吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 10月 08日

今日の経済教室

中小企業の高成長実現に CFOの存在が不可欠 忽那憲治神戸大学教授
筆者のかつての分析では、中小企業の成長に大きな影響を与えていたのは、資金調達に関連するものでは外部株主の導入と計画の作成という2つの要素だった。今回の7社へのヒアリング調査でも、高成長中小企業にはこうした特徴が顕著に見られた。だがその背後には社長以外で経営に携わるスタッフの存在、具体的にはCFO人材の加入がかかわっており、高成長を達成する上での重要な要因となっていることが明らかになった。
【CFOならこう読む】
忽那教授はベンチャー経営研究の分野でとても有名な学者です。忽那教授はCFOの必要性について次のように述べています。
「技術ベースのベンチャー企業の場合、ファイナンスに関する知識が不足していることが多い。そうした場合、事業のリスクを分析したうえで、成長資金の調達のための資本政策を作成し、事業計画書にまとめ、実行できる経営レベルの人材が重要になる。これがCFOである。」
そしてCFO人材の加入が大きな効果を生んだ次の事例を紹介しています。
「電子商取引関連事業を営むビックタウン(東京・中央)は2年前に同社の顧問税理士A氏を財務担当役員のCFOとして迎え入れた。創業当初は政府系金融機関に2千万円の融資を申し込んでも、5百万円しか調達できないような資金繰りだったが、A氏の参画以降、銀行からの借入れが楽になったという。株式公開を目指すようになった同社は、事業計画書を作り直し、これがVCから高く評価され、多くのVCから投資提案が舞い込んだ。
だが順調な事業拡大で資金繰りが良好だったため、このCFOは「事業をさらに軌道に乗せ、時価総額を上げた後に、より有利な条件でVCから資金を調達した方が得策」と判断。VCなどへの第三者割当増資で20007年3月に1億5千万円を調達した際は、時価総額を10億円にまで高めた段階で実施したため、VCの保有比率は13%程度に抑えることができた。財務担当者が会社に加わることで、銀行との融資交渉が円滑になっただけはでなく、VCからの資金調達でも既存株主の保有比率の低下を抑えることができたわけだ。」
忽那教授の議論は全く的を得ていますが、高成長中小企業にCFOが必要であるということを言っているのであって、良いCFOがいれば成長できると言っているわけではないことに注意する必要があります。高成長企業だからこそCFOの活躍できる機会があるのです。CFO自信もこの辺りを見据えたうえで、仕事場を選択する必要があると思います。

それから忽那教授はCFOの職能として資金調達に焦点を絞った議論をしていますが、これは中小企業のCFOとしてはとても重要ではありますが、上場企業のCFOまで含めてその職能を考えると、M&A、配当政策立案、資本コスト管理、投資の採択、IR、リスク管理、税務戦略、システム構築等カバーしなければならない範囲は非常に広く、必ずしも資金調達がCFOにとって最も重要な仕事というわけではないという点にも留意が必要です。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-08 10:25 | 資金調達
2008年 10月 02日

新規上場企業の資金調達額91%減

4-9月リスク回避を反映
新規上場企業の株式市場を通じた資金調達が急減している。今年度上半期(4-9月)に国内株式市場に新規上場した企業が公募増資で調達した資金は67億円と前年同期比91%減った。米国発の金融不安による信用収縮で安全志向を強めた投資家が、リスクの高いベンチャー投資を敬遠している。新興企業の事業停滞は産業界の活力低下につながりかねない。
(日本経済新聞 2008年10月2日 14面)
【CFOならこう読む】
記事によると、
「4-9月の新規上場企業は11社で、前年同期のほぼ5分の1に減った。全11社が東証マザーズやジャスダックなど新興市場への上場だ。上場時の公募増資による1社当たり調達額は平均6億1千6百万円と6割減った。ピークだった2005年の2割強の低水準だ。調達額で最大はFXプライムの13億円超。10億円を超えたのは3社(前年同期比16社)にとどまった。」
とのこと。

比較のため、新規上場会社の過去3年の状況はどうであったか、少し調べてみました(但し私の持っているデータは年(1月ー12月)データなので、上の記事の年度データとは異なります)。

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傾向としては、昨年まではジャスダックの凋落が目立っていましたが、今年はマザーズも酷い状況になっているということが言えそうです。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-10-02 12:21 | IPO
2008年 09月 13日

