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2007年 10月 18日

HOYA、営業益500億円 9月中間10%減 従来計画を上回る

ペンタックス買収のれん代700億円、20年均等償却へ
HOYAがペンタックスを完全子会社化する際に発生するのれん代は700億円前後となる見通しだ。20年間で均等償却する方針で、今下期から半期あたり 17億5千万円程度の償却費用が発生する。HOYAはTOB(株式公開買い付け)でペンタックス株の90.58%を取得済み。近く残りを株式交換などで追加取得し完全子会社化する計画で、買収総額は約1,050億円となる見込み。のれん代は買収総額と時価純資産との差額。ペンタックスの6月末時点の簿価純資産は467億円だった。不動産や特許などの資産を保守的に再評価した結果、時価ベースの純資産は350億円程度にとどまるもようだ。
(2007年10月18日 日経新聞15面)

【CFOならこう読む】
HOYAという会社は私にとってとても気になる会社のひとつです。

というのもこの会社には江間賢ニさんという素晴らしいCFOがいるからです。江間さんはSVAと呼ぶEVAと同様の業績評価の指標を、日本企業の中では相当に早い段階で導入し、社内に資本コストの概念を浸透させることに成功させ、また他企業に先がけ四半期開示を行う等IRに力を入れる、財務の拠点をオランダに移しオランダに常駐する、というように日本の企業財務の新しい流れを主導してきました。

今日の日経金融新聞の一面が20年来株価上昇率銘柄ランキングを報じていますが、HOYAは第8位、上昇率は779%と素晴らしいパフォーマンスを記録しています。これも江間さんの力によるところが大きいと私は思っています。

江間さんの業績の中で特に素晴らしいのが税コスト低減への取り組みです。「地球儀への上で考えて発想する」が持論の江間さんは、1998年度には50%を超えていた実効税率を徐々に引き下げ、2006年度には22%まで軽減しています。日本では税金を国への利益配分と位置づける考えが定着している中、江間さんのように税負担の軽減に執念深く取り組むCFOはまだまだ少数派です。
そんな江間さんがペンタックスの買収コストをどう処理するか興味深いところです。

税務上「のれん」(資産調整勘定といいます)は損金経理の有無に関らず5年で均等償却することとされています。記事によると「不動産や特許などの資産を保守的に時価評価した」とのことです。未償却資産や償却期間の長い資産を評価減するとそれだけ「のれん」が膨らむので、この辺りが合併や事業譲受の場合のタックスプランニングの要諦になります。

ところがHOYA・ペンタックスの買収で発生する「のれん」は税務上償却できないのです。何故なら「のれん」は連結財務諸表の上で出てくるだけで、税務申告のベースとなる単体の財務諸表では現れてこないからです。これはM&Aの実務において誤解の多いところなので注意が必要です。

それでは「不動産や特許などの資産を保守的に時価評価」の狙いはどこにあるのでしょう。税務上の理由でないとすると会計上の理由、特にEPSへの影響を考慮したものとも考えられます。会計上は、特許権のように耐用年数が8年のものをのれんに変換することにより20年で償却することが出来ればEPSは改善することになります。しかし土地のように未償却資産が評価減の対象であるなら、EPSは悪化することになります。おそらくHOYAの場合はそういうことではなく、近い将来の減損損失の計上を回避することが狙いであったものと思われます。

子会社化後数年内に減損損失を計上することになれば、その分PLが痛むことになります。ましてや100億円以上の減損損失となると、HOYAといえども小さな金額ではありません。同じものを評価減した上で連結にとりこめば、評価減分は単年度の損失処理ではなく、のれん償却費として20年に分割してPLに落とすことができるのです。

ただし、現時点では中間決算がHOYA、ペンタックスともに発表されていないので、これはあくまで私の推測です。この件については短信が出たところで再度とりあげたいと思います。

PS:
今日は江間さん関連の資料を探したりしているうちに更新予定時間を大きくオーバーしてしまいました。「毎朝9時に更新する」と断言しているのにごめんなさい。
今日から「ほぼ毎朝9時に更新する」に変更させてもらいます(笑)。

【リンク】

HOYA株式会社 第69期有価証券報告書(PDF)
http://www.hoya.co.jp/data/current/stockreportsubobj-50-pdfcontent.pdf

ペンタックス株式会社 第77期有価証券報告書(PDF)
http://www.pentax.co.jp/japan/company/ir/data/yusho/200703yusho.pdf


by yasukiyoshi | 2007-10-18 10:30 | M&A
2007年 08月 14日

GMO、金融事業からの撤退発表

売却にともない、過払い利息返還に関連した損失引当金72億円や貸倒引当金繰入額105億円、のれん代の減損損失59億円などを6月中間期に計上する。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070813AT1D1306413082007.html

(CFOならこう読む)

