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2008年 12月 04日

TOBにおける資金証明書-シャルレのケース

TOBにおける資金証明書
大証二部に上場しているシャルレのTOBが迷走している。TOBに対するシャルレ取締役会の賛同表明の不適切なプロセスが問題になった。さらに買収資金を融資する意向を示していた銀行が、融資をしないことを決定するという事態も発生した。
(日本経済新聞2008年12月4日17面 大機小機)
【CFOならこう読む】
シャルレのTOBの公開買付者は、有限会社サザンイーグルと有限会社オットーです。
「公開買付者らは、いずれもニューヨーク証券取引所上場会社であるMorgan Stanleyを頂点とするモルガン・スタンレーグループのアジア地域におけるプライベート・エクイティ部門であるMorgan StanleyPrivate Equity Asia(以下「MSPEA」といい、MSPEA並びにMSPEAがファイナンシャル・アドバイザリー業務を提供する投資ファンド及び会社等を総称して「MSPEAグループ」といいます。)がファイナンシャル・アドバイザリー業務を提供する投資ファンドが直接又は間接に支配し、本公開買付けのために設立されたTomorrowが、本日現在において、直接又は間接に発行済株式の100%を保有する特例有限会社です。」
(平成20年9月19日 公開買付けに関する賛同意見表明)
金商法は、公開買付者が十分な決済資金を有することを公開届出書に開示することと、これを証明する書類を公開買付届出書の添付書類とすることを要求しています。

シャルレのケースでは、Tomorrowが、MSPETHから最大33億円の出資を行う用意がある旨の証明書を、また株式会社三菱東京UFJ銀行から最大116億円の融資を行う用意がある旨の証明書(平成20年11月末日までが期限)を取得していました。

三菱東京UFJ銀行の融資証明書は次のようなものでした。
「               融資証明書

弊社は、貴社に対し、現在貴社が計画中である株式会社テン・アローズ(現シャルレ:筆者注)の発行済普通株式に対する金融商品証券取引法(原文通り:筆者注)及び関連法令に基づく公開買付における株式買付資金及びその付帯費用として、融資条件に基づき116億円を限度として融資を行う用意のあることを証明致します。

なお、融資条件の詳細(時期、融資実行の条件、方法、利率及び担保等)については、貴社と当行との間で誠実に協議のうえ決定されます。

なお、この証明の有効期限は2008年11月末日までとし、有効期限経過により自動的に失効するものとします。
                                   以上」
ところが、「平成20年11月19日、株式会社三菱東京UFJ銀行から当該証明書の期限を延長せず、融資を行わないことを決定した旨の連絡を受け」(平成20年12月3日 公開買付者らからの「公開買付期間の延長及び公開買付開始公告等の記載内容の訂正に関するお知らせ」について)、現在までのところ資金調達の目途が立っていません。

三菱東京UFJ銀行の融資証明書は、実務上極めて一般的なものですが、このケースからもわかるように融資の実行を法的に約束するものではありません。

今日の大機小機は、この点について次のような改善案を提示しています。
「シャルレのTOBは不成立の可能性が高そうだ。しかし市場関係者はこれを契機に資金証明書に関する実務の妥当性を検証すべきである。買付者の負担を考慮する必要もあるがより確実な資金証明書の提出を義務付けることは、成功の見込みの薄い公開買付を仕掛けて経営者をどう喝する濫用的買収者へのけん制にもなる。決済資金の公開買付代理人への預託や、国内に拠点を有する金融機関による決済保証の義務付けなども検討されるべきであろう。」
【リンク】
平成20年9月19日「当社株式に対する公開買付けに関する賛同意見表明のお知らせ」株式会社テン・アローズ
https://www.charle.co.jp/company/group/rel_pdf/20080919-1.pdf
平成20年12月3日「公開買付者らからの「公開買付期間の延長及び公開買付開始公告等の記載内容の訂正に関するお知らせ」について」会 社 名 株式会社シャルレ
https://www.charle.co.jp/company/group/rel_pdf/20081203-1.pdf


by yasukiyoshi | 2008-12-04 09:20 | TOB
2008年 10月 27日

MBOにおける「公正な価格」を巡る司法の判断

レックスのMBO 高裁、少数株主の保護重視
焼肉店「牛角」を展開するレックス・ホールディングスの経営陣による買収(MBO)で、強制買い取り価格に不満を持つ個人株主が裁判所に価格決定を申し立てた。
会社側の主張を認めた東京地裁から一転、高裁は9月、会社の提示を上回る価格を妥当と判断し、波紋が広がっている。情報量の面で不利な少数株主に目配りした決定を評価する意見もあるが、M&A実務の現場では戸惑いの声も上がっている。

