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2008年 12月 20日

円高は悪か?

日銀、0.2%利下げ 白川総裁「最大限の貢献行う」
日銀は19日の金融政策決定会合で、政策金利を年0.3%から0.1%に引き下げることを決め、即日実施した。長期国債の買い入れ増額やコマーシャルペーパー(CP)の買い取りなど、資金供給策も拡充する。海外経済の後退や円高の進行で景気がさらに落ち込むリスクが高まり、金融政策面で一段の下支えが必要と判断した。日銀の白川方明総裁は記者会見で「中央銀行としてなし得る最大限の貢献を行う」と企業の資金繰り支援策をさらに検討することも強調、景気の底割れ回避に全力で取り組む決意を表明した。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C1902L%2019122008&g=E3&d=20081219
【CFOならこう読む】
FRBがゼロ金利を決めた影響で、「相対的に金利が高くなった円が買われ、為替市場では約13年ぶりに1ドル=90円を突破する円高・ドル安が進んだ。頼みの輸出産業が大打撃を受けた日本経済にとって、一層の円高はまさに「弱り目にたたり目」である。
(前掲紙)

円高は悪なのでしょうか?

そもそもすべての輸出産業は円高によって本当に大打撃を受けるのでしょうか?
例えば輸入資源価格の高騰を受け、鋼材輸出企業である新日鉄、JFEホールディングス、神戸製鋼は軒並み決算を上方に修正しています。円高の水準にもよりますが、円高=輸出産業大打撃ということには必ずしもなりません。

輸出産業にとって円高が望ましくないとしても、それが直ちに日本全体にとって望ましくないということにはなりません。この点、昨日に引き続き、野口悠紀雄氏「世界経済危機 日本の罪と罰」(ダイヤモンド社)から引用したいと思います。
「円高こそが、経済成長の利益を日本人が享受するための自然なルートなのである。なぜなら、「円高」とは、日本人の労働価値が高く評価されることだからである。
(中略)
消費者の立場から見て望ましい変化が生じたときに、それを打ち消すような圧力が生産者(とくに輸出産業)から生じるのが、日本の経済政策の基本的バイアスである。こうしたバイアスは、最近時点に始まったものではない。
日本の経済論議や経済政策論議は、高度成長期以来一貫して、消費者無視のバイアスを持っていた。ただし、これまでは、それに一定の合理性があった。多くの人は消費者であると同時に生産者でもあるため、企業が発展すれば賃金が上がり、生活水準が向上するからだ。
しかし、いまや企業が成長すれば自動的に消費者の生活が向上するという保障はない。日本人は、企業人としての立場と消費者としての立場を、秤にかけて勘案すべき段階にきている。」
日銀白川総裁の会見要旨を見る限り、日銀としては、円高=悪との判断はないようで、少しだけほっとしています。

【リンク】
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野口 悠紀雄

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2008年10月31日「2008年度第2四半期決算及び通期業績見通しについて」株式会社神戸製鋼
http://www.kobelco.co.jp/ICSFiles/afieldfile/2008/11/07/ir_siryo.pdf

2008年10月24日「JFEグループ2008年度 上期決算 2008年度 業績見通し」JFE
http://www.jfe-holdings.co.jp/investor/zaimu/g-data/jfe/21/21-setumei081024.pdf

「実績と業績予想 2008年3月期連結業績実績」新日本製鐵株式会社
http://www.nsc.co.jp/ir/individual/finance.html

by yasukiyoshi | 2008-12-20 09:32 | 為替
2008年 12月 19日

ホンダ(下半期)、トヨタ(通期)営業赤字へ

ホンダ、工場稼働延期 減産、国内12社では220万台強に
世界的な自動車需要の縮小を受け、自動車各社が事業計画の見直しを急いでいる。ホンダは17日、国内の新工場・研究所の稼働延期を柱とする事業計画見直し策を発表。2008年度下半期(08年10月―09年3月)は営業赤字に転じる見通しで、戦略的な投資削減に踏み込むことで急場をしのぐ。日産自動車も減産幅を拡大。日本の自動車メーカー12社が世界で取り組んでいる減産規模は今年度、当初計画比で1割弱に当たる220万台強となる見込み。米国発の金融危機が顕在化して以降、業績悪化が急速に進んでいる。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081218AT1D170BR17122008.html
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081219AT2D1802818122008.html
【CFOならこう読む】
2008年11月6日にトヨタは業績の下方修正を発表しました。そこで発表されたのは、営業利益が対前年度で73.6%減少して6000億円になるという驚愕の内容でした。世に言う”トヨタショックです。そしてそれから1ヶ月と少ししか経っていないのに、さらに業績が悪化し、営業利益がマイナスとなる見通しと報道されました。2008年3月期には2兆2703億円であった営業利益が全て吹き飛んだのです。

