吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 11月 26日

オリックスの外国人持株比率67%

オリックス株、外国人3分の2保有・9月末67%
オリックスは9月末の外国人持ち株比率が67%と発行済み株式数の3分の2を初めて超えた。特定の外資の支配下にある企業を除くと、国内上場企業では最高。外国人株主が同一歩調をとれば、合併など重要事項を決める「特別決議」が可能な水準となり、経営への影響は大きい。ヤマダ電機でも外国人持ち株比率が 6割を超えるなど、有力企業で外国人の存在感が高まっている。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071126AT2D2100E24112007.html

【CFOならこう読む】

記事の中に次のように記述があります。
「外国人投資家は高いリターンを求めて機動的に投資先を変える傾向があるため、外国人株主の多い企業は買収リスクが高くなりやすい」
これは一体何を言わんとしているのでしょうか。経済活動はボーダレスに行われており、特に資本は軽々と国境を飛び越えて行くのですから、優良企業の株主の多数を外国人投資家が占めることは当然のことと言えます。

そして普通の投資家は資本コストに見合ったリターンを会社に要求するものなのです。これが出来ない経営者は、M&Aにより強制的に退陣させられる、これにより効率的な資源配分を実現出来るのが市場型資本主義の大きな特徴の一つなのです。

記事では買収リスクが高くなることがあたかも悪いことであるかのように書かれていますが全くナンセンスです。これに対し藤木社長は、

「企業価値を高めることが最大の買収防衛策は。持ち合いはしておらず、市場にすべて委ねている。」と極めて真っ当なコメントをしています。この市場重視の姿勢が、外国人株主の買いを呼んでいるのでしょう。

オリックスの業績の推移
当期純利益およびROEグラフ
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総資産およびROAグラフ
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株主資本および株主資本比率グラフ
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1株あたり純利益(希薄化後)および純資産グラフ
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【リンク】
財務情報:オリックス株式会社
http://www.orix.co.jp/grp/ir_j/financial/index.htm

by yasukiyoshi | 2007-11-26 08:50 | 買収防衛策
2007年 11月 09日

買収防衛策としての転換社債型新株予約権付社債の発行―オートバックスセブンのケース その2

オートバクス CB発行巡り対立
オートバクスセブンが投資会社に割り当て予定の新株予約権付社債(転換社債=CB)を巡り会社と株主が対立している。大株主で英運用会社のシルチェスター・インターナショナル・インベスターズは「割当先の実態が不明で転換価格も低すぎる」と主張。6日付で東京地裁に発行差し止めの仮処分を申し立てた。
(日本経済新聞 2007年11月9日 17面)

【CFOならこう読む】
昨日はこの件、不公正発行という観点からお話ししました。今日は引き続きこの件を有利発行という観点から見てみたいと思います。

シルチェスターは、転換価格2890円(10月25日終値)について、「現在の株価は2005年以降で一番低い水準。実質支配分のプレミアムを付けた価格にすべきだ」と主張しています。転換社債の理論価格は、普通社債の理論価格+新株予約権の理論価格として計算されます。日本ではこれを区分せずに会計処理することが認められている(一括法といいます)ので、それぞれいくらであるかは示されないのが普通です。したがって発行価格から普通社債の理論価格を控除した価額を新株予約権の発行価格とみなしてこれが有利発行に相当するかどうか判断されることになります。

ライブドア事件で東京地裁は、「特に有利なる条件」による新株予約権の発行とは、公正な発行価額よりも特に低い価額による発行をいうところ、新株予約権の公正な発行価額とは、現在の株価、権利行使価格、権利行使期間、金利、株価変動率等の要素をもとにオプション評価理論に基づき算出された新株予約権の発行時点における価格をいう」の判断を示しています。

したがって権利行使価格(転換社債の転換価格)が現在の理論株価より低いとしてもそれ自体は問題にならず、正しく新株予約権の評価がされていれば有利発行とはならないのです。

