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2008年 12月 08日

第三者割当増資 総会決議義務化へ

第三者増資、総会決議を義務化 法務省、会社法改正で検討
法務省は、買収防衛などに活用される第三者割当増資により利益が縮小しかねない既存の少数株主の保護に向け、会社法改正の検討に入った。現行法では事実上、取締役会の判断で新株を発行できるが、株主総会の決議を義務付ける方向。来年秋にも法制審議会(法相の諮問機関)で始める会社法の次期改正論議で論点の1つとし、2011年の通常国会への改正案提出をめざす。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S0600R%2006122008&g=MH&d=20081207
【CFOならこう読む】
「取締役会の決定だけでできる現行の第三者割当増資は「経営者が株主を選べる」という特殊な制度だ。濫用されるケースが目立っており、何らかの弊害防止策が必要になる。
現在の会社法でも、一応の濫用への対応策はある。著しく低い価格なら「有利発行」として例外的に株主総会決議を求め、主に保身目的の増資であれば「不公正発行」として、ライブドア・ニッポン放送事件などのように裁判所で差し止められる。ただ、司法判断を得るには莫大な費用がかかり、少数株主は泣き寝入りすることが多い。また裁判官が経済実態に通じていなければ市場関係者が納得する判断は難し
い。」
(日本経済新聞2008年12月7日3面)
第三者割当増資に何らかの規制が必要なことは、このブログでも何度もお話ししています。ですが、株主総会決議で決めれば良いというのは、本質的な解決策にならず、結局株式持合を促進させるだけのことになると、私は思います。

主要国の第三者割当増資への規制は次のようになっています。
第三者割当増資への各国の規制例

米国
ニューヨーク証券取引所が、議決権の20%超に相当する新株発行について、株主総会決議を義務付け

英国
会社法により、原則として第三者に新株を割り当てる場合には既存株主にほ引受権を割り当て

ドイツ
株主総会が事前に認めていれば、監査役会の承認のもと議決権の10%以下の新株発行は可能」
経営者が株主を選べない、という意味では英国の規制が優れています。ただし、これを未上場会社にまで適用させるべきではありません。したがって、以前からお話しているとおり、上場会社法を我々は必要としているのだと改めて感じます。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-12-08 08:36 | 買収防衛策
2008年 12月 03日

オリックス公募CB 利率1%

オリックスCB利率1%
オリックスは2日、17日に発行するCBの利率が年間1%に決まったと発表した。国内で発行される公募CBは今年初めて。同社は「CBの利率はゼロが多いなか1%に設定するなど、個人投資家の買いやすさに配慮した」と話している。
(日本経済新聞2008年12月3日17面)
【CFOならこう読む】
昨日に引き続き今日もCBのお話しです。

新聞記事の中に次の記述があります。
「同社の企業の信用リスクをやり取りするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、5年物)の水準は10%超で、利率が低いとの見方もある。この点については「株価の変動率を考慮すると、CBの株式に転換する権利の価値は高く、利率は適正な水準」(同社)としている。」
(前掲紙)
CBというのは社債とオプションの複合金融商品です。オプションを売っている以上、オプション料の授受があるはずですが、CBではこの部分だけを取り出して売り買いすることがありません。このことがある意味CBの価格付けを不透明にしています。

例えば額面100円(=払込金額)のCBのオプション料が10円と評価されるなら、社債は90円で割引発行され、これとは別にオプション料10円の受取りがあると考えられるのですが、これが明示的に区分されません。明示的に区分するなら、社債は90円で割引発行され、90円と100円との差額は社債利息だということになります。

CBの金利が適正であるかどうかは、この部分を考慮しないと判断できません。

「利率が低い」との見方に対し、会社は、”オプションのボラティリティが高く、オプションの価値が高くなっている。だから社債は相当に額面を割った価額での発行となっていて、実質的な利回りは適正である”と反論しているということを、前掲の新聞記事は報じているのです。

12月2日現在のオリックス株式の90日間ボラティリティは、108.221%と高い水準にあります。
(ブルームバーグ銘柄概要 
http://www.bloomberg.com/apps/quote?T=jpquote.wm&ticker=8591:JP

