2007年 12月 21日
CFS、イオンに反論する意見書発表 調剤薬局アインファーマシーズとの経営統合を目指すCFSコーポレーションは20日、統合阻止を目指すイオンに対して反論する意見書を発表した。統合を諮る1月22日の株主総会に向けて、イオンは17日からCFS株主に、統合反対を呼び掛ける委任状勧誘を始めており、これに対抗する狙いだ。 【CFOならこう読む】 12月17日にイオンが行ったCFS・アイン統合反対の記者会見の中で示された疑問点について20日CFSは文書により反論を行いました。複数ある論点の中でCFS株の評価の問題が最大の論点でしょう。しかし両社の議論はどうもちぐはぐでうまく噛み合っていないように感じます。 イオンが「CFS 1株の価値を800円以上と考えている。アインファーマシーズとの経営統合では、CFS 1株の株式価値を約500円と評価している。」と指摘する点についてCFS側は次のように反論しています。 ⇒ 株式移転比率の検討には、アインファーマシーズ株式の評価が不可欠です臨時株主総会で問うべきは、CFS経営陣は何故CFSがアイン傘下に入ることがイオングループにとどまるより有利であると判断したのか、そしてCFS株式の評価額はいくらであるとアインと合意しそれを何故CFS経営陣は妥当と考えたのか、ということをCFS株主に説明した上で、CFSの株主がアイン傘下に入ることを選択するかどうかということにあります。 CFS側は株式の評価について、統合比率の妥当性という観点から反論を行っていて、CFS自体の株式評価額の開示を拒否していますが、株主にとっての最大の関心事は、CFSがいくらで売却されるのかにあります。このことはM&Aのスキームが株式交換だろうがTOBだとうが同じことです。 売却額(評価額)を明らかにした上で次に対価の妥当性(アイン株式の評価)について説明する責任がCFS経営陣にはあります。これらの説明責任を果たさず、イオン側にアイン株式の評価の提示を求めるのは全く理屈が通っていないと私は思います。 一方イオン側にも問題はあります。委任状勧誘を行うのであれば、CFSがイオングループにとどまることが有利であることを株主に訴える必要があります。そこでのポイントは結局のところ株価です。800円が理論株価であると言うならその根拠をもっと明確に示すべきだし、それを実現していく覚悟を一般株主に説明する必要があります。そしてそれを実現していくために持分比率をあげていく必要があるのかないのかについても明確にする必要があると思います。 つまり今はバリュエーションのコンテストの局面なのです。判定するのはもちろん株主です。この点本件をシティ・日興の三角合併と比較すると私が言っていることがわかって頂けるでしょう。 議論が噛み合わない理由は、CFS経営陣もイオン経営陣もCFSという会社が自分のモノだと思っているところにあるのだと私は思います。一般株主(少数株主)にとっての価値創造という視点を両陣営が持てば議論がもう少し噛み合ってくると思います。そういう視点を持てば焦点はCFSの株価ということに自ずとなるのですから。 【リンク】 平成19年12月20日「イオンによる経営統合議案反対表明に対する当社の意見」株式会社CFSコーポレーション
by yasukiyoshi
| 2007-12-21 14:07
| M&A
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日々のニュースをCFOはどう読むべきか。CFOに役立つニュースをピックアップし、アカデミック&実務の視点から、そのニュースの本質をわかりやすく「解きほぐし」ます。 by yasukiyoshi ■このブログについて ●「CFOニュース」を始めた理由 ●このブログへのコメントについて ■マーケット情報 2月19日の東京市場 ●日経平均株価 7557.65円(前日比+23.21円) ●株価収益率(PER) 日経225種 前期基準8.70倍(予想68.87倍) ●円/ドル 93.56円~93.58円(前日比-0.98円) ●円/ユーロ 117.81円~117.85円(前日比-1.06円) ●長期金利(10年国債利回り) 1.260%(前日比+0.005%) 2月20日の米国市場 ●NYダウ平均 7,465.95ドル(前日比-89.68ドル) ●ナスダック指数 1,442.82ドル(前日比-25.15ドル) にほんブログ村ランキングに参加しています。 新規公開株情報サイト IPO 2.0 カテゴリ
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