これは大変なことです。日本における自動車産業の重要性を鑑みると、日本経済全体が危うい状況にあると言ってよいでしょう。しかし何故こんなことになっているのでしょう。今はまず現状を正しく理解することが大切だと私は思います。

野口悠紀雄氏は、最近出版した「世界経済危機 日本の罪と罰」(ダイヤモンド社)の中で、今起きていることは、「アメリカ発の金融危機が日本に飛び火している」のではなく、「問題はマクロ経済の歪みであり、日本はその中心に位置している。今後の景気後退は不可避」と指摘しています。

私は野口氏の見解は極めて本質を突いたものだと思っています。野口氏が言っていることを要約すると次の通りです。
「アメリカ人の過剰消費が90年代末からのアメリカの経常赤字の拡大を生んだ。大きな家に住み、自動車を数台所有するという生活が過剰消費を生んでいる。アメリカが経常赤字を持続するには、資本取引によりファイナンスする必要がある。そのためにはドルが減価しないことが大前提となる。ところがサブプライム以降ドルの信認がゆらぎ、この構造を維持することが不可能になっている。であるなら、もはやアメリカの経常赤字は維持できず、過剰消費も改めざるを得ない。

日本は脱工業化が必要であるにも関らず、本当に必要な構造改革を断行せず、低金利・円安政策により、古い産業構造を温存した。これが円安バブルを生み、見せかけの日本の景気回復に繋がったが、決して日本経済が強くなったわけではない。

円安バブルが、円で資金調達し高金利通貨で運用する「円キャリー取引」を増加させ、これがサブプライムローン関連金融商品に回った。2005年以降の企業収益の増加と株価の上昇はこの円安バブルによるものである。現在この「円キャリー取引」の巻き戻しが起きており、円高をもたらした。円ドルレートの調整はまだ終わったとは言えず、さらなる円高もあり得る。

アメリカの経常赤字縮小は、日本の経常黒字縮小を意味する。日本の貿易黒字縮小は不可避だ。GDPの5%のマイナス成長もあり得る。

中長期的に見てより大きな問題を抱えているのはアメリカよりむしろ日本だ。これからの日本は、制御不可能な事態に直面する可能性がある。

必要なのは日本経済の構造大転換。」
そして野口氏はベンチャー企業の起業の重要性を強調しています。

その通りだとは思いますが、今の日本ではグリー程度の会社がもてはやされるに過ぎません。淋しい限りです。

【リンク】
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野口 悠紀雄

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by yasukiyoshi | 2008-12-19 10:05 | 為替
2008年 07月 04日