【リンク】
平成20年12月2日「第3 回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行条件等の決定に関するお知らせ」オリックス株式会社
http://www.orix.co.jp/grp/content/081202_BondsJ.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-03 09:13
2008年 12月 02日

野村ホールディングス 劣後CB発行

劣後調達 最大4100億円 株式転換付1100億円 個人向け3000億円
野村ホールディングスは1日、劣後資金の調達による資本増強策を発表した。第一生命保険と信金中央金庫向けに発行する劣後特約付転換社債(劣後CB)1100億円に加え、個人向けを中心に最大3000億円の劣後債を発行する。金融危機や米リーマン・ブラザーズの部門買収に伴う費用負担で今期は赤字になる公算が大きく、最大4100億円の劣後調達で財政基盤を拡充する。
(日本経済新聞2008年12月2日7面)
【CFOならこう読む】
劣後CBとは、次の証券を言います。
「劣後債に株式転換権を付けた証券。劣後債は普通社債に比べて元利金の返済順位が低く、資本金などの「中核的資本(Tier1)」に次いで資本性の高い「補完的項目(Tier2)」として自己資本規制比率の計算に組み入れることができる。劣後CBはこの劣後債に株式転換権が付いており、株価が転換価格よりも上昇すれば、投資家が普通株に転換することで当初のTier2からTier1に全額が振り替えられる。普通社債に株式転換権が付いた通常のCBよりも、より資本性が強い資金調達手法といえる。」
(前掲紙)
本CBの転換価額は745円(12月1日終値678円を約10%上回る)、2009年1月5日から満期の2014年3月25日まで、いつでも株式に転換できます。

希薄化懸念について会社は次のように説明しています。
「本新株予約権付社債が転換された場合の希薄化は、現時点の発行済株式総数に対し、7.5%であることから、本新株予約権付社債の発行金額は市場に過度の影響を与える規模ではないと判断しました。」
なお既存株主への配慮及び資本政策の裁量を確保するため、発行から2年後以降、20連続取引日において株価が転換価額の120%以上であった場合、残存する本新株予約権付社債の全部を額面100円につき100円で償還することができる任意繰上償還条項(120%コールオプション条項)が付されています。

【リンク】
平成20年12月1日「第1回期限前償還条件付無担保社債(劣後特約付)並びに第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行について」野村ホールディングス株式会社
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20081201/20081201_a.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-02 09:14 | 資金調達
2008年 11月 20日

製作委員会方式によるアニメ制作

委員会方式で取り分減る 版権確保模索も
アニメやゲーム、漫画。日本の文化が世界で存在感を高めている。だが追い風のわりに関連する上場企業の業績は伸び悩んでいるのが実情だ。クール・ジャパンの憂鬱ー構造を探ってみた。
(日本経済新聞2008年11月20日 14面 クール・ジャパンの憂鬱)
【CFOならこう読む】
記事はコンテンツ制作会社の業績が伸びないひとつの理由に「製作委員会方式」を挙げ、次のように指摘しています。

