぎる一方、企業の設備投資が多すぎるというようにバランスが悪いため、内需は低迷したままだ。日本企業による国内投資のGDP比率は米国企業よりも50%上回っている。それが正当化されるのは日本が米国に比べて相当高い成長を遂げている場合だが、実際は逆に米国の成長をはるかに下回っている。日本企業の投資は成果を生まず、大半が無駄に使われている。その結果、投資収益率も低いままだ。
中国を含む世界経済が減速してきたことで、日本経済の輸出依存度の高さは慢性的というより差し迫った問題になってきた。日本は内需を喚起する必要がある。投資が過大で輸出依存度が高いことを考えれば、消費を通じて内需拡大を達成しなければならない。
消費拡大を実現するには、家計の所得を増やすか、あるいは貯蓄率を減らすしかない。しかし貯蓄率は既に過去10年間で11%から3%に低下している。今後さらに下がる可能性はあるものの、景気を押し上げるほどの大幅な低下余地があるとは思えない。このため消費拡大には所得増加が必要になるが、所得増加が必要になるが、所得も伸び悩んでおり、GDPに対する所得比率は他の主要国よりも低い水準だ。」
内需喚起のためには、企業の利益を減らしその分賃金引き上げるしかない、という安直な議論があります。先週末久々に”朝まで生テレビ”を見ましたが、民主党の議員がそのようなことを力説していました。しかし、そんなことをすれば、スミザーズ氏が言うように、「企業の利益が減れば、設備投資が急激に落ち込み、経済全体としては低迷する。」ということになります。

結局、日本経済の構造的問題を解決する方策は、野口悠紀雄氏が言う”資本開国”しかないように思います。

「外国企業による直接投資が投資受入国の経済成長を促進したことは、多くの研究で明らかにされている。OECDのデータによると、国内企業と進出外国企業の労働生産性を比較すると、総じて進出外国企業の水準が高いことが示されている。先進国中では労働生産性水準が下位に位置する日本はもちろんのこと、労働生産性水準が高いアメリカ、フランス、オランダといった国でも同様の結果が示されている。日本に外国企業が進出してくれば、労働力の移動や企業間競争の促進を通じて、日本経済の労働生産性向上に寄与するだろう。」(「資本開国論」野口悠紀雄 ダイヤモンド社)
我々一人ひとりが、外国企業を受け入れるために何をなすべきかを、真剣に考えるときが来ているように私は思います。と同時にそういう時代が来ることを前提にCFOは今から準備する必要があると思います。

【リンク】
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
野口 悠紀雄

4478001308
ダイヤモンド社 2007-06-01
売り上げランキング : 72683
おすすめ平均 star

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


# by yasukiyoshi | 2008-09-29 11:03 | 資金調達
2008年 09月 27日

資本政策詳解-メディサイエンスプラニング

【CFOならこう読む】
メディサイエンスプラニングの株式上場の概要は次の通りです。
e0120653_19125521.jpg


メディサイエンスプラニングは、国内外の製薬会社から新薬の臨床試験(治験)を受託するCRO事業を主たる事業としている会社です。

公募価額1,100円、2008年8月期見込みEPSが119.43円なのでPER9.2倍の水準での株式公開となっています。
役員を中心に25万株の売り出しを行うことが目を惹きます。

e0120653_1913822.jpg


メディサイエンスプラニングの主な資本政策は (表2)の通りです。

e0120653_19131682.jpg


IPOのプレファイナンスとして、2007年6月に20%超の希薄化を伴う第三者割当増資を役員、VC、主幹事証券(高木証券)に行っています。

(表3)はメディサイエンスプラニングの株主構成です。

e0120653_1913285.jpg


代表権のない取締役会長である酒井杏郎氏が筆頭株主ですが、それでも20%を下回る持分しか有していません。
従業員持株会はあるものの、ストックオプションの発行は行っていません。

2007年の第三者割当増資の10ヶ月前に、酒井会長から関係会社の役員等に株式移動が行われていますが、この時の価格は純資産価格をベースに決定された22,000円で、第三者割当増資の40,000円と相当に乖離があります。

2007年の増資の割当を受けた医師の1人が、診療報酬不正請求に係る詐欺罪の容疑で逮捕され同年9月に逮捕されています。会社はその事実をきちんと開示しており、それ自体は大きな問題ではないのかもしれませんが、そういう輩と付き合いがあったという点は紛れもない事実です。

上場直前期である2007年8月期まで浦江社長が会社から社宅の供与を受けていたことが、関連当事者との取引に開示されていますが、会社のガバナンスという点で多少問題があるのかもしれません。

