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2008年 07月 17日

米国会計基準による持分法投資損益の表示 ー ソニー

ソニー、営業損益に計上 グループの実力反映狙う
ソニーは2009年3月期連結決算(米国会計基準=SEC基準)から、関連会社による収益を示す持分法投資損益を営業損益に計上する。ソニーでは前期まで連結純利益にのみ計上していたが、営業利益がグループの実力を示さず開示方法として不適切と判断した。SEC基準を採用する日本企業で初めての会計処理となる。今後、同様の処理を検討する動きが広がる可能性もある。
(日本経済新聞 2008年7月17日 15面)
【CFOならこう読む】
日本基準では、持分法による投資損益は、営業外収益又は営業外費用の区分に一括して表示することが求められています(連結財務諸表原則注解23)。

一方米国基準では、equity in earningsとして法人税の後に1行で表示されます(規則S-X210.5-03(b)(13))。

ただし関連会社の事業が親会社の製品販売や資材調達に必要不可欠な場合などを特例として持分法投資損益を営業損益へ計上することが認められています。この規定に基づきソニーはSECと協議を進めていたが、今般認められることになった、というのがこのニュースです。

これによりソニーの2009年3月期の営業利益の期初予想は4500億円でしたが、持分法による投資損益700億円が上乗せされ5200億円前後となる見通しです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-07-17 08:25 | 会計
2008年 07月 11日

JAFCO、ファンド「非連結」に

JAFCO、ファンド「非連結」に VC決算方法、新旧が併存 あいまいな基準、投資家混乱も
ベンチャーキャピタル(VC)が運営するファンドの決算処理方法を巡る議論が活発になってきた。大手VCのジャフコが業界標準となっているファンド連結型の決算方式を見直し、2009年3月期からファンドを連結しない方式に切り替えると表明したからだ。同社の動きをきっかけに既存のVC決算の問題点が浮かび上がっている。
VC各社は2006年秋に企業会計基準委員会が公表した新ルールに基づき、運営するファンドを子会社として連結する新方式を事実上、裏付けられた。ライブドア事件後、企業が運営するファンドの実態を明瞭にすべきだとの声が強まったことが背景にある。

(日本経済新聞 2008年7月11日 16面)
【CFOならこう読む】
記事の、2006年秋に企業会計基準委員会が公表した新ルールとは、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第20号)を指しています。

基準は次の場合に業務執行者(営業者)が投資事業組合は業務執行者の子会社に該当するものとしています。
(1) 当該投資事業組合の業務の執行を決定することができる場合
(2)当該投資事業組合の業務執行の権限全体のうち、その100分の40以上、100分の50以下を自己の計算において有している場合であって、かつ、次のいずれかの用件に該当する場合


自己の計算において有している業務執行の権限と緊密な者及び同意している者が有している業務執行の権限とを合わせて、当該投資事業組合に係る業務執行の権限の過半の割合を占めていること
当該投資事業組合の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること
当該投資事業組合の資金調達額(貸借対照表の負債に計上されているもの)の総額の概ね過半について融資を行っていること
当該投資事業組合の資金調達額(貸借対照表の負債に計上されているものに限らない)の総額の概ね過半について融資及び出資を行っていること
当該投資事業組合の投資事業から生ずる利益又は損失の概ね過半について享受又は負担することになっていること
その他当該投資事業組合の財務及び営業又は事業の方針の決定を左右すると推測される事実が存在すること

(3) 自己の計算において有している当該投資事業組合に係る業務執行の権限と、緊密な者及び同意している者が有している業務執行の権限とを合わせて、当該業務執行の権限の過半の割合を占めているときであって、かつ、上記(2)の②から⑥までのいずれかの要件に該当する場合
記事にもあるように、この基準はライブドア事件を受けて新たに制定された規準です。ところで、最近ライブドア事件の判決文を読みました(判例時報 2008年7月1日号)が、もともと最初にファンドを利用した動機は、堀江の貸株の事実を隠蔽することにあったようです。その後ライブドアは、ファンドを自社株売却益を還流させる道具として使ったわけですが、ライブドアに限らず、多くのファンドの存在が企業の実態を見づらいものにしている、又はそもそも見えなくすることを意図して作られていることは事実です。

しかしこのような目的で作られたファンドとVCが運営するファンドを一律に規制することには明らかに無理があります。VCが運営するファンドは隠れ蓑として作られるわけではなく、共同投資の箱として利用されるにすぎないのです。