私は本件で問題だと思うのは、発行される新株予約権が仮にすべて権利行使されると既存株式数の44%の新株となるという大量の新株予約権の発行であるため、希薄化を予期して既存株式の株価が大幅に下落する恐れがあり、オプション評価モデルによって算定される理論価格を希薄化を考慮して修正することが必要であると考えられるが、この修正を行った上で会社は新株予約権の評価を行っていないと思われる点です。(この点例えばブリーリー=マイヤーズ コーポレートファイナンス(第6版)下巻70ページを参照のこと)

希薄化を考慮すれば本件は有利発行に該当する可能性も十分にあると思います。実際株価は10月25日終値2890円から11月9日終値2395円と大きく下げています。この事実を会社は重く受け止める必要があると私は思います。

【リンク】
(株)オートバックスセブン:Yahoo!ファイナンス
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=9832.o&d=c&k=c3&h=on&z=m


by yasukiyoshi | 2007-11-09 10:14 | M&A
2007年 11月 08日

買収防衛策としての転換社債型新株予約権付社債の発行―オートバックスセブンのケース

オートバックス、大株主がCB発行差し止めの仮処分申請
オートバックスセブンは7日、同社が発行を予定していた新株予約権付社債(転換社債=CB)について、大株主の英投資会社が6日付で東京地方裁判所に発行差し止めの仮処分を申し立てたと発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071107AT2D0700907112007.html

【CFOならこう読む】
英国の投資ファンドシルチェスターインターナショナルによる買収の脅威に対抗するために転換社債型新株予約権付社債の発行に踏み切ったものと思われます。本転換社債型新株予約権付社債の新株予約権が行使されると、引受先2社合計で36%の株式シェアを有することになります。

シルチェスターインターナショナルはこれを有利発行及び不公正発行であると主張し、社債発行差止の仮処分の申し立てを行いました。会社は、本社債による調達金額648億円の使途を、事業ポートフォリオ再構築のために行われる予定の将来のM&Aのため、としています。

現に支配権に争いが生じている場面で行われるエクイティファイナンスは、それが主に資金調達目的のために行われるものか、支配権維持(取得)のために行われるものかのいずれであるか裁判所が判断し、後者であると認められる場合にはそのエクイティファイナンスは差し止められることになります(主要目的ルールといいます)。

本件の場合、差し迫って資金需要があるわけではないと思われますが、一方支配権に争いが生じているのかどうか外部からはよくわからないので、現時点で裁判所の判断がどうなるかは不透明です。しかしもり“将来のM&A”が主要目的ルールとして認められるなら、企業価値研究所は即刻解散し、日本では買収防衛策は何でも認めるということにすれば良いと私は思います。

【リンク】
2007年10月26日「第三者割当により発行される無担保転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ」株式会社オートバックスセブン
http://www.autobacs.co.jp/seven/release/news.php?id=939&PHPSESSID=f4a51cbad8df6bdce98f6de2d10a561c

2007年11月7日「当社に対する新株予約権付社債発行差止仮処分の申立てに関するお知らせ」株式会社オートバックスセブン
http://www.autobacs.co.jp/seven/release/news.php?id=944


by yasukiyoshi | 2007-11-08 08:17 | M&A
2007年 10月 27日

事後の買収防衛策:買収の是非を判断するのは経営者ではなく株主である

敵対的買収者出現後の防衛策、導入ルール検討・経産省研究会
経済産業省の企業価値研究会(座長、神田秀樹東大大学院教授)は26日、敵対的買収者が現れた後に企業が買収防衛策を導入・発動する際のルールづくりに着手した。買収者に手を引かせるため金銭を補償しなくて済むようにするほか、事後の防衛策導入に株主の3分の2の同意(特別決議)は不要とする方向で調整する。来春までに報告書をまとめる方針だ。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071027AT3S2602J26102007.html

【CFOならこう読む】
事後の防衛策導入に株主総会特別決議を不要とする方向で調整するとのことです。

昨日の企業価値研究会会合では、「特別決議が可能な態勢を目指した株式持ち合いの動きが復活する」との懸念が示され、特別決議は不要との意見が大勢を占めたということです。