(日本経済新聞2008年10月27日16面)
【CFOならこう読む】
本件で高裁は、妥当なプレミアムを20%と判断しました。高裁はその理由を次のように説明しています。
「本件MBOと近接した時期にMBOを実施した各社では、公開買付公表前の3ヵ月または6ヶ月の平均株価に16.7&~27.4%のプレミアムを上乗せした価格を買付価格としている」
「プレミアムについては、これらの近接事例に加え、平成12年~17年に日本企業を対象とした公開買付事例85例のプレミアム平均値が27.05%であることなどから、20%のプレミアムを加算した金額が、最終的に株価上昇に対する評価額を考慮した本件株式の取得価格と認めるのが相当」
(出所:商事法務No.1844 51頁)
買収プレミアムを上乗せした価格とは、
「新たな経営者が支配権を獲得して従来と異なる新たな経営方針で経営する場合に予想されるキャッシュフローの現在価値総和である、あらたな「DCFフルバリュー」よりは低い値で、売り手である株主と合意できる程度のプレミアムを含んだ値」(実践M&Aハンドブック 服部暢達 日経BP社)
を言います。

買収プレミアムに影響を与える変数は、取得議決権割合、評価マルチプル、対価の種類、買収手法、案件の敵対性、のれんの大小、税務メリット等無数にあります。つまり個別性が非常に強いと言えるのです。

ですから、平均27.05%だから云々という議論は、売り手株主の判断材料にはなるとしても、公正な価格を決める司法の判断として相応しいとは思えません。

軽々しく20%などという水準を示すことの実務に与える影響を考えてもらいたいと思います。

【リンク】
実践M&Aハンドブック
服部 暢達

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by yasukiyoshi | 2008-10-27 10:28 | M&A
2008年 08月 06日

景気対策は必要か?

基礎収支の黒字化目標 先送りも選択肢 自民幹事長表明 政府と協議へ
自民党の麻生太郎幹事長は5日、日本経済新聞などとのインタビューで、2011年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を先送りする可能性について「選択肢の一つとしてよく協議しないといけない」と述べ、政府・与党内で協議していく考えを明らかにした。政府は財政健全化の観点から先送り慎重だが、与党内には麻生氏に同調する声もある。
(日本経済新聞 2008年8月6日 1面)
【CFOならこう読む】
麻生氏の発言要旨は次の通りです。
【経済対策】
財政再建をやりながら何とかするとなると、かなり手足が縛られる。景気対策が優先されてしかるべきだ。一国財政再建主義や財政再建原理主義になれば経済は活力を失う。パイを大きくして財政再建していくのが当たり前だ。
財政再建をやるための増税はしにくい。景気を刺激する手口はいくつも方法はある。企業がいま設備投資するのだったら設備投資減税とか住宅着工もいろいろ考えられる。貯蓄から投資にお金が回るように考える。膨大な予算を使ってばらまくのとは違う。

【基礎的収支の黒字化目標】
今の経済情勢は前より難しくなっている。プライマリーバランスを優先させるために景気がさらに悪くなるのは取るべき選択ではない。(2011年度にプライマリーバランスを黒字化する目標の先送りは)選択肢の一つとしてよく協議しなければいけない。

【小泉政権時代の新規国債発行30兆円枠】
全然こだわらない。景気は気分が大きい。景気対策を考えるときにはきちんとしたものをやるという姿勢が大切だ。
(日本経済新聞 2008年8月6日 2面)
これに対し、今日の日経新聞大機小機が言うように、
「こうして考えると現状程度の景気の悪化にあえて景気対策を取る必要はない。」
との見解も有力です。