であるなら、「金融商品会計に関する実務指針」第132項の通り持分相当の損益を取り込めば十分で、これをあえて連結対象とすべきでないというJAFCOの言い分はもっともであると、私は思います。

【リンク】
判例時報 2008年 7/1号 [雑誌]
B001BJGMEW



by yasukiyoshi | 2008-07-11 09:49 | 会計
2008年 07月 01日

M&Aに関する基準案公表

会計基準委 M&Aに関する基準案公表 年内に最終決定
企業会計基準委員会は30日、M&Aに関する一連の会計基準案と、投資不動産の時価開示に関する会計基準案を公表した。M&Aに関する新ルールでは、合併時に両社の資産や負債を簿価のまま合算する「持分プーリング法」の廃止などを決めた。8月20日まで一般から意見を募り、年内に最終決定する方針だ。M&Aに関する新ルールは、2010年4月以降に実施する案件から適用する。2009年4月以降に早期適用することも可能。
(日本経済新聞2008年7月1日 18面)
【CFOならこう読む】
新基準案の主な項目は次の通りです。

・企業合併時の持分プーリング法の廃止
・「負ののれん」は一括で利益計上
・買収で取得した研究開発は資産計上も
・株式交換時の株価算定時期はM&Aの実施日に

(上記新聞記事より)

のれん及び負ののれんについては、次のように規定されています。
のれんの会計処理
32. のれんは、資産に計上し、20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。ただし、のれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該のれんが生じた事業年度の費用として処理することができる。

負ののれんの会計処理
33. 負ののれんが生じると見込まれる場合には、次の処理を行う。ただし、負ののれんの金額に重要性が乏しい場合には、次の処理を行わずに、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することができる。
(1) 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債(第30 項の負債を含む。)が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す。
(2) (1)の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。

正ののれんの規則償却をやめるルールについては今回の新ルールには盛り込まれていません。コンバージェンスの期限である2011年6月ぎりぎりの改正になるのかもしれません。少数株主持分からものれんを認識するか否かについての判断も先送りされています。

負ののれんについては、ほぼ米国会計基準SFAS141Rと整合する改正になっています。しかし、6月25日(http://cfonews.exblog.jp/8191889/)にお話しした通り、私はこの会計基準に問題があると思っています。

PBR(株価/1株当り純資産)が1倍を下回る会社がごろごろころがっている今の日本でこの会計基準を適用すれば、負ののれん目当てのM&Aが山のように実行されるようになるのは間違いないと私は思います。

【リンク】
「企業結合に関する会計基準(案)」
http://www.asb.or.jp/html/documents/exposure_draft/ketsugou/ketsugou_1.pdf


by yasukiyoshi | 2008-07-01 08:34 | M&A
2008年 06月 25日

負ののれん代

「負ののれん代」業績かく乱 一括利益計上へルール見直し
三越と伊勢丹が経営統合し、4月に発足した三越伊勢丹ホールディングス。初年度の2009年3月期は連結経常利益が470億円と、本業のもうけを示す営業利益の340億円を大きく上回る見通しだ。この背景には「負ののれん代」の償却による利益押し上げ効果がある。
この統合では、伊勢丹が三越を買収した形で会計処理した結果、負ののれん代が700億円発生。これを5年で償却するため、経常利益を140億円押し上げる。
のれん代はM&A時の買収額と受け入れる時価純資産の差額を示す。本来割安な価格で企業を買うことは難しいはずだが、マイナスののれん代=負ののれん代を計上する事例が相次いでいる。

(日本経済新聞 2008年6月25日 16面 M&A会計 最前線 下)
【CFOならこう読む】
日本基準では、「負ののれんは、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。ただし、負ののれんの金額に重要性が乏しい場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することができる。」(企業結合に係る会計基準第三の2(5))とされています。

一方米国基準では、取得資産と引受負債が正しく識別されたかどうかを評価し、当初の評価が正しく認識されていない場合には、取得企業は、負ののれんを減額し、それでもなお残額がある場合には、取得日の取得企業の損益として認識しなければならないことになっています(SFAS141R:2008年12月15日以降開始する事業年度から適用)
(「M&Aの会計実務 日米基準の具体的取扱い」長谷川茂男著 中央経済社) 。