資本政策詳解-データホライゾン

【CFOならこう読む】
データホライゾンの株式上場の概要は次の通りです。

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データホライゾンは広島に本社があり、レセプト(診療報酬明細書)のデータ化と分析結果からの各種サービス、レセプトのチェックシステムの提供など医療関連情報事業を展開している会社です。

設立は昭和57年で、当初はガソリンスタンド向け販売管理システムや、養豚場向け生産管理システムの開発・販売を行っていたようです。順風万端に上場までこぎつけた、という会社ではなさそうです。

公募価額1,650円、2009年6月期予想EPSが104.55円なのでPER15.8倍の水準での株式公開となっています。

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データホライゾンの主な資本政策は (表2)の通りです。

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2004年3月期、2005年3月期は債務超過でキャッシュフロー的にも苦しかったものと推察されますが、第三者割当増資を重ねてこの時期を凌いだようです。

2007年3月期まで大きな繰越損失があり、これを資本準備金の取崩しにより填補しているところが特徴的です。

(表3)はデータホライゾンの株主構成です。

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上場直前に大株主である内海社長の奥様が亡くなり、相続により株式が分散しています。奥様は24万株を保有しており、上場へ向けた資本政策の上で、夫婦合わせてオーナー持分を計算していたはずで、相続発生は全くの想定外であったものと思われます。

過半数を持たない中で上場ベンチャー企業(といってよいでしょう)の経営を行うのは、難しい面があると思いますが、頑張って欲しいと思います。

かつて上場準備をしていたが、ここ最近事業が停滞して上場を諦めかけているオーナー社長は日本中にたくさんいると思いますが、データホライゾンの事例は大きな励みになると思います。

今、債務超過だとしても、決して諦めてはいけません。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-09-13 11:57 | IPO
2008年 09月 01日

資本政策詳解ーサニーサイドアップ

【CFOならこう読む】
サニーサイドアップの株式上場の概要は次の通りです。

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サニーサイドアップは中田英寿をマネジメントしていることで有名な会社です。公募価額2,800円、2009年6月期予想EPSが194.43円なのでPER14.4倍の水準での株式公開となっています。

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サニーサイドアップの主な資本政策は (表2)の通りです。

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次原社長は、2005年7月に付与された新株予約権700株(分割後280,000株)の行使を、2006年7月に行っており、これにより上場後持株比率50.1%を確保する資本政策となっています。

(表3)はサニーサイドアップの株主構成です。

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中田英寿が第3位(発行済株式数ベースでは第2位)の大株主に顔をみせている他、北島康介や為末大も株主になっています。

従業員持株会は設立しておらず、代わりに約30人の従業員にストックオプションを付与しています。

余談ですが、株主の状況、中田の住所はモナコ(モンテカルロ)と記載されています。タックスヘイブンで名高いあのモナコです。

【リンク】
平成20年8月「新株式発行届目論見書」株式会社サニーサイドアップ
http://www.c-direct.ne.jp/hercules/uj/pdf/10102180/00071796.pdf


by yasukiyoshi | 2008-09-01 09:10 | IPO
2008年 08月 29日

ロックアップ条項

ベンチャーキャピタル(VC)など新規上場企業の大株主に対して、株式売却を一定期間制限する条項のこと。あらかじめ大口の売りを抑えて上場直後の株価を安定させる目的で設定する。
(日本経済新聞2008年8月29日 16面 なるほど株式 このコトバ)


【CFOならこう読む】
条項がある場合は上場目論見書の「募集または売出しに関する特別記載事項」に記載されます。

例えば、イナリサーチの場合、次のようなロックアップ条項が設定されています。
「ロックアップについて 本募集及び本売出しに関し、売出人である中川賢司及び中川博司並びに当社株主である八十二3号投資事業有限責任組合、杏林製薬株式会社、田辺三菱製薬株式会社及び若林弘一は、日興シティグループ証券株式会社(主幹事会社)に対して、本募集及び本売出しに係る元引受契約締結日から180日間(以下「ロックアップ期間」という。)は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社株式(潜在株式を含む。)を売却しない旨を約束しております。
 また、当社は、主幹事会社との間で、ロックアップ期間中は、主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利あるいは義務を有する有価証券の発行又は売却(株式分割及びストックオプション等に関わる発行を除く。)を行わないことに合意しております。
 なお、上記のいずれの場合においても、主幹事会社は、その裁量で当該合意内容の一部若しくは全部につき解除し、又はその制限期間を短縮する権限を有しております。」