重要なのは正しい現状認識とそれに対し適切な処置を講ずることです。
この点、設備投資の伸びが大きく減少していることを鑑みると、(http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080805AT1C0500E05082008.html)、リチャード・クー氏の「日本経済を襲う二つの波」の次の主張が的を得ているように私は思います。
「今のように企業の過剰債務が解消されたにもかかわらず、彼らが借金拒絶症でお金を借りようとしない局面では、政府としてはなんとかして彼らにお金を借りてもらわなければならない。民間がお金を借りて使うようになるまで、政府はずっと財政赤字を出し続けなければならないからだ。言い換えれば、いま必要な政策は、企業がお金を借りたくなるような環境づくりに資する政策である。
(中略)
したがって今はすべての焦点をそこに当てるべきである。例えば設備投資の償却期間をこれから5年間に限って大幅に短縮するといった政策を打つべきである。当初設定されている期間の半分の期間ですべて償却してもいいということになれば、企業はお金を借りてでも直ちに設備投資をしようとするはずである、その方がずっと得だからだ。」
近い将来大きな設備投資減税がある可能性が高いなら、CFOとしては、現在計画している大規模投資は先送りせざるを得ないですね。

【リンク】
日本経済を襲う二つの波―サブプライム危機とグローバリゼーションの行方
リチャード・クー

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by yasukiyoshi | 2008-08-06 08:50 | MBO
2008年 08月 04日

すかいらーくのMBO その2

サントリーの出資「横川氏続投が条件」 すかいらーく再建問題
主要株主である野村グループなどの投資会社2社から退任を求められているすかいらーくの横川社長は3日、日本経済新聞の取材に応じ、サントリーへの出資要請について、「(サントリーが出した)条件は役員派遣と自らの続投」などと語った。2社は社長交代のため12日に臨時株主総会を開く計画だが、それまで辞任しないことも強調した。
(日本経済新聞 2008年8月4日 9面)
【CFOならこう読む】
7月30日の続きです。

今日の記事で、やはり横川社長はMBOの本質を理解していなかったことが明らかになりました。MBOの本質は、経営権の移動にあります。すでに自らの手に経営権がないことを横川社長は理解していません。

それにしても横川社長は一体何をしたいのでしょうか?

記事によると、サントリーへの出資要請額は数百億円規模とのことです。役員と合わせて議決権の過半数を確保するためには、それくらいの規模になるでしょう。

しかし、経営者は株主を選ぶことはできません。支配権の移動を目的とする第三者割当増資も認められません。

どうしても社長の座に居続けたいのなら、野村の保有する株式を彼らの納得する値段で全部買い取るしかないのです。

【関連過去記事】
2008年7月30日「すかいらーくのMBO」
http://cfonews.exblog.jp/8389257/
【リンク】
経営財務入門〔第3版〕 井手正介・高橋文朗著 日本経済新聞社
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by yasukiyoshi | 2008-08-04 10:00 | MBO
2008年 07月 30日

すかいらーくのMBO

すかいらーく業績不振、創業家社長に退任要求 野村系投資会社
外食大手すかいらーくの主要株主である野村グループなどの投資会社2社が、創業一族の横川竟社長に退任を要求したことが29日明らかになった。国内最大規模のMBO(経営陣が参加する買収)で再上場を目指しているが、ガソリン高に伴う外食不振で業績が改善せず、両社が不満を強めた。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080730AT2C2901P29072008.html
【CFOならこう読む】
MBOとは、多くの場合”経営者による買収”と説明されます。
例えば、あずさ監査法人のウェブサイトではMBOを次のように定義しています。
「企業の子会社や事業部門の経営者、従業員がベンチャーキャピタルや金融機関から資金を調達し、その子会社の株式を買い取ったり、新会社を設立し営業を譲り受けることで独立するという形態のM&Aのことを指します。現代版『暖簾分け』とも言われます。」
しかしMBOもM&Aの1つの手法である以上、当然に支配権の移動を伴います。支配権は経営者に移動するのでしょうか? そうではありません。支配権は資金の大部分を提供するバイアウトファンドに移動するのです。MBOとは、経営者による買収ではなく、経営者もごく一部の持分を取得する形で行われる買収形態なのです。

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(2008年7月30日日経新聞より)

この点、服部暢達氏は著書「M&A最強の選択」で次のように説明しています。
「実はMBOというのは、買収ファンドが相対的に小額の自己資金を株式に投資して、残りの(大半の)買収資金をノンリコース・ローンで調達するLBOの一形態なのだ。買収ファンドが上場企業を無理やりLBOで買収するというとマネーゲームのイメージが強く社会的に批判を浴びかねない場合に、買収ファンドが経営陣に参加をよびかけるのだ」
だから買い手であるファンドは、実績を出せない経営者をクビにせざるを得ません。問題は、経営者自身がこういったMBOの本質を理解しているかどうかです。経営者が、MBOを”経営者による買収”と誤解しているなら、買い手である自分がクビになることを受け容れられないでしょう。

