吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2007年 06月 18日

日本版預託証券、9月にも解禁へ・三角合併で利用も

政府は発行の条件として、日本語の有価証券報告書を財務局に提出することや、顧客を勧誘する際に売り出す預託証券の数や総額などを記した目論見書を提示することなどを外国企業に義務付ける。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070617AT3S1401116062007.html

(CFOならこう読む)
日本企業としてソニーが米国で初めて預託証券を発行したのが1961年。
それから半世紀たってようやく日本版預託証券が誕生します。
これで外資にとっての三角合併は格段に使い勝手が良くなりますね。

by yasukiyoshi | 2007-06-18 08:16 | M&A
2007年 06月 13日

スティール:買収防衛策「世界最悪」 共同創始者、会見で

スティール・パートナーズの共同創設者、ウォレン・リヒテンシュタイン氏(41)が12日、東京都内で記者会見した。同氏の会見は世界初だという。
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070613k0000m020078000c.html

(CFOならこう読む)
スティールは、日本スタンダードとも言うべき事前警告型の
買収防衛策に相当苛立っているようですね。
情報開示のところで止まってしまって全く進展しない現状に苛立つのは理解できます。

しかし批判すべき対象は、事前警告型の買収防衛策ではなく、
どういう場合に防衛策を発動するかの基準が不明確である点にあります。

基準のベースはライブドア事件のときに高裁が示した
4類型、すなわち①グリーンメーラー、②焦土化目的、③解体型、④LBOです。

しかしこの4類型は極めて不明確で、全く基準となりえないものであると言えます。
例えば「私はグリーンメーラーです」と言って買収を仕掛けてくる人はいないのです。

スティール側の戦略としては、買収防衛策を発動させておいて
この差止請求を裁判所に起こす以外ないように思います。

「経営者を教育しにきた」というリヒテンシュタイン氏の発言は
多くの経営者の癇に障るところだとは思いますが、
それもスティールの作戦のひとつですから、ここは一つ冷静に本質に立ち返り、
スティールのTOBが本当に「企業価値」を破壊するものであるのかを
議論してもらいたいと思います。

by yasukiyoshi | 2007-06-13 08:04 | 買収防衛策
2007年 06月 07日

グッドウィル、コムスン全事業をグループ企業に譲渡

介護サービスの継続と従業員の雇用維持が狙いとしている。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070607AT1G0605K06062007.html

(CFOならこう読む)
行政の許認可の関係でM&Aがスムーズに進まない場合がよくあります。

例えば合併の場合、被合併会社の権利義務は
包括的に合併会社に引き継がれるわけですが、
行政の許認可は新たに取り直さなければならない場合があるのです。

介護事業者の行政処分は、
「両社の役員がかさならないなどの条件を満たせば介護保険上規制の対象外」
とのことですが、
事業譲受会社である日本シルバーサービスは、
グッドウィル・グループの93.8%子会社(2006年12月半期報告書より)であり、
資本の関係は完全に継続しています。

行政の許認可及び処分は、
合併や会社分割の場合も含めて、資本の関係が継続しているなら、
完全に引き継がれることにすればすっきりすると思います。

by yasukiyoshi | 2007-06-07 08:38 | M&A
2007年 06月 01日

HOYA・ペンタックス統合決着

HOYA・ペンタックス、6月上旬にTOB実施で合意
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3L31046%2031052007&g=S1&d=20070531

HOYA、ペンタックスへTOB決議
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT1C31002%2031052007&g=S1&d=20070531

HOYA、ペンタックス買収資金1050億円を全額借入
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070601AT1D3109Q31052007.html

(CFOならこう読む)
当初は合併することで合意していましたが、
迷走2ヶ月の後、HOYAの子会社として買収することになりました。

しかし、なぜもともと統合スキームとして合併を選択したのでしょうか。

合併や株式交換は新株発行を伴うのでダイリューション(希薄化)が生じます
(自己株売却でも同じです)。
TOBなら現金で株式を取得するのでこれを回避できます。

それでも合併で行こうとしたのは、
ペンタックスがHOYAに買収された、という形にしたくなかったからでしょう。
買い手・売り手を明確にせず、対等合併を謳う、
というのが伝統的な日本の統合のやり方です。
ペンタックス側の混乱の結果、売り手・買い手が明確な「TOB=買収」
で決着したのはなんとも皮肉な感じがします。

HOYAは買収資金1,050億円を借入で賄うということですが、
HOYAは無借金&自己資本比率81.6%と強固な財務基盤を持つ会社なので、
これくらいの借入は何の問題もなく実行できますし、
格付けへの影響もないでしょう。

しかし、HOYAはなぜ無借金でなければならないのでしょうか。
借入により自己株取得を大量に行い、資本コストの引き下げを図り、
最適資本構成を達成するといった財務戦略をなぜとらないのでしょうか。

HOYAは業績評価手法としてEVAを使用しているので、
資本コスト引き下げの重要性は十分に理解しているはずです。
この辺りのところは江間CFOにぜひ直接伺ってみたいところです。
いずれにしても、資本コストという点から見ると、
合併ではなく、TOBで良かったと言えます。

その意味では、TOB後の少数株主のスクィーズ・アウトを株式交換ではなく、
キャッシュを支払う形で実行すべきでしょう。

by yasukiyoshi | 2007-06-01 08:55 | 資本コスト
2007年 05月 26日

テーオーシー、ダヴィンチのTOBに反対表明

ビル賃貸のテーオーシーは25日、不動産ファンド運営のダヴィンチ・アドバイザーズが21日から実施している1株1100円でのTOB(株式公開買い付け)に反対すると発表した。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070526AT1D2509E25052007.html


【解きほぐし】この反対は正当なものなのか?
ダヴィンチの狙いがたとえ「実質的な資産の切り売り」であるとしても、
それをもってこのTOBが「企業価値の本質を無視している」ことにはなりません

テーオーシーのMBO価格が800円であるのに対し、
ダヴィンチのTOB価格は1,100円であるのは、
それだけでダヴィンチに企業価値創造の裏付けがあることを意味します。

本当に企業価値についてうんぬんするつもりがテーオーシー経営陣にあるなら、
TOB合戦に持ち込み、お互いの企業価値創造プランを投資家に評価してもらうべきでしょう。

テーオーシーはMBOの締め切り4日前である5月7日に、
突然みなとみらい地区で開発を予定する複合商業施設の資金調達計画を発表し、
近い将来のエクィティファイナンスを臭わせましたが、
これは昨年北越製紙が三菱商事に行った
第三者割当増資と同じ類の買収防衛策を使ってくるということでしょう。

そもそも非公開化とは当面の資金調達の必要性がないからこそ行われるものです。
買収防衛のためのMBOが不成立となるやいなや、
買収防衛のために第三者割当増資を行ってくるとしたら、
そんな会社が企業価値についてうんぬんすべきではないと思います。

by yasukiyoshi | 2007-05-26 10:57 | 買収防衛策