吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース

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2008年 10月 23日

モック増資 発行済株式数は最大で5.5倍に

増資などで11億円調達
結婚式場運営のモックは22日、第三者割当増資と新株予約権の発行で最大11億7千4百万円を調達すると発表した。発行済み株式数は最大で5.5倍に増える。
一方、東京証券取引所は同日、新株発行を伴う資金調達に際し流通市場の機能や株主の権利に配慮するよう上場会社に文書で要請した。

(日本経済新聞2008年10月23日14面)
【CFOならこう読む】
会社法は授権枠(発行可能株式数)を発行済株式数の4倍に制限しています。それにも関らず5.5倍まで株式を発行できるのは何故でしょう。

この件は昨年9月8日(http://cfonews.exblog.jp/6422299/)にお話しましたが、こういうことでした。

昨年6月30日現在の発行済株式数は134,263株、授権枠は300,000株であったのを昨年9月26日の定時株主総会で、まず授権枠を537,000株に拡げた上で、10株を1株とする株式併合を実施しました。これにより、当社の発行済株式総数は134,263 株から13,426株となり、授権枠に対して約523,000 株分の余裕が生じることになり、大幅に希薄化を伴う新株発行が可能になったのです。

2008年10月22日現在、モックの既発行株式数は88,552 株なので、発行枠は537,000株-88,526株=448,474株の余裕があるので、今回の最大400,000株の新株が発行される資金調達が実行できるのです。

東証は、昨日全ての上場会社宛に文書を送付し、この件について問題視していることを次のように言明しています。
多くの既存株主に株主としての地位を失わしめる大幅な株式併合を実施したことから、流通市場への混乱をもたらすおそれがあるとして、以前、当取引所が公表措置を行った上場会社が、当該株式併合によりいわゆる授権株式数が大幅に拡大したことを利用して、今般、通常を大きく超える規模の新株等の発行を行う事例が発生しております。
当取引所としては、一般に、株主の持分割合の著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスは、仮に法令に違反するものでないとしても、株主の権利を損なうおそれがあるものとして、強く憂慮しております。」
会社法の法改正が間に合わないのなら、市場ルールにより今すぐにでも規制すべきだと私は思います。

【リンク】
2008年10月22日「第三者割当により発行される株式および新株予約権の募集ならびに支配株主、筆頭株主および主要株主の異動に関するお知らせ」株式会社モック
http://www.moc.co.jp/ir/library/pdf/other/081022.pdf

2008年10月22日「著しい希薄化を伴うエクイティファイナンスについて」株式会社モック
http://www.tse.or.jp/news/200810/081022_c.pdf



by yasukiyoshi | 2008-10-23 07:47 | 資金調達


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