野村ホールディングスは、すかいらーくへのTOB開始を知らせるプレスリリースのサブタイトルを” すかいらーく経営陣によるマネジメント・バイアウトについて”としています。私はこの表現に少なからずいかがわしさを感じます。

【リンク】
平成18年6月8日「すかいらーく株式の公開買付け開始に関するお知らせ」野村ホールディングス株式会社 野村プリンシパル・ファイナンス株式会社
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20060608/20060608_c.html


by yasukiyoshi | 2008-07-30 08:42 | MBO
2007年 11月 22日

サイバードのMBO

ジャスダックから有名企業が1社退出しようとしている。携帯電話サイト運営のサイバードホールディングスだ。同社は先月末買収ファンドと組みMBO(経営陣が参加する企業買収)を実施すると発表。ファンドの子会社が株式公開買付(TOB)と買い取りなどで全株式を取得、上場廃止を目指す。意思決定を迅速化し広告を収入源とするサイト事業を強化するためだという。TOB期間は12月13日までで価格は6万円。過去3ヶ月間の終値の平均値に40.8%のプレミアムを乗せた。今回のMBOでは買い取り価格の妥当性を検討するための「第三者委員会」を設けるなど少数株主に配慮した。しかしサイバード株主の評判は芳しくない。
日経金融新聞2007年11月22日 20面

【CFOならこう読む】
MBOを支持する理由としてサイバードは次のようなリスクを一般株主に負わせることを回避するためであると説明しています。
中長期的な観点で企業価値向上策を実行するための新たなプラットフォーム事業の確立や既存のモバイルコンテンツ事業やコマース事業強化のための体制の整備とアクションを実行するには、短期的には業績鈍化が生じる懸念や、中長期にわたり利益の変動性が高まるリスクがあり、株主の期待に沿えない可能性があります。例えば、広告事業の本格的な収益化に向けたプラットフォーム構築のための大規模な投資を実施すれば一時的なコスト増加やキャッシュフローの悪化を招き、短期的な業績への影響が予想されます。また、コマース事業の競争力向上のための広告投資を拡大しても、同様に業績への影響が予想されます。

私にはこの説明は全く納得できません。株主価値というのは短期的な業績によって決まるものではなく、長期的に会社が稼ぐキャッシュフローによって決まるのです。大規模な投資によるコスト増加や広告投資の拡大をするために上場廃止しなければならないのだとすると、ほとんどの会社が上場を維持することは出来ないでしょう。株式市場はそこまで非効率ではありません。

一般的にMBOはLBOと同義です。
MBOというのは、買収ファンドが小額の自己資金を株式に投資をして、残りの(大半の)買収資金をノンリコース・ローンで調達するLBOの一形態なのだ。買収ファンドが上場企業を無理やりLBOで買収するというとマネーゲームのイメージが強く社会的に批判を浴びかねない場合に、買収ファンドが経営陣に参加を呼びかけるのだ。
(M&A最強の選択 服部暢達 日経BP社)
つまり、LBOの本質はデットの節税効果とデットのもたらす規律にあり、短期的に大きなリターンをバイアウトファンドは狙うことができるのです。参加を呼びかけられた経営陣はこのような投資機会はそうそうあるものではないので、乗り気になってしまうことがままあるのです。サイバードの場合、今年9月には分割を考慮した公募価格(約39,000円)を割り込むほど株価が下落しており、バイアウトファンドがここが好機と考え、投資に踏み切ることにしたものと思われます。

しかし、今まで散々夢と希望を語ってきた日本を代表するベンチャー企業の経営陣が、自己の利得のためにMBOするのだとしたら、とても悲しいと私は思います。

【リンク】
平成19年10月31日「当社株式に対する公開買に関する賛同意見表明のお知らせ」株式会社サイバードホールディングス
http://www.cybird.co.jp/hc/ir/news/pdfs/ir_20071031_v3.pdf

(株)サイバードホールディングス 【JASDAQ:4823】:Yahoo!ファイナンス
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=4823.q&d=c&k=c3&a=v&p=m130,m260,s&t=5y&l=off&z=m&q=c&h=on

