2008年 02月 23日
みずほ総合研究所が非上場の有力企業を対象に実施したアンケート調査で、創業家が代表権を持つ「オーナー企業」では半数以上が取締役や監査役に社外の人材を置いていないことが分かった。従業員が社内の不正行為を知らせる「社内通報制度」がある企業も二割にとどまり、企業統治の課題が浮き彫りになった。従業員30人超で売上高10億円超の非上場企業6000社を対象に昨年10月調査し、1702社から回答を得た。回答企業の7割がオーナー企業。【CFOならこう読む】 アンケート調査では、オーナー企業の長所として「迅速な意思決定ができる」(63.5%)、「より長期的視野に立った経営ができる」(48.6%)、「トップの責任で大きなリスクを取ることができる」といったところが上位にあげられています。 これらは上場企業であっても同様であり、こういった長所がある以上オーナー企業の上場を否定すべきでないと思います。一方調査では、「人事の停滞等組織の硬直化を招きやすい」(25.0%)、「公私の境目があいまいになりがち」(23.1%)といったオーナー企業の弱点があげられています。こういった弱点は「一定の見識のある、しかも自分にとって目の上のたんこぶになりうる人物」(上村・金児著 「株式会社はどこに行くのか」279ページ)を社外取締役や社外監査役に据えることにより相当程度緩和されると考えられますが、オーナー企業では半数以上が取締役や監査役に社外の人材を置いていません。 また社外取締役がいたとしてもその多くが社長の縁故や友人で、「いざとなれば社長にとって恐い行動を取る人」(同上)ではありません。「いざとなれば恐い行動をとりうる人に「現に信任されている」ということが経営者としての権威を高めるのですが、そこまで腹をくくったオーナー経営者は少数だと思います。 調査結果は、内部ガバナンスに係る制度・仕組みの導入を通じて、オーナー企業の競争力が引き上げられる可能性を示唆しており、オーナー企業は、その採用を真剣に検討すべきであると思われます。 【リンク】 「オーナー企業の継続的発展に向けて」みずほ総合研究所
by yasukiyoshi
| 2008-02-23 17:49
| コーポレートガバナンス
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