「従来、アニメはテレビ局や玩具メーカーの資金で制作され、制作会社も多いときには権利の半分以上を持った。ところが広がる「委員会」方式のもと、現在は広告代理店や出版社などへと出資企業の幅が拡大。制作会社の出資力の制約などもあって、持っている権利は、全体の10%前後に落ちているとみられる。」
クール・ジャパンが世界でどれだけ評価されようと、現場が疲弊するような構造では発展が望めません。メジャースタジオ以外の米国の映画製作の場合、「ネガティブピックアップ」により資金調達をするのが一般的です。
「インディペンデント映画の製作者たちはスタジオから100%資金調達を受けないので、自分達で資金調達します。北米での配給権の「ネガティブピックアップ」とメジャーな地域の「プリセール」の組み合わせで、配給契約を担保に金融機関から借り入れして、完成保証ボンドをつけるのが従来の形です。」
(「コンテンツ・ファイナンス」(松田政行著 日刊工業社)
ネガティブピックアップとは次のようなものです。
「ネガティブピックアップとは、完成保証による完成リスクのヘッジと、MG(MinimumGuarantee)による興行リスクのヘッジを組み合わせてデットファイナンスを行う一種のストラクチャードファイナンスであり、欧米ではスタジオに属さないインディペンデントプロデューサーによる映画製作資金の調達において用いられている。なお、MGとは、配給会社等の販売会社が映画製作者に支払う分配金に最低保証額を設定するものであり、映画製作者の観点からはMGの範囲において興行リスクをヘッジする機能がある。また、配給契約の締結時においてMGに相当する金額が配給会社等から映画製作者に支払われるケースもあるが、ここで想定するのは原則として映画の完成、引渡しを条件として、MGに相当する金額が支払われるケースである。
典型的なネガティブピックアップでは、インディペンデントプロデューサーは映画の完成を前提とした配給契約を配給会社と締結する。契約において配給会社は、完成された映画の引渡時に、プロデューサーに対する映画の配給からの分配金として一定の金額を前払いすることが定められている。この前払い額がMGに相当するが、欧米では映画の完成に必要なコストとして見積られた金額がMGとして設定されることが多い。
そしてプロデューサーはこのような配給契約を担保として、銀行やその他の債権者から資金調達し、映画を製作することが可能となる。プロデューサーに対する債権は配給契約において定められた前払い金によって返済される。」  (「日本型映画完成保証に関する調査研究報告書」 独立行政法人経済産業研究所)
つまりネガティブピックアップの前提として完成保証会社から完成保証を受けることが不可欠なのです。日本では、完成保証の法的位置付けが不明確であること、完成保証会社の役割は、単なる保証を行うだけでなく、予算コントロール、製作の引継ぎ等多岐に渡るため、適当な担い手が見つからない、といった理由から完成保証をつけるという実務が定着していません。

私は、前職が映像ディレクターということもあり、人一倍この分野には関心があるのですが、制作サイドに正当な報酬が落ちるスキームを構築するのに苦慮している、というのが実情です。

【リンク】
図解コンテンツ・ファイナンス―「著作権信託」で資金調達が変わる
松田 政行

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by yasukiyoshi | 2008-11-20 10:10 | 資金調達
2008年 11月 14日

中小企業向けの融資減少、鮮明

9月末3.2%減、3年半ぶり大幅
銀行の中小企業向け貸し出しの落ち込みが鮮明になってきた。日銀が13日まとめた国内銀行ベースの9月末の貸出残高は179兆円となり、前年同月末より3.2%減った。減少額は3年半ぶりの大きさ。米金融危機をきっかけに世界景気の先行きへの懸念が強まり、銀行が融資に一段と慎重になっている。中小企業の間では政府系金融機関から借りる動きが広がる一方、政府の追加経済対策の早期発動を求める声も強まってきた。
(日本経済新聞 2008年11月14日 3面)
【CFOならこう読む】
「中小向け融資は、米国の住宅ローン問題を発端に世界の金融市場が混乱し始めた昨夏以降、13ヶ月連続で前年同月を下回っている。8月末までは1%前後の減少額にとどまっていたが、9月末は大幅に落ち込んだ。13日に9月中間決算を発表したみずほフィナンシャルグループは傘下の3銀行合算で9月末残高が6.2%も減った。」
(前掲紙)
本来、金融機関が貸し渋りに向かわざるをえなくなるようなBIS規制の仕組みに問題があります。やみくもにリスクアセットを絞る方向ではなく、資本増強に向かわせる、そういう仕組みに変える必要があると、私は思います。

そうは言っても、貸し渋りの影響から、現実に年を越せない中小企業が数多く存在します。私の感覚では、10月末に10割の信用保証制度が設けられてから、事態は好転に向かっているように思いますが、それでも最悪の状況は脱したという程度の話です。まずは、信用保証枠を現在の6兆円から20兆円に増やし、利用可能業種も545から618に拡大するという追加経済対策を一刻も早く実行してもらいたいものです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-11-14 09:03 | 資金調達
2008年 11月 12日

中小企業向けの制度融資

横浜商工会議所は11日、中小企業の制度融資の利用支援などを柱とした「中小・小規模企業緊急特別支援事業」を発表した。県や国の制度融資の説明会を開いたり、ホットラインを開設し、中小企業の資金繰りに関する相談体制を強化する。
(日本経済新聞 2008年11月11日 神奈川・首都圏経済面)
【CFOならこう読む】
上場企業の経常減益が相次ぐ中、中小企業の資金繰りは年末にかけてさらにタイトになることが予想されます。