【リンク】
株式会社メディアサイエンスプランニング
http://www.mpi-cro.co.jp/index.html


# by yasukiyoshi | 2008-09-27 14:01
2008年 09月 26日

東武のハイブリッド証券

東武鉄道、転換社債800億円発行 東京スカイツリー地域の開発
東武鉄道は25日、ユーロ円建て新株予約権付社債(転換社債=CB)を800億円発行すると発表した。発行に伴う費用を除いた784億円を、有利子負債の削減と設備投資に充当する。地上デジタル放送の電波タワー「東京スカイツリー」(東京・墨田)を中心とする業平橋・押上地区の再開発に備え財務体質を強化する。
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hotnews.aspx?site=MARKET&genre=c1&id=AS2D2500F%2025092008
【CFOならこう読む】
東武の資金調達のスキームは次の通りです。

e0120653_944249.jpg

平成20年9月25日プレスリリースより

東武は、2012年春の開業を目指す「東京スカイツリー」建設など資金需要が旺盛ですが、一方中期経営計画の中で負債の削減目標を掲げており、負債による資金調達は行えない状況にあるため、SPC(子会社)を通じて優先出資証券を割り当てることによる方法を選択しました。

会社はプレスリリースの中で、この資金調達方法を選択した理由を次のように説明しています。
「① 本優先出資証券は、資本と負債の中間的な性質を持つハイブリッド証券であり、負債性調達手段の特性を有すると同時に、主要格付機関(株式会社格付投資情報センター及び株式会社日本格付研究所)から、70%以上の資本性が認められる見通しであるなど、実質的な財務構成比率を改善し、財務の安定性を高める資本性調達手段としての特性も兼ね備えております。
自己資本を直截拡充できる時価発行増資では、発行済株式の増加及び一株当たり利益の減少等の株式の希薄化を招くことになり、他方、長期負債の積み増しでは実質的な財務改善につながりません。今般の資金調達については、これらの手段に比して、株式の希薄化の抑制と、実質的な資本増強による財務構成比率の改善の双方を実現できるものと判断しております。

② 当社が発行する社債に新株予約権を付与すること(本優先出資証券には、本新株予約権付社債に交換することができる交換権が付与されており、当該交換権を行使した場合は、本優先出資証券は本新株予約権付社債に交換され、当該新株予約権付社債は自動的にかつ直ちに当社の普通株式に転換されます。)により、本邦でも実績のある海外SPCを通じた株式への交換権を付与せず優先出資証券を発行する調達手段に比して、相対的に有利な金利(配当)条件で資金調達を行うことが可能となっております。
但し、既存株主の皆様に配慮した商品性を実現すべく、時価を大幅に上回る水準に転換価額を設定するとともに現金決済による取得条項(※)を付与することにより、将来の株価上昇時においても株式の希薄化を極力抑制することを重視致しました。
※ 【現金決済による取得条項及び償還について】
本新株予約権付社債には、発行から5年経過以降において、当社がその裁量により、一定期間の事前通知を行うことにより下記の財産の交付と引き換えに本新株予約権付社債を取得する権利が付与されます。TR社は、当社が本新株予約権付社債の現金決済による取得条項の権利を行使した場合には、当社から交付される下記の財産を対価として本優先出資証券を償還します。
なお、当社及びTR社は、本優先出資証券の割当先との間で、割当先の当社の議決権保有比率が銀行法上の制約である5%を超過することとなる現金決済による本優先出資証券の償還を行わないことを約束する予定です。この限りにおいて、現金決済による本新株予約権の取得条項を行使できる当社の権利は制約されることとなり、期待する効果が限定される可能性があります。
(ⅰ)額面金額並びに1口当たり金額の100%に相当する金額、及び
(ⅱ)転換価値から額面金額並びに1口当たり金額を差し引いた額(正の数値である場合に限る。)を1株当たり平均VWAPで除して得られる数の当社普通株式
・ 転換価値: (額面金額÷転換価額)×1株当たり平均VWAP
・ 1株当たり平均VWAP: 当社が取得通知をした日の翌日から5取引日後の日から始まる20連続取引日に含まれる各取引日において株式会社東京証券取引所が発表する当社普通株式の売買高加重平均価格の平均値

③ 本邦においては事業法人による今般の資金調達のようなハイブリッド証券による資金調達のマーケットが必ずしも成熟しているとは言えない状況の中、当社子会社であるTR社が発行する本優先出資証券の特性に鑑み、且つ当社が企図する財務構成比率改善を実現するための今般の調達予定額を確実にするとの観点から、当社と長年の取引関係があり、当社の経営状況等についてご理解を頂いている主要取引銀行3行を割当先とする第三者割当方式による調達に決定した次第です。
東武本体で優先出資証券を発行しなかったのは、優先出資証券にCBへの交換権を付与することで金利を引き下げることが可能であるためです。ただしこの金利引き下げ効果については、このブログでも繰り返し指摘しているように、オプション部分を区分して会計処理しないことが認められていることから生じる一種のまやかしに過ぎず、実質的には格付けに応じた金利が支払われます。

【リンク】
平成20年9月25日「第三者割当による2014年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行及び当社海外特別目的子会社によるユーロ円建交換権付優先出資証券の発行に関するお知らせ」東武鉄道株式会社
http://www.tobu.co.jp/file/1749/080925-1.pdf