負ののれんが計上されるのは、例えば次の2つのような場合です。

①PBR(株価/1株当たり純資産額)が1を下回る会社を株価で買収する
②PBR(株価/1株当たり純資産額)が1を上回る会社を1株当たり純資産以下の価格で買収する。

このうち①のPBR1倍以下という状態は、その会社のオンバランスの資産のNPV(正味現在価値)がマイナスであると株式市場は評価しているということを意味しています。そして、その状況はM&Aによって経営権が移動することによって直ちに改善されるとは限りません。

そうすると、果たして負ののれんを利益として計上するという会計処理が、本当に企業の実態を正しく表すことになるのか、私にはとても疑問に思えます。

【リンク】
M&Aの会計実務―日米基準の具体的取扱い
長谷川 茂男

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by yasukiyoshi | 2008-06-25 08:31 | M&A
2008年 06月 20日

自社株の無償取得-ラ・パルレのケース

ラ・パルレ相談役 保有株すべてを会社に無償譲渡
エステティックサロンのラ・パルレは19日、創業者の大石洋子相談役が保有する同社株約75,000株(発行済株式数の34.3%)すべてを18日付で同社に無償譲渡したと発表した。同時に創業者一族の大石舞氏も保有株のうち約14,000株(同6.7%)を無償譲渡。これに伴い8.6%を持つモルガンホワイトフライヤーズが筆頭株主に、5%を持つ大石舞氏が第二位株主になった。
(日本経済新聞 2008年6月20日 14面)

【CFOならこう読む】
異動の理由を会社は次のように説明しています。
「当社は、平成20年3月24日に東京都より「東京都内17店舗の一部業務停止」の行政処分を受けております。(特定継続的役務提供の一部業務停止3ヶ月、平成20年3月25日より平成20年6月24日まで)また、経営改善への過程で財務基盤が弱体化し、平成20年3月期決算における会社法に基づく監査は意見不表明となっており、財務基盤の改善を図るための第三者割当増資等を複数社と交渉中であります。これを受けて、平成20年6月18日付で当社の創業者であり相談役である大石洋子が、行政処分と会社法に基づく監査の意見不表明に対する責任を取り、保有する当社普通株式の全株を、同時に当社主要株主である大石舞の保有する当社普通株式14,701株について、それぞれ当社へ無償譲渡する旨の申し出がありました。
これにより、譲渡契約を締結し当社普通株式が譲渡され、筆頭株主および主要株主に異動が発生しましたのでお知らせいたします。」

会計及び税制上の取扱いが気になるところです。
会計については、「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」第14項が、次のように規定しています。
「自己株式を無償で取得した場合、自己株式の数のみの増加として処理する。」
税制については、「資本取引 税務ハンドブック」(税理士法人プライスウォーターハウスクーパース編 中央経済社)356ページに次のように記載されています。
「平成18年度の税制改正により、自己株式の取得の場合は資本金等を直接減額させる扱いとなったために、自己株式の取得は資本等取引であるとして、取得価額の高低にかかわらず課税所得が生じないのではないかとも考えられます。
しかしながら、自己株式の取得は発行法人の資本金等の額を減額させる取引ではあるものの、株主への対価の交付を伴う取引であることから、「複合的取引」であるとする見方が一般的と思われます。すなわち、自己株式の資産としての譲受けの要素が残されている以上、自己株式の譲受けは時価によるべきであり、時価よりも高値あるいは安値で譲り受けた場合にはその差額について寄付金または受贈益課税が生じるものと考えられます(法人税法22②、37⑧)。
自己株式の取得については他の資産の取得と同様に法人と株主との間の利益の移転の問題であり、株主間での利益移転の問題ではないと思われます。」
大石洋子氏が譲渡した75,000株は、昨日(19日)の終値(17,900円)で計算すると13億4600万円に相当します。

【リンク】
平成20年6月19日「主要株主である筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社ラ・パルレ
http://qweb1-1.qhit.net/hercules/pdfdocs/contents/2008/06/19/2008061904037100.PDF


by yasukiyoshi | 2008-06-20 10:11 | 会計
2008年 06月 18日

HOYA・ペンタックス、のれん代180億円少なく資産の評価方法変わる

HOYAが3月、ペンタックスを吸収合併したことに伴って発生するのれん代が、当初見込みの総額500億円から317億円にとどまり、180億円強少なくて済むことが分かった。経営統合の方式を完全子会社化にとどめず、合併にまで踏み込んだことで、税金に関連した会計処理が変わった。のれん代は10年で均等償却する方針だ。毎年の償却額が減る。
(日本経済新聞 2008年6月18日 17面)
【CFOならこう読む】
記事によると、
「時価純資産が増える「原資」となったのは買収される前のペンタックスが、保有する特許権の転売可能性を踏まえて計上していた税金関連の負債など。買収時の再評価によりこれに180億円の資産価値が生じた」
とのことです。