今年上場した企業のうち、株価の下落が目立つものには、大株主による「ロックアップ条項」が緩い企業が多い(日経ヴェリタス2008年8月17日)と言えます。

7日に上場したベンチャーリパブリックは、柴田啓社長の出身母体である三菱商事が主要株主ですが、「ロックアップ条項」は設定されていません。ベンチャーリパブリックの公募価格3000円に対し8月28日の終値は2040円と大きく値を下げています。

また同じく7日に上場したトライステージには「ロックアップ条項」が設定されているものの、「創業メンバーの取締役3人が16万2000株を売り出した。「創業者利益の確定が早過ぎる」と悪材料視された。」(日経ヴェリタス2008年8月17日)ことにより、公募価格4000円に対し8月28日の終値は2290円と大きく公募価格を下回っています。

結局、オーナー経営者が自らの利得のみのためにIPOしたのではない、という姿勢が大事なのだと思います。

【リンク】
平成20年7月「株式発行並びに株式売出届出目論見書」株式会社ベンチャーパブリック
http://www.vrg.jp/ir/data/00071441.pdf


by yasukiyoshi | 2008-08-29 11:12 | IPO
2008年 08月 08日

ベンチャーリパブリックの初値、公募価格下回る

新規上場株の初値 公募割れ相次ぐ 業績面で投資家警戒
IPOした銘柄の上場初値が公募価格を下回る例が相次いでいる。売り注文が膨らみ売買が成立しないケースもある。景気悪化で内需関連の多い新興企業の業績見通しが懸念されている。
7日に上場した2社のうち、大証ヘラクレス上場の価格比較サイト運営のベンチャーリパブリックは、取引開始直後に公募価格を200円下回る2800円の初値をつけた。
マザーズに上場した通販支援のトライステージは取引開始から売りが膨らみ、売買が成立しなかった。気配値は公開価格を25%下回る3000円まで切り下げたが、なお公募。売出株数の3分の1にあたる差し引き16万株の売り注文が残った。

(日本経済新聞 2008年8月8日 16面)
【CFOならこう読む】
記事によると、
「新規上場時に示した業績見通しを下方修正する企業が多く、投資家の警戒感が高まっている」(中堅証券)
とのことです。

例えば、今年3月にNEOに上場した、カルナバイオサイエンスは、8月6日に2008年12月通期の最終損益見通しを従来予想の1億3800万円の赤字から5億6000万円の赤字へ下方修正することを発表しました。
これを受け、8月7日の同社の株価は値幅制限の下限となる前日比1万円(13.07%)安の6万6500円まで下落して、差し引き77株の売り注文を残してストップ安比例配分となりました。
カルナバイオサイエンスがストップ安比例配分、2008年12月期の業績見通しを下方修正
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000008-tcb-biz
昨日上場した2社は、少なからずこのとばっちりを受けたものと思われます。

【リンク】
2008年08月06日 「連結決算開始に伴う連結業績予想の公表、特別損失の計上および個別業績予想の修正に関するお知らせ」カルナバイオサイエンス株式会社
https://www.carnabio.com/output/irlibrary/40_ja.pdf


by yasukiyoshi | 2008-08-08 09:11 | IPO
2008年 08月 05日

資本政策詳解-トライステージ

【CFOならこう読む】
トライステージの株式上場の概要は次の通りです。
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トライステージは2006年3月設立の創業3年目の会社です。公募価額4000円、2009年2月期予想EPSが298.21円なのでPER13.4倍の水準での株式公開となっています。

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トライステージの主な資本政策は (表2)の通りです。

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創業時からVCであるグローバルブレインの出資を受けているところが特徴的です。1期目の期末日までにVC、従業員等に対する第三者割当増資及びストックオプションの付与を終えており、絵に描いたような破綻のない資本政策になっています。

(表3)はトライステージの株主構成です。
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全員が代表取締役を務める創業者3名が、創業以来ずっと等分の持分を有しています。IPO時に同じ株数の売出を行うことで、各自2億円相当のキャピタルゲインを得ることになります。
IPO後も、3人合計で60%を超える持分を有し、3人の関係に変化がなければ安定した経営を維持できる資本政策になっています。

従業員持株会は設立しておらず、従業員へのインセンティブは現株とストックオプションによっています。

【リンク】
株式会社トライステージ
http://www.tri-stage.jp/


by yasukiyoshi | 2008-08-05 10:40 | IPO
2008年 07月 31日

資本政策詳解-ベンチャーリパブリック

【CFOならこう読む】
ベンチャーリパブリックの株式上場の概要は次の通りです。

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8月は全部で4件IPOがあります。ベンチャーリパブリックの公募価額3000円、2008年12月期予想EPSが129.33円なのでPER23.2倍と最近のIPOの中では比較的高い水準の価額での株式公開となっています。