欧州、0.25%利上げ

欧州中銀、0.25%利上げ インフレ抑制図る
【フランクフルト=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は3日の定例理事会で政策金利を引き上げることを決めた。ユーロ圏15カ国に適用する最重要の市場調節金利を0.25%上げ、年4.25%とする。昨年6月以来、1年1カ月ぶりとなる利上げで、インフレ抑制を図る姿勢を示す。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2R0100V%2003072008&g=MH&d=20080703
【CFOならこう読む】
昨年10月17日(http://cfonews.exblog.jp/6638557/)に当ブログで、ドル基軸通貨体制崩壊のリスクについて指摘しました。その上で岩井克人氏の、「資本主義から市民主義へ」から次の一節を紹介しました。
「基軸通貨国であるアメリカには基軸通貨国としての世界経済全体の立場に立った規律が求められているということです。たとえば、アメリカが不況であっても、世界中がインフレになれば、アメリカはドルの供給を減らしてデフレ政策をとらなければならないということです。
その意味で、アメリカは、基軸通貨国としての地位を保っているかぎり、世界経済の中央銀行的な役割を果たすように義務づけられている。だが問題は、アメリカという国は、かつてのモンロー・ドクトリンにもあるように、伝統的に内向きの国なのです。そして、その傾向は、冷戦が崩壊してから、ますます強まってきている。
基軸通貨国であることが要請する世界に向けた規律を、往々にして忘れてしまっているように思えるのです。ここに、現在の世界資本主義がかかえているもっとも根源的な危機の種がある。」
今日の日経新聞3面は、「米利上げに動けず」という見出しで次のような記事を載せています。
「米FRBが金融引き締めに動くのは当面難しそうだ。3日発表の6月の雇用統計で失業率の高止まりと雇用者の減少傾向が鮮明となり、景気の足腰の弱さが改めて浮かび上がった。経済活動を冷やしかねない利上げのハードルは一段と高くなった。インフレへの対応を優先する欧州との調整も難しく、FRBの政策のさじ加減はさらに難度が高まる。」
まさに岩井克人氏の危惧が現実味を帯びてきているように思えます。
CFOとしてなすべきことは、(予定取引も含め)ドル建債権のエクスポージャーを極力減らすこと、です。

【リンク】
資本主義から市民主義へ
岩井 克人

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by yasukiyoshi | 2008-07-04 08:16 | 為替
2008年 04月 22日

日銀利上げ姿勢後退

日銀は30日にまとめる「経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2008年度の実質成長率の予測を1%台半ばにする見通しだ。昨年10月の前回リポートの2.1%から大幅に下方修正する。09年度の予測は1%台後半にするもよう。内外経済の不透明さを映し、金融政策の運営では、利上げの方向性を示していた表現を後退させる。
(日本経済新聞 2008年4月22日 3面)

【CFOならこう読む】
日銀は家計というものをどう考えているのでしょうか?
低金利政策で一番打撃を被ってきたのは、貯蓄超過部門である家計です。この点野口悠紀雄さんの説明がわかりやすいので、少し長いですが以下に引用します。
「金利の変化を金融機関から見ると、調達コストの低下と貸出し金利の低下がほぼ見合っているので、利ざやにはあまり大きな影響がなかったと考えられる。企業の面から見るとどうか。金融機関の貸付約定平均金利(新規・長期)は、1991年に7.51%であったが、94年に3.91%。04年に1.58%と低下している。この低下度合いは、住宅ローンの場合より顕著だ。しかも、企業の多くはネットの債務者なので、利子のネットの支払い額は大幅に減少したことである。
その規模について、おおよその見積もりをしてみよう。国民経済計算によれば、非金融法人企業の借入金は、2004年末において約415兆円である。したがって、仮に金利負担が5%ポイント低下したとすれば、毎年20兆円程度の利払い額が軽減されることになる。
ここで重要なのは、この負担減が、いかなる経済効果をもたらしたかである。非金融法人企業の借入れ残高を見ると、90年代の末からほぼ年間20兆円ずつ減少している。
これは、いま計算した利払いの軽減額とほぼ同じだ。したがって、企業は金利負担減を借入金の返済に充ててきたと考えられる。
「銀行が不良債権処理のために貸し渋りをし、それが企業の投資を抑えたため、90年代以降の不況がもたらされた」としばしば言われた。しかし、企業は、金利が低下したにもかかわらず、投資を増加させるのではなく、負債を減少させたのである。これは、経済停滞の原因が金融面にあったのではなく、そもそも投資機会が存在しなかったことにあることを明確に示している。
つまり、低金利政策は、一般に期待されていたように企業の投資を増やして経済を活性化するという前向きの効果をもたらしたのではなく、単に企業の負担を減らすという後ろ向きの効果しかもたらさなかったのだ。その累計額は、10年間とすれば約200兆円という膨大なものだ。これは1年分の賃金・俸給総額に匹敵する。これだけの巨額な所得移転が、低金利政策によって、家計から企業に対してなされたわけである。」
(野口悠紀雄著 資本開国論 ダイヤモンド社)
企業収益の改善が賃金の上昇に結びつかない現代において、高度経済成長時代と同じような舵取りをする日銀とは一体誰のために存在するものなのでしょうか? その独立性は何のために保証される必要があるのでしょうか?
ミルトン・フリードマンは、著書「資本主義と自由」の中で、中央銀行独立性について次のように書いています。
「アメリカで発生した大恐慌は、市場経済が本質的に不安定であることを示すものではない。大恐慌は、一握りの人間が一国の通貨制度に強大な権限を振るうとき、そこで判断ミスがあったらどういうことになるかを示したのである。
当時の金融知識を考慮するなら、これらの失敗は致し方なかったと言えるかもしれないー私はそうはおもわないが。だが、許せる失敗かどうかは問題ではない。ごく少数の人間にあまりに多くの権限と裁量を与え、その失敗が、たとえ無理もない失敗だとしてもあれほど重大な結果を引き起こす可能性があるとしたら、それは悪い制度である。まず、自由を重んじる立場からみて悪い制度である。一握りの人間に権力を集中させ、合議などによるチェックが働かないからだ。これが、中央銀行の「独立性」に私が反対する政治上の理由である。加えて、自由より確実性を重んじる立場からみても悪い制度である。したがって、その人たちの知識や能力に高度な政策判断が委ねられるような制度では、容認できる失敗にせよそうでないにせよ、とにかく失敗は避けられないからだ。これが、中央銀行の「独立性」に私が反対する現実的な理由である。クレマンソーはかって「戦争は将軍に任せておくには重大すぎる」と言った。この言葉を借りるなら、通貨は中央銀行に任せておくには重大すぎる。
(中略)
独立の金融当局に大幅な裁量権を与えるのもよくないとすれば、安定した通貨制度を確立するにはどうしたらいいだろうか。望ましいのは、政府の無責任な干渉を受けない安定した制度、市場経済に必要な通貨の枠組みは用意するが、経済的・政治的自由を脅かすような権力を生まない制度である。
これまでに示したことから考えられる唯一有望な方法は、金融政策のルールを法制化し、人間の裁量ではなく法律の規定に従った政策運用を行うことである。そうすれば国民は議会を通じて金融政策ににらみを利かせることができ、しかも金融政策が気まぐれに翻弄されることはない。」
日銀の総裁、副総裁を誰にするかではなく、フリードマンが言っているような方向性がこれからの日本には必要であるように思います。「生活者主権」「消費者主権」というのはそういうことじゃないでしょうかね、民主党さん。