このような状況の中、横浜商工会議所は、昨日「中小・小規模企業緊急特別支援事業」を発表しました。その概要は次の通りです。
Ⅰ.公的中小・小規模企業支援策の説明会並びに個別相談会等の開催
○緊急経済対策に係わる「制度融資説明会並びに個別相談会」の開催
○各支部における年末個別相談会の実施  【⇒詳細はこちら】
○国(㈱日本政策金融公庫等)、神奈川県、横浜市の中小企業支援制度情報の周知・
PRの徹底(ガイドブックの無料配布、メールマガジン)

Ⅱ.「緊急特別支援窓口」の開設
 ○相談窓口の開設時間延長
 ○経営革新セミナー(土曜開催)の開催
 ○土曜相談窓口の設置
 ○緊急特別支援電話相談(ホットライン)の開設 TEL:671-7453
 ○無料窓口・巡回相談体制の充実
  (巡回回数増、専門指導員・公的金融機関職員との巡回相談の実施等)
 ○金融支援策の積極的展開
  ・無担保・無保証人の融資(マル経融資)
  ・会員限定「無担保別枠1000万円保証」
  ・11金融機関の連携融資
  ・経営安定特別融資
  ・原油・原材料価格高騰対策特別資金
  ・セーフティネット保証の紹介・斡旋等
 ○全会員訪問(ローラー作戦)と連動した公的支援メニューの紹介

Ⅲ.横浜市との連携
 ○「原材料価格高騰対応等緊急保証」の開始に伴う『セーフティネット特別資
   金』融資対象業種認定業務支援
  ・認定窓口への人的応援 等
 ○当所と横浜市相談窓口との連携

Ⅳ.行政への要望
国が10月末、対象業種を広げた「セーフティーネット特別融資」制度のに関する情報提供、及び「セーフティーネット特別融資」の認定を行っている横浜市の窓口に職員を派遣し、企業が迅速に認定が受けられるように支援するといった事業を行うとしています。

【リンク】
横浜商工会議所
http://www.yokohama-cci.or.jp/


by yasukiyoshi | 2008-11-12 08:51 | 資金調達
2008年 11月 06日

エルピーダ続報

エルピーダがストップ高。新株予約権付社債(CB)発行による一株価値の希薄化懸念から株価は大きく下落したが、この日まで4営業日続伸し、CBの下限転換価格(509円)を上回る水準まで回復した。
(日本経済新聞 2008年11月6日 20面 株式往来)
【CFOならこう読む】
「5日に提出された大量保有報告書から、割安株投資で知られる米資産運用大手のアライアンス・バーンスタインが10月29日までに9.31%の株式を取得していたことが分かった。共同保有分を合わせると11.9%になり、実質的に筆頭株主に浮上した可能性がある。」(前掲)

エルピーダのMSCBについては、10月20日に取り上げました。
http://cfonews.exblog.jp/8789670/

MSCB発行をリリースした10月15日の終値1383円から400円まで下げた後、4営業日続伸し、昨日674円まで戻しています。

記事にあるアライアンス・バーンスタインとは、アクサ・フィナンシャル・インクが63.2%の持分を有する世界有数の資産運用会社です。運用資産総額は8004億米ドル、うち約半分をバリュー株に投資しています。

9月末の時点では、大株主にアライアンス・バーンスタインの名前はありません。PBR0.15倍という水準を割安とみて、大きな投資に踏み切ったのでしょう。

捨てる神あれば、拾う神あり?!

【リンク】
アライアンス・バーンスタイン株式会社
http://www.alliancebernstein.co.jp/


by yasukiyoshi | 2008-11-06 10:33 | 資金調達
2008年 10月 30日

社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)-ソフトバンク

ソフトバンク、最大750億円損失の恐れ 債務担保証券投資で
ソフトバンクは29日、証券化商品の一種である債務担保証券(CDO)に投資していた750億円が全額損失となる可能性があることを明らかにした。現時点では損失となっていない。仮に全額が損失となれば、金融危機の影響で日本の事業会社が証券化商品に関連して被る損失として最大級となる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081030AT1D290BH29102008.html
【CFOならこう読む】
社債の実質期限前償還(実質的ディフィーザンス)とは、企業が社債の元利金を信託銀行に払い込み、負債をオフバランス化することを言います。信託銀行は国債など安全資産でこの資金を運用し、社債投資家への元利金払いに充当する仕組みになっています。3月4日に私のブログで武富士のケースをとりあげました(http://cfonews.exblog.jp/7423814/)。

