吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 03月 14日

ドル不安の行方

対ドル以外は「円安」 総合的な実力05年の水準
円の対ドル相場は十二年ぶりの高値水準になったが、対ドル以外の通貨も含めた円の総合的な実力を示す実効為替相場はまだ二〇〇五年ごろの水準にある。日本からの輸出比率に応じて二十二カ国の通貨との相場を加重平均して算出している日経通貨インデックス(二〇〇〇年=一〇〇)は十三日時点で前日比一・二ポイント高い九二・一。これは〇五年九月の水準だ。
今の相場は「円の独歩高」というより、米国経済やサブプライムローン問題の懸念に伴う「ドル安」という側面が強いことが分かる。
これとは別に、日銀が月次で算出している実質実効為替レート(各国の物価の格差も反映)も、昨夏から上昇基調にあるが、二月時点では〇六年十一月以来の水準にとどまっている。
(日本経済新聞2008年3月14日 3面)
【CFOならこう読む】
「円高」ではなくドル安です。これを読み違えてはいけません。

昨年10月17日に私はドルの信認が揺らいでいるということを書きました。
http://cfonews.exblog.jp/6638557/

どうやらあの時危惧した方向に少しずつ向かっているように思います。
あの記事の中で紹介した「資本主義から市民主義へ」の中で岩井克人氏は基軸通貨としてのドルの脆弱性を指摘した後次のように続けています。
―ドルが揺らぐと、これは本当に世界危機になる。そのなかで日本はどうなるか。

岩井 心中でしょう。ユーロのほうは大丈夫だと思っているだろうけれど、ユーロがもっているユーロダラーというのは膨大です。ドル危機が本格化したら、ユーロだって危機に陥る。

―下手をすると日本がもっているドルも紙切れになるかもしれない。

岩井 このゲームがどうなるかが、ここ10年のポイントでしょう。理想的に言えば、世界中央銀行ができるしかないんだけれど、これはたいへんに難しい。ヨーロッパのなかでさえ、ユーロ中央銀行でだれが主導権をもつか、そしてユーロ中央銀行と各国の経済政策にかんする主権との関係がほとんど解けない大問題になっているわけですから。だから、ここしばらくは二面作戦でいくよりほかはないと思います。ひとつは、書生的な言い方ですが、たとえいくら困難であろうとも、世界中央銀行への足がかりとなるような国際機関や国際制度を、少しず地道に作り上げていくことです。もうひとつは、ひどくコンサバティブな言い方ですが、ほんとうの世界通貨ができるまで、なんとかドル基軸通貨体制をもたせていくこと。
焦点は当面いかにドル基軸通貨体制を支えるかにあるのです。そしてその当面というのは”ここ10年”などという気長な話ではなく、もっと緊急性を帯びてきている、と私は感じています。

【リンク】
日経インデックス
http://rank.nikkei.co.jp/keiki/nkidx.cfm


by yasukiyoshi | 2008-03-14 09:20 | 為替


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