【リンク】
資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略
野口 悠紀雄

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by yasukiyoshi | 2008-04-22 08:25
2008年 01月 04日

金利・為替

新年明けましておめでとうございます。
今年も頑張って早起きし、今日考えるべきニュースをわかりやすく読みほぐしてお届けしていきますので、よろしくお付き合いください。


昨日から日経新聞の経済教室が'08ニッポン再設計という特集を組んでいます。昨日1月3日はポール・サミュエルソン氏、今日1月4日は堺屋太一氏が寄稿しています。
2人の議論は今後の日本のあるべき姿を考える上でとても参考になります。

サミュエルソン氏は論文の中で、
①日本人は国内貯蓄の低金利を容認するのをやめるべきだ。
②ドルは今後も長期間下落する。
③日本は米国型の経済政策を目指すのではなく、スイス・フィンランド・アイルランドなど成功を収めている小国の戦略、すなわち”市場原理を導入しながら公的規制のもとで競争するという中間の道”から学ぶべきだ。(日本経済新聞2008年1月3日 24面)
と主張しています。

③は「市場原理を導入しながら」というのがポイントです。かなり強い公的規制が必要であるという点は全く同感ですが、官僚の復権につながるような形は是が非でも避けるべきだと思います。

堺屋太一氏は戦後の日本を次のように総括しています。
①官僚主導・業界協調体制により製品や施設の規格化を進め、過不足ない投資配分によって大量生産を達成し、その甲斐あって自動車や電機などの大量生産は世界一上手になり、大いに成長することができた。
②80年代から物財の豊かさが幸せであるという近代思想が疑われだし、人間の本当の幸せは物財の大きさから満足の大きさに変化した。この変化が社会主義を吹き飛ばし、ロシアや中国は大きな変貌を遂げたのに対し、日本は官僚主義の規格化と計画性で発展した成功体験から抜け出せず、このままでは「最も後に滅ぶ社会主義国」になりかねない。
(日本経済新聞2008年1月4日 21面)
私がこのブログで繰り返し主張している「政官財一体の経済体制」から「市場型資本主義」へという時代の流れとほぼ同様の歴史観です。そしてこの時代の流れが日本におけるCFOの役割をより重要なものに変質させるはずだという認識が、このブログの出発点であるということも何度かお話ししている通りです。