はっきりと原資を特定できないのですが、繰延税金資産・負債への取得原価の配分額の見直しがあったものと思われます。
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号)第73項は、繰延税金資産・負債への取得原価の配分額の見直しについて次のように規定しています。
「企業結合日に認識された繰延税金資産及び繰延税金負債への取得原価の配分額の見直しは、以下の場合がある。
(1) 暫定的な会計処理の対象としていた識別可能資産及び負債への取得原価への配分額の見直しに伴うもの
(2) 将来年度の課税所得の見積りの変更等による繰延税金資産の回収見込額の修正によるもの

(1)については第70項に従い会計処理する。
(2)の繰延税金資産の回収見込額の修正のうち、企業結合年度における修正は、第70項に従い、企業結合日におけるのれんの額を修正し、企業結合年度の翌年度における修正は、第70項の定めにかかわらず、原則として、翌年度の損益(法人税等調整額)に計上する。ただし、企業結合年度の翌年度における修正であっても、その修正内容が、明らかに企業結合年度における繰延税金資産の回収見込額の修正と考えられるとき(企業結合日以後1年以内に行われたものに限る。)は、企業結合日におけるのれん(又は負ののれん)の額を修正する(第379項参照)。」
記事の「180億円まとめて利益に計上し、のれん代はそのままとする会計処理も可能だったが、合併で可能になったのれん代の圧縮を選択した。」は、第73項の(2)における企業結合年度の翌年度における修正を参照しているものと思われます。

【リンク】
平成20年5月16日「(訂正)平成20 年3 月期第4 四半期(3 ヶ月間)連結決算概況<ご参考>の訂正について」HOYA株式会社
http://www.hoya.co.jp/data/current/newsobj-605-pdf.pdf


by yasukiyoshi | 2008-06-18 10:21 | 会計
2008年 06月 10日

株主優待引当金

株主優待引当金計上企業が増加
株主優待の費用を引当金として計上する企業がじわりと増えている。2007年3月期ー2008年2月期の貸借対照表に株主優待引当金を計上した企業は18社と1年前に比べ11社増加した。個人株主を獲得する手段として株主優待制度が広がる中、企業は優待のコストを認識する必要に迫られている。
(日本経済新聞 2008年6月10日16面)

【CFOならこう読む】
会社計算規則における負債の評価に関する規定は、会社計算規則第6条に通則的な規定が設けられています。
①原則
負債については原則として債務額を付さなければなりません(計算規則6条1項)
②引当金
引当金の計上の可否については、債務性の有無にかかわらず、企業会計の基準その他の会計慣行により判断されることを前提としたうえで、引当金については、債務額ではなく適正な価格により評価することができるとしています(計算規則6条2項1号)。

そしてこの引当金には、「株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む」と規定されています(計算規則6条2項1号)。

会社法立案担当者は、「会社法の計算詳解 第2版」(郡谷大輔・和久友子編著 中央経済社)の中でこの規定の趣旨を次のように説明しています。
「また、「株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む」とあるのは、創設的な意味ではなく、役務を提供の相手方が誰であるかにかかわらず(例:株主に対する株主優待)、費用・損失の発生または収益の控除が見込まれることにより引当金を計上すべき場合には、適正な価格を付すことができることを注意的・確認的に規定したものである。」
”できる”という表現が引当計上してもよい(しなくてもよい)という風に読めますが、これはそういうことではなく、株主優待のように、役務の提供の相手方が株主の場合でも引当計上できるのか、という昔からある疑問に対して、”問題なくできる”と答えたものと解されます。

【リンク】
会社法の計算詳解 第2版―株式会社の計算書類から組織再編行為まで
郡谷 大輔 和久 友子

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by yasukiyoshi | 2008-06-10 08:36 | 会計
2008年 06月 04日