しかしこれは程度の問題で、事後的に株主総会の決議(かりに普通決議であったとしても)によりあらゆる買収者を排除できるのであれば、結局経営者は過半数の安定株主作りのために株式持ち合いに走るでしょう。

M&Aの最も重要な効用は、株主価値(企業価値)を創造しない経営者の交替を促すところにあります。だからこそ経営者は規律づけされ、私的に会社の資産を浪費するといったことが厳しく戒められるのです。

今企業価値研究会が考えるべきことは、株主総会の決議が特別決議か普通決議かなどといった皮相的なことではなく、企業価値を創造する買収であれば経営者がどんなに反対しようが株主の意思で実現できる仕組みを作ることだと思います。それには株主総会が長期的に株主価値を創造するか否かにより買収の是非を判断できるように機能させることが絶対に必要不可欠なのです。

第三者割当増資という名のもと実質的に経営者が支配している取締役会の決議により、株主をいかようにも選択できるのなら、いくら株主総会の決議を諮ったところでそれが株主価値の創造、ひいては公共の利益につながる保証は全くないのです。

企業価値研究会などという仰々しい名前をつけているのですから、ぜひともそこにメスを入れてもらいたいと切にお願いする次第です。

【リンク】
企業価値報告書2005年5月27日「公正な企業社会に向けた提案」(PDF)
http://www.meti.go.jp/press/20050527005/3-houkokusho-honntai-set.pdf


by yasukiyoshi | 2007-10-27 09:28 | 買収防衛策
2007年 09月 07日

新日鉄、株主配分を拡大 安定株主確保狙う

新日本製鉄が株主配分を拡大している。
6日、2007年9月中間期の配当を前年同期比1円増の5円にすると発表し、
2008年3月期通期での増配も示唆した。
業績好調で積み上がる利益を配当や自社株買いで株主に配分することで、
安定株主を増やす狙い。
世界的な再編が進む中、敵対的買収に備える意味もある。

2007年9月7日(金)日本経済新聞朝刊17面

(CFOならこう読む)

買収につぐ買収で昨年1月に誕生した
世界最大の製鉄会社アルセロール・ミタルによる買収防衛を狙いとした
資本政策を新日鉄は次々と打ち出しています。
記事にはこの点次のように書かれています。
「新日鉄の資本政策を読み解くには、買収防衛をキーワードにするとわかりやすい。
増配や自社株買いで株主に利益を配分し、個人など安定株主を増やす。
自社株買いには、市場で流通する株式を減らし、
敵対的な買収のリスクを抑制する効果も期待できる」


一体これは誰のための買収防衛なんでしょうか?
新日鉄の技術力、開発力がアルセロール・ミタル傘下に入ることでより生かされるなら、
そちらの方が企業価値創造という点では望ましいにきまっています。
買収にとって首がとぶ経営陣と支配構造に組み込まれている従業員は
何をしてもこれを阻止したいのでしょう。

しかし経営とは企業価値創造のコンテストであり、
現経営体制によりもより大きな企業価値を創造できる経営者が現れれば、
速やかに経営権を移動させるべきなのです。
資本主義ではコンテストの結果が株価に反映されるようになっています。
現経営陣が実現できていない企業価値の一部を株式の買取価格にプレミアムとして上乗せすることにより
経営権の移行がスムーズに進むような仕組みになっているのです。
これを入り口でふさぐべく安易に事業会社及び金融機関を中心として安定株主作りに励むのは明らかに間違っています。
このような目的で行われる第三者割当増資(普通株式への転換条項がついた社債も含む)も許されるべきではありません。

一般株主はもっと怒るべきです。
株式の希薄化をもたらすエクイティ・ファイナンスには断固として反対すべきです。
ROEを下げる要因となるような株式持合いについても
その経済合理性について徹底的に説明を求めるべきです。
一般株主がもっと声をあげるようになれば
日本の市場型資本主義はより成熟したものになるはずです。

と、ここまで書いて気がつきました。
これはデモクラシーの議論と全く同じなんですね。

by yasukiyoshi | 2007-09-07 09:09 | 買収防衛策
2007年 08月 15日

総会決議重視に危うさも――ブルドック買収防衛策 影響は?