こうした大きな流れは野口悠紀雄氏が主張する資本開国へ向かっていくと考えるべきです。そしてその流れは、
①金利の上昇
②円高・ドル安
を推し進める可能性が極めて高いでしょう。

CFOとして何をすべきか。
一つ言えるのは銀行の言い成りになるのは止めるべきだということです。自分の頭で考えてそれを最も低コストで実現してくれる金融機関を探しましょう。”メインバンク”というのはとうの昔に死語になっていることを知るべきです。
追伸:
日経新聞の私の履歴書を書いているFRB前議長グリーンスパーンは、著書「波乱の時代 下巻」の「未来を占う」という章の中で、アメリカ及び諸外国におけるインフレ率と実質金利の上昇、及びリスク・プレミアムの上昇が名目長期金利を押し上げると予想しています。
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by yasukiyoshi | 2008-01-04 11:30 | 為替
2007年 09月 21日

昨日の金利の話の続き

(CFOならこう読む)

金利上昇局面において、資本コストの低いうちに
新規投資を行うべきであるといった論調を目にしますが、
金利が上がれば資産価格は下がるので、
金利上昇後に新規投資を行うのが有利なはずで、
CFOとしてはどちらを選択するのか迷うところです。

特に中小企業や個人は、金利の安いときに
資金調達だけしておくということができないので、特に問題になります。

結論から言うと、理論的にはどちらによっても経済的効果は同じです。
経済的付加価値は、投下資本×(投下資本利益率-資本コスト率)と定義されます。
金利上昇局面では、資産価格が切り下げられる
(将来キャッシュフローを割り引く割引率が上がる)ので、
投下資本利益率は上昇しますが、
それを打ち消す形で資本コスト率も上昇するので、
金利上昇前に投資をしても、
金利上昇後に投資をしても経済的付加価値は同じになるのです。

したがって大切なのは、金利上昇に惑わされることなく、
魅力的な投資機会を見出すことです。
これは個人が不動産を買う場合にも同じことが言えます。
最も不動産市場はバブル気味ですので、
金利上昇=価格下落とならない可能性があるので注意が必要です。

by yasukiyoshi | 2007-09-21 08:59
2007年 09月 20日

日銀総裁「世界経済の不確実性が増大」

決定会合では金融市場で誘導する無担保コール翌日物金利を年0.5%前後に据え置いた。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070919AT2C1903U19092007.html

(GFOならこう読む)

日銀の福井俊彦総裁は、19日の記者会見で、さらに
「円キャリー取引は、幾ばくか低すぎる金利水準に端を発するゆがみといえる」と述べています。

一部のエコノミストや学者は、
「日本経済は本年2月以降、消費者物価上昇率(対前年同月比、生鮮食品を除く総合)
が5カ月連続のマイナスで、デフレ残滓(ざんし)を払拭(ふっしょく)するまでに至っていない。
したがって、「利上げ見送り」は、当然かつ常識的な結論と評価できる。」

斉藤精一郎氏 http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/saito.cfm?i=20070824c1000c1&p=1
と言っています。
しかし消費者物価が上昇しないのは、世界の工場が低コスト国に移動したことによるものなので、
不況→デフレという構造ではありません。

日銀は、日本経済がデフレだから利上げを見送ったのではなく、
「世界経済の不確実性が増している」中で今回の金利引き上げを見送ったのです。
年内の金利引き上げはないとの観測が広がっているようですが、
「すべての問題をクリアするまで何もできないのでは政策にならない」との
福井総裁の発言には、非常に強い意志を感じます。

サブプライムローン問題は、世界的な資金余剰に起因しており、
日本の異常な低金利も問題の一翼を担っていることは間違いありませんし、
日銀にもその認識は十分にあるようです。