不採算事業を切り離す際に考慮すべき事項は、
連結対象から外せるか
税務上損金算入できるか
の2点でしょう。

GMOの事例では消費者金融子会社であるGMOローン・クレジットホールディングスを
MBO方式で同社経営陣に売却するとのことなので、
おそらく連結対象から外すことができるでしょう。
また株式譲渡による完全事業撤退であるので、
この事業に関わる損失が税務上損金算入できる可能性が高いと思います。

GMOはこの処理に合わせてGMOインターネット証券を
GMOの会長兼社長である熊谷正寿氏に売却し、
売却益35億円を捻出するとのことです。
これは消費者金融業からの撤退に伴う損失が200億円以上にのぼり
債務超過に陥ることを回避するためのものであると思われます
(2006年12月期純資産 連結19,528百万円 単体16,001百万円)。

しかしこの売却益が連結決算上実現できるかどうかは極めて微妙です。
連結範囲の決定は、支配力基準で行うことになっています。
監査委員会報告60号は、
次のいずれかに該当する場合子会社とみなすとしています。

50%超の議決権を所有している
40%以上50%以下で財務上または営業上若しくは事業上の関係からみてその会社の
 議決権を支配している事実が存在していること

議決権40%未満であるが「緊密な者」と合わせて議決権の過半数を占めている会社で
 営業上若しくは事業上の関係からみてその会社の意思決定機関を支配している事実が存在していること


(注)「緊密な者」とは、出資、人事、資金、技術、取引等における両者の関係状況からみて、
自己の意思と同一の内容の議決権を行使するもの。

上記③の規定によると
GMOの役員で会長兼社長である熊谷氏はGMOの「緊密な者」に該当するので、
これを考慮してもGMOがGMOインターネット証券の意思決定機関を支配していないことが
明らかに認められる場合を除き、連結対象から外すことはできないことになります。
連結対象から外せない場合、
GMOインターネット証券株式の売却益は連結決算上実現していないものとみなされます。

GMOの監査法人は、
2006年12月期は中央青山、2007年12月期はトーマツです。

by yasukiyoshi | 2007-08-14 08:37
2007年 08月 04日

企業の会計、国際基準と全面共通化・2011年までに

透明性の高まりで海外からの投資を呼び込みやすくなるほか、日本企業の海外での資金調達も容易になる。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070804AT2D0301I03082007.html

【CFOならこう読む】
M&Aに関し、日本の会計基準と国際会計基準を比較して大きく違う点は次の2つです。

①国際会計基準ではパーチェス方式一本であるが、日本ではどちらが買い手か判然としない対等合併が多いとの理由から一定の要件のもと持分プーリング方式が認められている。

②買収時に発生する「のれん」を国際会計基準では定額償却しないが、日本では買収コストをPLに反映すべきとの理由から定額償却する方式によっている。

これに対し私の考え方は次の通りです。

①について
日本で過去行われてきた対等合併も実はどちらが買い手であるか明らかなものがほとんどで、
持分プーリングが認められる根拠としてはそもそも薄弱でした。
その上ここ数年買い手が売り手株主に30%程度のプレミアムを支払った上で買収するケースが一般的になっていて持分プーリングに固執する必要はないでしょう。

②について
のれんの本質は「貸借対照表価額と市場が評価する企業価値との差異」にあります。つまりM&Aの場面で買い手は貸借対照表を買うわけでなく、企業価値を買うのです。
この価値が定額で目減りすると考えることに全く根拠がありません。そもそも貸借対照表には個々の資産の購入価額が計上されています。企業価値は有機的一体として評価した企業価値なので、両者は当然に相違します。そして買い手が買ったものは後者に他ならないのだから定額償却をしない方が理論的です。

それにしても企業会計基準委員会の委員長を斉藤静樹さんが降りられてから一気に国際会計基準との調和が進みそうです。

もう日本の独自性というものを訴えることはないのでしょうね。

by yasukiyoshi | 2007-08-04 09:30
2007年 07月 09日

[グッドウィル]派遣労働者が不透明な天引きを集団提訴へ

日雇い派遣業界ではこうした不透明な天引きが横行しており、業界全体の体質を問う裁判として注目を集めそうだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/3225514/

(CFOならこう読む)
倫理的、法的問題はさておき、これって会計処理はどうなっているのでしょうか?
2年間で37億円もの費用がPLに計上されていないようです。
あるべき処理としては、天引き分を一旦預り金とした上で、
データ装備費支出分を預り金から取り崩すのが正しいはずですが、
財務諸表を見てもそのように処理された形跡があります。
仮にデータ装備費天引き分差引後の金額を人件費として処理していたなら、会計上の問題もあるように思います。

監査人は…、みすず(中央青山)です。

by yasukiyoshi | 2007-07-09 08:19