「特別目的会社の開示指針」の開示対象

特別目的会社を重点審査、金融庁が上場企業など対象
金融庁は3日、上場企業など有価証券報告書を提出している全企業について、特別目的会社(SPC)の保有状況や情報開示の実態を重点審査すると発表した。不動産開発や投資事業を運営する器として設立する企業が多い点に着目。子会社に該当しないようにみせ、連結対象から外すことで投資家に不利益を与えるケースが発生するのを防ぐため、情報開示が不十分な企業には訂正を求める。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C03020%2003062008&g=E3&d=20080603
(日本経済新聞 2008年6月4日7面)
【CFOならこう読む】
適用指針15号「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」3は開示対象とすべき特別目的会社について次のように規定しています。
「連結財務諸表に注記しなければならない「連結の範囲等」(連結原則 第七 1)及び「その他の重要な事項」(連結原則 第七 5)には、子会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三により、出資者等の子会社に該当しないものと推定された特別目的会社(この場合において関連会社とされているものも含む。以下「開示対象特別目的会社」という。)」
会社等の範囲の見直しに係る具体的な取扱い 三は、特別目的会社の取扱いについて次のように記載しており、この規定に従い子会社としなかった特別目的会社が開示対象となります。

「特別目的会社(特別目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号)第2条第2項に規定する特定目的会社及び事業内容の変更が制限されているこれと同様の事業を営む事業体をいう。以下同じ)については、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を当該特別目的会社が発行する証券の所有者に享受させることを目的として設立されており、当該特別目的会社の事業がその目的に従って適切に遂行されているときは、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した会社(以下「出資者等」という。)から独立しているものと認め、上記一にかかわらず出資者等の子会社に該当しないものと推定する。」

【リンク】
平成19 年3 月29 日「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」企業会計基準委員会
http://www.asb.or.jp/html/documents/docs/spe-kaiji/spe-kaiji.pdf



by yasukiyoshi | 2008-06-04 08:09 | 会計
2008年 05月 29日

日立キャピタル、リース会計基準変更に伴う特別利益一括計上

日立キャピ、純利益34%増 リース会計基準変更 特別利益を一括計上
日立キャピタルは28日、2009年3月期の連結純利益が前期比34%増の144億円になりそうだと発表した。従来予想は135億円だった。4月から新しいリース会計基準が適用されたのに伴い、前期末までに流動化したリース債権の未実現利益を、今期に特別利益として一括計上することになった。
(日本経済新聞 2008年5月29日 16面)
【CFOならこう読む】
日立キャピタルは、プレスリリースで本件を以下のように説明しています。
「当社は、リース債権の流動化を財務の1つの手段として活用しております。これは将来の受取リース料を現金化するものであり、会計上は損益の発生しない取引としておりました。しかしながら、「金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14 号)」の改正により、流動化しているリース債権は過去に遡及して売買処理として取扱うこととなり、本年3月31 日までに既に流動化していたリース債権の未実現利益を今年度に一括して損益計上することと致しました。なお、このリース債権の流動化処理の変更により特別利益243 億円を計上する予定であります。」
これは、この4月から適用になった新しいリース会計基準が、所有権移転外ファイナンスリースについても原則通常の売買取引に準じた方法によることを定めており、また、適用指針16号が「リース取引開始日が会計基準適用初年度開始前のリース取引についても、リース会計基準及び本適用指針に定める方法により会計処理を行い、変更による影響額を特別損益として処理すること」としていることに伴うものと思われます。

なお、改正「金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14 号)」18項は、リース取引について次のように規定しています。
「リース取引は、企業会計基準委員会企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)に従って処理されるため、金融商品会計基準の適用外である。ただし、リース取引により認識されたリース債権及びリース投資資産のうち将来のリース料を収受する権利に係る部分(リース会計基準第41項)又はリース債務は、金融資産又は金融負債として、その消滅の認識や貸倒見積高の算定等につき金融商品会計基準に従って処理する。また、リース取引に組み込まれたデリバティブには金融商品会計基準が適用される。」
日立キャピタルの「将来のリース料を収受する権利」の流動化が、金融商品会計基準の消滅の認識の要件を満たすことから、売買処理されたということです。

【リンク】
平成20年5月28日「特別損益の計上および業績予想の修正に関するお知らせ」日立キャピタル株式会社
http://www.hitachi-capital.co.jp/hcc/ir/pdf/080528_1.pdf


by yasukiyoshi | 2008-05-29 10:35 | 会計
2008年 05月 28日

会計処理方法の変更事例-セコム、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理方法変更

セコム401Kへの全面移行を断念
セコムは準備していた確定拠出型年金制度(日本版401k)への全面移行を断念した。
確定給付型年金制度からの転換を目指し一部導入していたが、法人税が非課税となる拠出額の上限が低く抑えられたままで環境が整わないと判断した。全面移行を前提に年金運用の利差益である「数理計算上の差異」
を発生年度に一括消却しており、業績への影響も大きかった。
(日本経済新聞 2008年5月28日 19面)