しかし最大の被害者は、低金利により莫大な機会損失を被っている日本国民です。
私たちは、他人事のように「ほ~年内の金利引き上げはないのかね~」などと
言っていないで顔を真っ赤にして怒るべきなのです。
そうした怒りが政策決定者に伝われば、「幾ばくか低すぎる金利水準」
などというような官僚的な物言いは決して出来ないはずです。

金利は速やかに引き上げられるべきです。

by yasukiyoshi | 2007-09-20 09:09
2007年 09月 14日

NY原油、一時80.20ドル・連日の最高値更新

石油施設が集中する米南部をハリケーンが通過中で、買い材料となっている。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M13031%2013092007&g=MH&d=20070913

(CFOならこう読む)

原油相場が初めて1バレル80ドルの大台に乗せました。
米国を初めとした先進国では投資機会が乏しく
これが原油を始めとした商品と新興国に向かっているのです。
サブプライム問題の影響を受け、
一時世界中のリスクマネーが安全資産に避難しましたが、
「18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利下げに動くとの観測が浸透し、
世界的なカネ余りシナリオがまたまた復活した」(2007年9月14日 日経金融新聞1面)のです。
そうだとするとM&A市場その他急激に資金の流入のパイプが細ったところにも早晩資金が戻ってくるでしょう。

米国金利下げ、日本金利上げの方向性ははっきりとしてきました。
これは円キャリー取引(金利の安い日本で資金調達し、
これをドルその他の高金利通貨で運用する取引)の手仕舞いを促します。
つまり円需要が増大し円高に向かうのです。

したがって燃料消費の多い企業でも、
輸出企業でなければあわててヘッジに走る必要はないでしょう。
一方ドルの流入が多い輸出企業は、
円高に対するヘッジは行っておく必要があります。
昨日の通貨オプション(円・ドル 1ヶ月)のボラティリティは11.6%(前日12.5%)。

だいぶ下がってきました。
そろそろオプションを買っていい頃かもしれませんね。
ちなみにボラティリティはリスクの値段を表します。
これが下がればヘッジ手段であるオプションの価格はプットもコールも下がります。

by yasukiyoshi | 2007-09-14 09:03 | 為替
2007年 09月 11日

みずほコーポ銀、長プラ0.3%下げ

大企業向け貸出金利の指標となる長期プライムレート(最優遇貸出金利)を現行の年2.55%から0.3%引き下げ、年2.25%にすると発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070910AT2C1001510092007.html

長期金利が低下、一時1.5%・量的緩和解除後の最低
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070910AT2D1000310092007.html

(CFOならこう読む)

サブプライム問題の影響を受け、資金がリスクを嫌い安全資産に流入している
ことから日本国債も買われており、金利が低下しています。

しかし日本の異常な低金利は早晩解消され、
適正な水準に向かうことは間違いがありません。
したがって今はデットによる資金調達の絶好のチャンスと言えます。
特に固定金利で長期借入を行う方針の会社は絶好の好機です。

ただし変動金利で借りて金利スワップにより固定化する場合のコストと比較し、
よりコスト面で有利な方を選択するようにしてください。
またメインバンクに頼る時代ではないので、
複数の銀行から条件提示を受ける手続きも省略しないようにしてください。

by yasukiyoshi | 2007-09-11 09:09
2007年 08月 31日

社債、上乗せ金利拡大・サブプライム問題の余波

米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した世界的な信用収縮懸念を受け、日本企業の資金調達コストが上昇し始めた。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070831AT2C3003X30082007.html


(CFOならこう読む)

企業の社債スプレッド幅(国債に対する上乗せ金利)が
2倍に広がっているというニュースです。

これは資金調達コストが上昇していると見るのは正しくないと思います。
信用収縮を受けて長期金利(10年国債利回り)が大きく低下しています。
右のグラフを見ればわかるように、
サブプライム問題以前は1.9%を超えていた長期金利が1.5%まで低下しています。
つまりスプレッド幅が2倍になっているとしても社債金利は低下しているのです。

今後日本の金利は間違いなく上昇していきますので、
サブプライム問題を受けて長期金利が低下している今は、
絶好の起債のチャンスだと思います。

by yasukiyoshi | 2007-08-31 08:52 | 資本コスト