吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 01月 29日

日本企業のROE改善道半ば

企業財務の軌跡?ROE改善道半ば、欧米との差なお大きく
日経金融新聞はバブル経済に沸く一九八七年十月に創刊した。以来、紙面では一九九〇年代初めの歴史的なバブル崩壊と「失われた十年」を経て、日本企業が一応の復活を遂げるまでの二十年間を追ってきた。資本効率を重視する投資家の台頭、時価会計の導入や間接金融からの脱却、頻発するM&A(合併・買収)など、経営を揺るがす大波にもまれながら奮闘してきた日本企業の財務の軌跡と課題を振り返った。
http://www.nikkei.co.jp/ks/topnews/20080128f1b1s001_28.html

【CFOならこう読む】
伝統的に日本企業のROEは低く、年度平均で見ると5%を下回る年もありました。ところがここ最近日本企業のROEは着実な改善傾向を示し、2006年3月期以後は2年連続で9%台に達しています。日本企業は過去20年バブルの負の遺産とも言える「負債・雇用・設備」の3つの過剰を解消し、収益構造は格段に筋肉質になりました。

ROE=売上高当期利益率×総資産回転率×財務レバレッジに分解できますが、負債返済に伴い財務レバレッジは20年前の4倍前後から2007年3月の2倍台に低下したのに対し、3つの過剰の解消と円安効果により、バブル崩壊以後1%前後で推移していた売上高当期利益率は2004年3月期から急上昇、2007年3月期には3.3%に達しています。つまり財務レバッレジの低下を売上高当期利益率の上昇が上回り、ROEの改善が進んだのです。

しかし欧米企業のROEの水準は20%に届くような水準にあり、これと比較すると日本企業のROEはいまだ10%近く低い水準にとどまっています。日本企業はようやくバブル期の負の遺産を整理し終えたわけですが、これから欧米の水準まで資本効率を高めて行くことができなければ投資家(日本人、外国人を問わず)の日本株式への興味はますます小さくなるでしょう。それにしてもROEを今の倍にまで増加させるのは大変なことです。価値創造の最大の担い手は経営者ですが、ここのリソースが決定的に不足している今の日本の状況では到底不可能であると私は思います。

【リンク】
 なし

by yasukiyoshi | 2008-01-29 08:27


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