ライブドアに対抗したニッポン放送事件の担当裁判長を務めた鬼頭季郎前東京高裁部総括判事と、ブルドックの防衛策を設計した岩倉正和弁護士とに対談してもらった。
http://www.nikkei.co.jp/ks/topnews/20070814f1a8e003_14.html

(CFOならこう読む)

ブルドックの買収防衛策である新株予約権の無償割当を会計・税務上どう処理すべきかという点について
鬼頭氏は次のように答えています。

「第一に株主総会の特別決議に基づくスティール以外の
株主を対象にした第三者割当増資
という見方がある。
割当価格が1円なので不公正な価格による発行であるとの非難を回避するため、
スティール側には金銭的な補償をしたという考え方だ。

第二に新株予約権の無償割当は配当の一種であり、
スティール側に現金で配当し、その他の株主には新株で配当した
という見方がある。
この場合、一部の剰余金を資本勘定に組み入れる会計処理をすべきかもしれない。

第三に新株予約権の無償割当を株式分割の一形態ととらえる見方がある。
ただ、株式分割は株主の持株比率に影響を及ぼさないものだから、
特定株主から分割株を強制的に買い取るのと同様の効果を生じさせる
今回の手法が会社法上認められるか疑問がある。」

これに対し岩倉氏は次のように返しています。
「会社法はその法的性質をつめないまま制度を導入しており、
国税当局や公認会計士に問い合わせても明確な回答は得られなかった。
法的性質が明らかになれば、
導入時にどういった点をクリアする必要があるのかが明確になるだろう。」

これに対する私の見方は次の通りです。
一旦全株主に新株予約権を付与するのだから第三者割当増資には当たらない。
これが配当か株式分割かについては、現行会社法上株式配当という考え方はないこととの
整合性をとるために株式分割ととらえることが適当であろうと思います。
実際ブルドックも配当ではなく分割株の買取・消却という考え方に従い会計処理を行っています。
そうすると上で鬼頭氏が「今回の手法が会社法上認められるか疑問がある」
との発言は気になるところです。

ところで分割株の買取・消却ならどう考えても資本取引であるのに、
企業会計基準適用指針第17号は、
「自己新株予約権を消却した場合、
消却した自己新株予約権の帳簿価額とこれに対応する新株予約権の帳簿価額との差額を、
自己新株予約権消却損等の適切な科目をもって当期の損益として処理する」
としており、ブルドックはこれに従ったものと思われますが、
この会計基準は明らかにおかしいですよね。

by yasukiyoshi | 2007-08-15 08:38 | 買収防衛策
2007年 07月 10日

東京高裁、スティールの抗告を棄却・「決定は予想外」

ブルドックは「高裁決定は株主の判断を正当と認めた妥当なもの」とのコメントを発表。スティール側は「決定は予想外で、対応は全くの白紙」としている。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070710NTE2INK0909072007.html

(CFOならこう読む)
スティールのようなファンドは、投資の内部収益率(IRR)を稼ぐのが目的です。
IRRは売買差益を得る時間が短ければ短いほど上昇するので、
短期的な利鞘を獲得することを目指します。
高裁は
「短中期的に対象会社の株式を対象会社自身や第三者に転売することで売却益を獲得」
すること自体を問題視していますが、
このことが即企業価値を破壊するわけではありません。

買収者には2つのタイプがあります。
1つは経営権を握り経営に関与し将来キャッシュフローを改善することにより
企業価値を上昇させるストラテジックバイヤー。
もう1つは、非効率な資産の売却、余剰資金の株主還元、
資本構成の変更等を通じて企業価値を創造するファイナンシャルバイヤー。
スティールは間違いなく後者です。