# by yasukiyoshi | 2008-09-26 09:08 | 資金調達
2008年 09月 25日

不適当な合併等-クロニクルのケース

ジャスダック、クロニクルを上場廃止の猶予期間に
ジャスダック証券取引所は22日、宝飾品販売のクロニクルがエステティックサロン経営のJ・B・A(東京・渋谷)を株式交換で子会社化した場合、クロニクルは9月30日から上場廃止の猶予期間に入ると発表した。クロニクルが実質的な存続会社ではないと認められるため。
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20080925AT2D2201C22092008.html
【CFOならこう読む】
ジャスダックでは「不適当な合併等」に係る上場廃止基準について次のように規定しています。
「不適当な合併等に係る上場廃止基準(廃止基準第2条8号)は、いわゆる裏口上場の防止を目的として定められたものであり、上場会社が非上場会社の吸収合併等を行った結果、上場会社に実質的存続性が認められず、かつ一定期間内に新規上場審査に準じた審査に適合しない場合に上場廃止となることが規定されています。

(1) 実質的存続性の審査
上場会社が合併等の公表を行った場合、ジャスダックは合併等を実施した場合に、上場会社に実質的存続性が認められるかどうか審査を行います。

(2) 実質的存続性が失われると判断した場合 ⇒猶予期間入りが見込まれます
上場会社が実質的な存続会社であると認められないと判断した場合は、合併等の実行時点から「新規上場審査に準じた審査を受けるための猶予期間」に入る可能性がある旨の投資者への周知を図ります。

(3) 合併等の実行時 ⇒猶予期間入り
当該合併等の実行時点で「新規上場審査基準に準じた審査を受けるための猶予期間」に入ったことの投資者への周知を図ります。
・ 合併等の実行時点とは、合併の場合は合併期日、営業譲渡や業務提携については譲渡日や業務提携日を指します。
・ 猶予期間の期限は、当該合併等の属する事業年度末から3年目の日(ただし、猶予期間最終日が事業年度の末日とならない場合には、その直前に終了する事業年度の
末日。)です

(4) 猶予期間内に新規上場審査基準に準じた審査に適合した場合 ⇒猶予期間から解除
猶予期間から解除し、投資者への周知を図ることとします。
(5) 審査に適合しないまま、猶予期間が終了した場合 ⇒監理ポストへの割当て
猶予期間が終了した時点において新規上場審査基準に準じた審査が終了していない場合は、その翌日から監理ポストへの割当てを行い、投資者への周知を図ることとします。

(6) 猶予期間終了後、有価証券報告書提出から8日経過時点
猶予期間終了後、最初に有価証券報告書を提出した日から起算して8日目までに、新規上場審査基準に準じた審査に係る申請を上場会社が行わない場合は、上場廃止基準該当銘柄として整理ポストへの割当てを行い、投資者への周知を図ることとします。
なお、当該時点において新規上場審査基準に準じた審査を継続している場合は監理ポストへの割当てを継続します。当然ながら、当該審査が終了次第、一般ポストへの復帰(適合した場合)又は上場廃止を決定した上での整理ポストへの割当て(適合しなかった場合)のいずれかの対応をとることとなります。」
(ジャスダック ウェブサイトより抜粋)
クロニクルとJ・B・Aとの株式交換は、ジャスダックの審査により、実質的に存続会社がJ・B・Aとなるものと判定され、「新規上場審査に準じた審査を受けるための猶予期間」に入ることが見込まれる銘柄に指定された、というのがこのニュースです。

その後、クロニクルは株式交換の中止を決定し、ジャスダックも猶予期間入りが見込まれる銘柄から解除することを発表しています。

実質的な存続会社がどちらであるかは、合併後の株主構成、取締役会の構成、事業内容等を総合的に検討して判断されるものと思われますが、クロニクルのケースでは、筆頭株主がJ・B・Aの大株主であるJBA-WESTに変更される、ということを除いて具体的にどうしてクロニクルが存続会社と見なされないと判定されたかについて公表されていません。

もっとも直近期(平成20年2月期)のEPSが512.29円であるJ・B・Aの株価が44,786円と評価されていること自体異常であり、このような評価がまかり通ることをもってしても、存続会社はクロニクルではないことは明らかであると、私は思います。

【リンク】
平成20年9月9日「簡易株式交換による株式会社J・B・Aの完全子会社化および主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」株式会社クロニクル
http://www.chronicle-net.com/pdf/20080909_2.pdf

平成20年9月24日「簡易株式交換による株式会社J・B・Aの完全子会社化中止に関するお知らせ」株式会社クロニクル
http://www.chronicle-net.com/pdf/20080924.pdf

2004/12/13「不適当な合併等に係るJASDAQ上場廃止基準更新日」ジャスダック証券取引所
http://www.jasdaq.co.jp/list/list_41.jsp



# by yasukiyoshi | 2008-09-25 08:53