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ベンチャーリパブリックの主な資本政策は (表2)の通りです。
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2005年6月に連結子会社ベスタグ㈱を8月に連結子会社トラベル・シーオージェーピーを株式交換により完全子会社化しています。

この2社をベンチャーリパブリックは2007年1月1日に吸収合併しています。これにより上場直前期である2007年12月期に抱合株式消滅差益210百万円を計上し、前期までの欠損金を解消しています。

(表3)はベンチャーリパブリックの株主構成です。

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三菱商事、ワークス投資組合(VC)が大株主で、柴田社長は7%の持分を有するにすぎません。

なお、資本政策とは直接関係ありませんが、2005年12月期の財務諸表に後発事象として次の開示があります。
「1 平成17年12月28日、当社の株主より当社に対し、当社と子会社でありますベスタグ株式会社との間の平成17年6月9日付株主総会で株式交換契約の承認を受けた株式交換について、株主総会の招集手続に不備がある等の主張に基づき、株式交換無効確認請求訴訟が提起され、平成18年3月28日に東京地方裁判所にて株式交換無効の判決が出されました。

当社では、本件に関する今後の対応につき、弁護士等の専門家に相談の上協議をしております。

2 平成18年2月10日、当社の株主より当社に対し、当社と子会社でありますトラベル・シーオージェーピー株式会社との間の平成17年7月21日付株主総会で株式交換契約の承認を受けた株式交換について、株式交換の手続に不備がある等の主張に基づき、株式交換無効確認請求訴訟が提起されました。

本件につきましては、弁護士等の専門家と相談の上、平成18年3月22日に東京地方裁判所にて口頭弁論を行いました。第二回口頭弁論が平成18年5月12日に東京地方裁判所にて予定されておりますので、引き続き弁護士等の専門家と相談の上、今後の訴訟対応を検討していく所存であります。」
多少脇が甘い会社なのかもしれません。

【リンク】
株式会社ベンチャーパブリック
http://www.vrg.jp/


by yasukiyoshi | 2008-07-31 08:10 | IPO
2008年 07月 28日

資本政策詳解-アスコット

【CFOならこう読む】
アスコットの株式上場の概要は次の通り。

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8月最初のIPOです。公募価額650円、2008年9月期予想EPSが293.52円なのでPER2.21倍と極めて低い水準の価額での株式公開となっています。

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アスコットの主な資本政策は (表2)の通りです。

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(クリックすると拡大表示されます)

2004年以前に発行された新株予約権付社債の新株予約権行使(分割調整後行使価格41.66円)により、加賀谷社長の上場時シェア50%超(加賀谷インベストメント含む)を確保する資本政策になっています。

(表3)はアスコットの株主構成です。

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従業員持株会、従業員に対するストックオプション共に低水準で、株式による従業員に対するインセンティブはあまり重視していないように見受けられます。

【リンク】
株式会社アスコット
http://www.ascotcorp.co.jp/index.html


by yasukiyoshi | 2008-07-28 11:51 | IPO
2008年 07月 22日

資本政策詳解-イデアインターナショナル

【CFOならこう読む】
約1ヶ月ぶりのIPOです。引受価額2,530円、平成20年6月期予想EPSが204.84円なのでPER12.3倍の水準です。
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イデアインターナショナルの主な資本政策は (表2)の通りです。
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平成17年に2度第3者割当増資を行っていますが、1度目の時の発行価格は25000円、2度目の時の発行価格は410000円と大きく差をつけています。1度目の増資の割当先には橋本社長も含まれています。平成17年6月期のBPSは162,062円、EPSは74,714円です
から1度目の価格は相当に割安であると言えます。

(表3)はイデアインターナショナルの株主構成です。

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上場時点で、橋本社長の持株比率は52.9%(潜在株式含めず)、また社長・役員・従業員合計で60%超(潜在株式含む)の持株比率となっています。従業員持株会はありませんが、従業員39人に対しストックオプションを中心に全体の4.3%の株式を割り当てています。

【リンク】
ライフスタイル商品の提供 I.D.E.A International
http://www.idea-in.com/


by yasukiyoshi | 2008-07-22 11:23 | IPO