オフバランスの為の要件を日本の会計基準は次のように定めています。
金融商品会計に関する実務指針46項
「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出することである」

金融商品会計に関するQ&A
「わが国において、元利金が保全される高い信用格付けの金融資産とは、国債や政府機関債のほかに、例えば、拠出時に複数の格付け機関よりダブルA格相当以上を得ている社債が含まれると考えられます」
実際に大きな損失を被るリスクを会社が有しているにも関らず、オフバランスを認めている会計基準にも問題があると思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-30 08:32 | 資金調達
2008年 10月 23日

モック増資 発行済株式数は最大で5.5倍に

増資などで11億円調達
結婚式場運営のモックは22日、第三者割当増資と新株予約権の発行で最大11億7千4百万円を調達すると発表した。発行済み株式数は最大で5.5倍に増える。
一方、東京証券取引所は同日、新株発行を伴う資金調達に際し流通市場の機能や株主の権利に配慮するよう上場会社に文書で要請した。

(日本経済新聞2008年10月23日14面)
【CFOならこう読む】
会社法は授権枠(発行可能株式数)を発行済株式数の4倍に制限しています。それにも関らず5.5倍まで株式を発行できるのは何故でしょう。

この件は昨年9月8日(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)にお話しましたが、こういうことでした。

昨年6月30日現在の発行済株式数は134,263株、授権枠は300,000株であったのを昨年9月26日の定時株主総会で、まず授権枠を537,000株に拡げた上で、10株を1株とする株式併合を実施しました。これにより、当社の発行済株式総数は134,263 株から13,426株となり、授権枠に対して約523,000 株分の余裕が生じることになり、大幅に希薄化を伴う新株発行が可能になったのです。

2008年10月22日現在、モックの既発行株式数は88,552 株なので、発行枠は537,000株-88,526株=448,474株の余裕があるので、今回の最大400,000株の新株が発行される資金調達が実行できるのです。

東証は、昨日全ての上場会社宛に文書を送付し、この件について問題視していることを次のように言明しています。
多くの既存株主に株主としての地位を失わしめる大幅な株式併合を実施したことから、流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとして、以前、当取引所が公表措置を行った上場会社が、当該株式併合によりいわゆる授権株式数が大幅に拡大したことを利用して、今般、通常を大きく超える規模の新株等の発行を行う事例が発生しております。
当取引所としては、一般に、株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとして、強く憂慮しております。」
会社法の法改正が間に合わないのなら、市場ルールにより今すぐにでも規制すべきだと私は思います。

【リンク】
2008年10月22日「第三者割当により発行される株式および新株予約権の募集ならびに支配株主、筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社モック
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/081022.pdf

2008年10月22日「著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて」株式会社モック
http://www.tse.or.jp/news/200810/081022_c.pdf



by yasukiyoshi | 2008-10-23 07:47 | 資金調達
2008年 10月 21日

低格付け債、発行が急減

投資家に警戒感 調達コスト上昇
格付けの低い企業の社債発行が急減している。トリプルB格の社債発行額が全体に占める比率は今年4月—9月に約3%と10年ぶりの低さとなり、10月以降も記載が途絶えている。今夏以降は格付けの引下げ件数も増加。米国発の金融危機と景気後退懸念が企業の資金調達に悪影響を及ぼし始めた。(日本経済新聞 2008年10月21日 16面)
【CFOならこう読む】
流通市場での、トリプルB格の社債のスプレッドは1.6%と5年半ぶりの高い水準です。4月—9月における、トリプルB格の社債の発行は1400億円と全体に占める比率は1998年度の0.3%以来の低水準です。

もともと日本の社債市場で機関投資家の投資の下限がトリプルBであり、トリプルBがリスク許容の限界となっていると言えます。6月からデフォルトが続いたことにより、このリスクの下限が上方に移行しているように思われます。

もっともトリプルB未満の社債の取引が市場でなされていないことにも問題があると言えます。

リスクから逃げるのではなく、リスクに真摯に向き合うことが、金融の重要な役割であると私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-21 08:05 | 資金調達