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by yasukiyoshi | 2007-11-22 11:47 | MBO
2007年 10月 10日

東芝系の「駅探」、経営陣が買収し独立・ファンドと組む

東芝の子会社で、電車の乗り換え案内サービス大手の駅前探険倶楽部(東京・中央、中村太郎社長)が、MBO(経営陣が参加する買収)を実施する。みずほ証券系の投資ファンドと共同で、買収金額は20数億円になるもよう。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2D09007%2009102007&g=S1&d=20071009

【CFOならこう読む】
いつかは自分で会社を経営したいと考えているビジネスマンは少なくないでしょう。そういう人は、一昔前は“脱サラ”してお店を開くことで自分の城を持つことで夢をかなえました。フランチャイズ店のオーナーになることで独立を果たした人も多くいます。

しかしそこで大きな成功を収めた人はとても少なく、収入的にもサラリーマン時代の年収を下回る場合が多いと聞きます。どうせやるなら、自分の今までやってきたことを引継ぎこれを経営するのが一番成功の可能性が高いでしょう。少し前まではこれを実現する術がありませんでしたが今は違います。MBO(LBO)ファンドと組めば、誰でも“会社の仕事”を“自分の会社”に承継し、経営者として経営することが可能になったのです。

現代の資本主義社会はありとあらゆるものが猛烈に変化していきます。ヒトもモノもカネも物凄いスピードで世界をかけめぐります。そういう時代において最も希少な資源は「経営者」なのです。MBO(LBO)はこの希少な資源たる経営者(CFOも含まれます)を供給するという意味で社会全体にとっても意義があるのです。

ただしMBOにより独立を果たしても“自分の城”という感じはしないかもしれません。経営は逐一ファンドのチェックを受けなければなりません。会社はスタートから借金漬けで、借金を返すために休みなく働かざるを得ません。それなのに持株は経営陣全体で多くても15%程度に留まります。

あげくに5年程度で結果が出せなければクビになります。それでも良い、やってみたいと思う方はぜひMBOファンドの門を叩いてみてください。昨日までやってきた事業をそのまま引き継げるので、ゼロから会社を立ち上げるのと比べるとリスクは小さいでしょう。負債は経営を規律付けするという面もあるし、何より節税効果を享受することができるというメリットがあります。

うまくいけば億万長者。失敗しても持株が紙屑になるだけで持ち家までとられることはありません(個人保証を要求されたら断固ことわりましょう)。

一生をかける価値があるかもしれませんよ。

【リンク】
株式会社駅前探険倶楽部のマネジメント・バイアウト(MBO)について
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2007_10/pr_j0902.htm


by yasukiyoshi | 2007-10-10 08:45 | MBO
2007年 07月 30日

NY株:大幅続落 けん引役のM&Aに冷え込み懸念

低所得者向け高利回り住宅ローンの焦げ付き拡大の余波で、リスクの高いM&Aへの投資を回避する動きが相次いでおり、市場は株価のけん引役を欠いている状態だ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kinyu/news/20070729k0000m020016000c.html

KKR、IPOの延期を余儀なくされる可能性も
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djBRW2415.html

(CFOならこう読む)
日本でも本格的なLBO時代の到来が期待されていますが、
これでKKR等海外LBOファンドの日本での活動は変更を余儀なくされるかもしれません。
LBOは司法がライブドア事件の際に示した、濫用的買収者の4類型の1つとされており、
日本ではうさんくさいものと見なされる傾向がありますが、
その本質は借入によって企業に規律を注入し、収益力を改善するところにあります。

米国では経営者や従業員が企業を買う手法としてLBOが利用されていてこれをMBOといいます。
MBOは、日本のようにオーナー経営者が市場から株式を買い戻す場合だけでなく、
普通の従業員がオーナー経営者になる方法としても利用されています。
日本で起業しようと思ったら、うまくいくかいかないかわからない事業を、
100%自己資金を投入して起業するか、フランチャイズビジネスをやるしかないでしょう。
米国では、採算がある程度読める企業を借入によって買うことができるのです。