高裁の決定は、ファイナンシャルバイヤー=濫用的買収者であると判断しており、
この点は全く不合理です。
企業価値をアカデミックに探求していく学問がコーポレートファイナンスですが、
ファイナンシャルバイヤーの手法はコーポレートファイナンスに鑑み正当なもので、
例えばユシロ化学やソトーのように使い道のない現金を
多額に抱えそれが株価に反映されていないなら、
増配を要求することにより株価は上昇するのです。
そういう投資行動の結果短期的に利鞘を稼ぐことは
効率的な企業経営に資するもので批判されるものではないのです。

そういう意味で今回の高裁の決定は、資本主義の常識に反するものであり、
世界から批判を浴びることは間違いないものと思います。
いずれにしてもスティールは23億円のキャッシュをもって、
再度TOBを仕掛けてくるでしょう。
そのときブルドックとしてはどのようにこれに対抗するのか注目されます。

by yasukiyoshi | 2007-07-10 08:36 | M&A
2007年 06月 19日

いちごアセット、東京鋼鉄の買収防衛策承認へ

いちごアセットマネジメントは18日、
投資先の東京鋼鉄が導入を決めた買収防衛策について28日の株主総会で承認すると発表した。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1D1806L%2018062007&g=S1&d=20070618

(CFOならこう読む)
ファンドは必ずしも全ての買収防衛策を否定するわけではないのです。
東京鋼鉄の買収防衛策の3つのポイント、

①株主の承認が必要
②1年間の有効期限がある
③独立委員会を設置する

は大いに参考にすべきでしょう。

by yasukiyoshi | 2007-06-19 08:38 | M&A
2007年 06月 19日

「総会屋に現金を渡すのと同じ仕組み」投資銀行幹部がスティール対策を徹底批判

ブルドックソースの買収防衛策は、数ある防衛策の中でも最低最悪と言える。
http://www.toyokeizai.net/online/toushi/shiki/?kiji_no=202

(CFOならこう読む)
先日来私はブルドックの買収防衛作をスティールにとっての”打出の小槌”と言ってしていますが、
この記事では同じことを”総会屋に現金を渡すのと同じ仕組み”と表現しています。
ブルドックのアドバイザーである野村證券及び西村総合法律事務所の
反論をぜひお聞かせ願いたいところです。

この記事の中で「買収防衛策は核爆弾同様、抑止力であり、
使用してはいけないもの」という指摘を全ての上場会社のマネジメントは
真摯に受け止める必要があります。

by yasukiyoshi | 2007-06-19 08:32 | M&A
2007年 06月 08日

ブルドック、TOB対抗へ新株予約権・スティールと対決姿勢

ブルドックソースは7日、米系投資ファンドのスティール・パートナーズによるTOB(株式公開買い付け)への対抗策を正式発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070608AT1D0707M07062007.html

(CFOならこう読む)

株主総会の特別決議によりピルの発動を決めるし、
スティールに対してはTOB価格相当の現金でピルの買戻しをするのだから、
スティールの差し止め請求は認められないとの見解が優勢です。
また、
「ブルドック型の買収防衛策導入を検討する会社が広がるか」
との報道もありますが、それはないだろうと思います。

スティールにとって見ると渡りに船のような買収防衛策だからです。

スティールはTOB価格を引き上げてくるでしょう。
そうすると、会社はピルの買戻し価格を引き上げざるを得ないでしょう。
つまり、スティールとしてはTOB価格の引き上げを宣言するだけで
キャピタルゲインを引き上げることができるのです。
まるで打出の小槌です。

仮に会社がピルの買い戻し価格を引き上げなかったらどうなるでしょう。

そのときには会社の考えるブルドックの株主価値と、
スティールの考える株主価値が相違することになり、
ブルドックの株主は、より高い株価をつけたスティールのTOBに
応じざるを得ないことになります。

スティールは、キャピタルゲインが見込めない価格までの
TOB価格の引き上げは行なわないと思いますが、
本気で支配権を取りにくる相手はどこまでもTOB価格を引き上げてくる可能性があります。

そういう相手に対して、ブルドック型の買収防衛策で対抗することは不可能です。

by yasukiyoshi | 2007-06-08 09:00 | M&A