【CFOならこう読む】
当ブログで3月8日に私は数理計算上の差異の会計処理方法の変更について次のように書きました(http://cfonews.exblog.jp/7460642/)。
「今年度は多くの年金資産が大きなマイナスの運用成績を計上することが予想され、「数理計算上の差異」を発生年度に一括処理する方法を採用している会社は気が気でないことと思います。こんなときには「会計方針の変更」という言葉がCFOの頭をよぎるものです。「一括法から定額法又は定率法への変更、それが難しければせめて発生年度の翌期からの処理に変更できないだろうか」、そんな考えが頭をもたげるかもしれません。事例としてはないこともないようです。しかし、通常、合理的な変更理由を見出し難く、監査法人等の理解を得るのは不可能であると思われます。会計方針というのは当初の選択が本当に重要なのです。」/span>

セコムは、従来「数理計算上の差異」発生連結会計年度に全額損益処理する方法を採用していましたが、2008年度3月期より、発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主して10 年)による定額法により、発生の翌連結会計年度から損益処理する方法に変更しています。

3月8日にも書きましたが、「数理計算上の差異」の会計処理には以下のa-A、a-B、a-C、b-A、b-B、b-Cの6通りの方法があります。このうち最も保守的なのはa-Aの方法です。

●処理開始時期
a 発生年度から処理
b 発生年度の翌期から処理

●処理方法
A 一括処理方法
B 定額法
C 定率法

セコムの会計処理方法の変更は、この最も保守的な方法であるa-Aからb-Bへ変更するものです。

セコムは変更の理由を次のように説明しています。
「当社は、従来退職給付会計に係る数理計算上の差異について、発生連結会計年度に全額損益処理する方法を採用してきました。
この会計処理方法採用の背景には、確定給付型年金制度と確定拠出型年金制度の併用および厚生年金基金の代行部分の国への返上を骨子とする退職給付債務の減額を伴う退職給付制度の抜本改訂を決定したことがあり、長期的に確定給付型年金制度を確定拠出型年金制度へ全面移行する方針を前提としておりました。
確定給付型年金制度から確定拠出型年金制度へ全面移行する方針については、関係諸法令の規制などもあり、確定拠出型年金制度への移行割合が30%と全面移行(100%)に比べ大きく乖離している状況にあり、関係諸法令の改正も不透明であることから、平成20 年3月開催の取締役会において確定拠出型年金制度への全面移行を断念する決議をいたしました。
確定拠出型年金制度への全面移行を断念したことに伴い、移行を円滑に進める目的であった数理計算上の差異の早期解消も必要性が薄れている現状においては、従来の会計処理方法に従った場合には、数理計算上の差異が発生連結会計年度の営業利益に大きな変動を与える可能性があり、年金資産の運用を含む退職給付制度が中長期的な視点を求めて行われるものであるという本来の性質上、単年度の数理計算上の差異が当該発生連結会計年度の企業業績を直接変動させる従来の会計処理方法が適合しなくなってきております。以上のような状況から、数理計算上の差異の処理方法を発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10 年)による定額法により、発生の翌連結会計年度から損益処理する方法に変更しました。
この変更により、従来の方法によった場合と比較して、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益がそれぞれ10,096 百万円増加しております。」
一括法から定額法への変更理由としては相当なのかもしれませんが、処理開始時期を発生年度ではなく翌会計年度に変更した理由はよくわかりません。

2008年3月期の営業利益は104,706百万円、2007年3月期の営業利益97,840百万円に対し6,865百万円の増益であったわけですが、この会計処理方法の変更がなければ減益であったことになります。

IFRsでは数理計算上の差異を純資産の部に直接計上する方法が認められており、コンバージェンスを睨んでの対応とも考えられます。

【リンク】
平成20年5月8日「平成20年3月期 決算短信」セコム株式会社
http://www.secom.co.jp/corporate/ir/finance/result/pdf/kessan20-3.pdf




by yasukiyoshi | 2008-05-28 08:28 | 会計