日本の中小企業のオーナーは高齢者が多く、事業承継が緊急の課題となっていますが、
この分野でもっとMBOが活用されて良いように思います。
また経営者を輩出するという効果も期待されます。
KKR等は日本への本格参入を明言しており、
日本のMBO(LBO)市場の活性化が期待されるところですが、
米国の状況が記事のような状況で資金調達に窮するのであれば、
日本市場への参入は規模縮小もしくは取り止めにせざるを得ないかもしれませんね。

by yasukiyoshi | 2007-07-30 08:27
2007年 07月 23日

ダヴィンチ、テーオーシーへの敵対的TOBが23日に期限

TOB成立には態度が不明な1割超の投資家の動向が左右するとみられ、
敵対的TOBが日本で初めて成立するかどうか、最後までぎりぎりの攻防が続きそうだ。

http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070723AT1D2100J22072007.html

(CFOならこう読む)
日本初の敵対的TOBが成立するかどうか明日判明します。
ダヴィンチ子会社によるTOC株式の大量保有が判明したのが今年の1月30日、
これに1株800円のMBOを発表したのが4月6日、
その後4月25日にダヴィンチが1株1,100円でTOBを発表した、
6月27日にはTOB価格が1,308円に引き上げられています。

TOCのMBOは明らかに買収防衛を意図していますが、
これが戦略的に誤っていたように思います。
まずMBOで3分の2超の株式取得が出来る目算が立っていたのか、
そうでないならそもそもこのMBOで少数株主の排除が出来ず、
非公開化は成功できなかったのではないのか。

第二にMBOでなく定時株主総会で買収防衛策を導入するべきでなかったか。
ダヴィンチの買収提案はTOCの保有不動産のスクラップ&ビルドを伴うもので、
法廷闘争になったとしてもダヴィンチは“濫用的買収者”として
買収防衛策発動が認められる可能性が高かったのではないでしょうか?

その上で上場のデメリットを強調してMBOを提案するのが良かったのではないかと思います。
この戦略的誤りにより、仮にダヴィンチのTOBが失敗したとしてもTOCの非上場は不可能となり、
ダヴィンチは大株主として経営に対し大きな影響力を行使することができます。

その上で来年の株主総会でプロキシーファイト(委任状争奪戦)に持ち込むことになるでしょう。
敵対的買収者が現れた時点でMBOを行うことのリスクを示す事例として記憶にとどめておくべきでしょう。

by yasukiyoshi | 2007-07-23 08:56 | M&A
2007年 07月 18日

経産省、MBO公正実施へ指針・株買い付け期間30日以上に

指針はTOBルールのように拘束力はないが、MBOに伴う不透明さを減らすとともに、
少数株主の保護に力点を置いており、市場の活性化につなげる狙いがある。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070718AT3S1702817072007.html

(CFOならこう読む)
指針案では社外取締役や独立した第三者委員会にMBO実施を諮問し、
判断を尊重するように求めています。
しかしM&Aにおいては
常に経営者と買収者や株主との間に利益相反があります。

しかも経営者はその企業に関する情報の面で圧倒的に優位な
立場にあります。これを“情報の非対称性”と呼びます。
情報の非対称性があるので、経営者が自己の利益ではなく
企業価値を追及するようにコントロールし監視するためには
それなりの工夫とコストがかかります。
このコストを経済学では、“エージェンシーコスト”といいます。
社外取締役や独立した第三者委員会にかかるコストも
“エージェンシーコスト”です。
これらのコストは、
“情報の非対称性”を解消するためのものですから、
社外取締役や第三者委員会の独立性は極めて高いレベルが
要求されなければなりません。

ところが会社法が規定する
社外取締役の要件は非常に甘いもので、
例えばTBSの社外取締役に毎日新聞の社長が就任することが容認されています。
毎日新聞とTBSの経営陣の利害は大きな意味で一致し、
これと株主や楽天の利益が相反することは十分に考えられるので、
毎日新聞の社長の“社外”性には疑義があるといわざるを得ません。

2005年10月に日本取締役協会が公表した「独立取締役コード」によれば、
主要株主や
重要な取引先は“社外”の要件を満たしません。
ニューヨーク証券取引所やナスダックでは同様の規制に加えて、
経営者の友人も独立性に反するとしています。
この辺りのところは、東京証券取引所にも早急に規制強化をお願いしたいところです。

日本の健全な資本主義の発展には、
社外取締役の果たす役割が極めて大きいと思うのです。

by yasukiyoshi | 2007-07-18 08:39 | M&A