2009年 01月 31日
冷凍食品「JT」ブランド廃止 ギョーザ事件で販売不振続く 日本たばこ産業(JT)は今春、冷凍食品で「JT」ブランドを廃止する。1月30日でグループ企業が輸入した中国製冷凍ギョーザの中毒事件から1年たったが、深刻な販売不振が続きブランド維持は困難と判断。家庭用冷食は子会社の加ト吉のブランドに統一する。同事件以来、相次いだ食の安全問題の影響で、商品から有名ブランドがなくなるのは初めて。【CFOならこう読む】 記事によると、 「JTはイメージの回復は困難とみて、生産は続けるものの2月にもJTブランドの包装は一部業務用を除いて廃止。4月頃から同ブランドは店頭からなくなる見込み。家庭用は3月に31品のうち5品を廃止したうえで、ジェイティフーズの親会社に当たる加ト吉にブランドを統一する。」ということです。 JTは2007年12月にTOBにより加ト吉株式を93.88%取得し、加ト吉は2008年4月に100%子会社化されています。その後、両社の冷凍食品事業を含めた加工食品事業および当社の調味料事業について、加ト吉に集約した体制のもとで、運営されています。 したがって、今回のJTブランド廃止の決定も実態に即したものと言えるのですが、消費者から見ると、中身は何も変わらないのに、パッケージのみ変える誤魔化しであるととらえられる恐れがあると思います。その場合加ト吉ブランドも大きく毀損するリスクがあると私は思います。 【リンク】 なし ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-31 12:01
| M&A
2009年 01月 30日
東証、プロ向け市場の概要発表 上場基準大幅に緩和 東京証券取引所は29日、新たに創設するプロ投資家向け新市場「TOKYO AIM(エイム)」の概要を発表した。上場に際しては一定の利益などの数値基準を設けないほか、審査は証券会社に委ねるのが特徴。ルールを大幅に緩和して国内外の新興企業を呼び込む。十分に資金の行き届かない小規模企業の育成につなげる狙いだが、市場は冷え込んでおり逆風下の船出になりそうだ。【CFOならこう読む】 東証は、TOKYO AIM創立の目的をプレスリリースの中で次のように説明しています。 「TOKYO AIM創設の目的は、アーリーステージにある日本およびアジアの成長企業のニーズを反映した新たな資金調達の選択肢と幅広い投資家層へのアクセスを提供すると同時に、国内外のプロ投資家に新たな投資機会を提供することにあります。TOKYOAIMは、昨年の金融商品取引法改正により導入されたプロ向け市場制度を活用して創設されます。TOKYO AIMは、金融庁からの免許取得を前提に、本年春に開設の予定です。」新興市場を舞台に行われた数々の事件、不祥事を思うと、参加者をプロに限定し、アーリーステージにある将来性ある企業を資金調達の面でサーポートすることを目的とする新市場の創設は歓迎すべきものと思います。 ただし、プロの投資家の後ろには多数の一般投資家がいるわけで、彼らがリスクの負担を強いられないよう十分配慮すべきであるとも思います。 間違っても、上場基準緩和の趣旨がどんな会社でも上場できる、ということにはならないよう、NOMADと呼ばれる「指定アドバイザー」となる証券会社の選定・監督・処罰は厳格に行う必要があります。 TOKYO AIMの概要は次の通りです。 ![]() (2009年1月30日 日本経済新聞より) 上場申請時にどのような書類が要求されるかが気になるところですが、有価証券上場規程(案)及び施行規則(案)によると次の通りです。 「新規上場申請者は上場申請時に、次の各号に掲げる書類を提出するものとする。これを見る限り、監査は何年必要か定められていないようです。創業間もない会社の上場も可能とするという趣旨なのかも知れません。 【リンク】 TOKYO AIM ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-30 09:35
| IPO
2009年 01月 29日
小規模子会社の解散 公表不要に 「コマツ処分」機に見直し 金融商品取引法改正に伴う内閣府令の改正で、子会社解散に関するインサイダー規制に軽微基準が新設された。業績などへの影響の小さい小規模子会社なら解散しても規制の対象外となる。東京証券取引所も業務規定を見直し、企業は適時開示せずに済む。インサイダー条項の緩和は珍しい。規制や開示の在り方に一石を投じている。【CFOならこう読む】 実務上重要な改正であると思いますので、条文の内容を具体的に書き記しておきます。上が金商法改正に伴う内閣府令の改正、下が東証の上場規定施行規則の改正の内容です。 ■有価証券取引等の規制に関する内閣府令の改正-インサイダー取引規制の軽微基準の見直し【リンク】 平成20年12月「平成20年金融商品取引法改正に係る政令案・内閣府令の概要」金融庁総務企画局 http://www.fsa.go.jp/news/20/20081202-1/1-02.pdf 「平成20年金融商品取引法等の一部改正に伴う業務規程等の一部改正新旧対照表」 http://www.tse.or.jp/rules/regulations/081211_a2.pdf ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-29 10:19
2009年 01月 28日
08年度ピークの3分の1 上場落ち込みVCが慎重に 経済産業省の調査機関によると、国内主要ベンチャーキャピタル(VC)による2008年度(2008年4月-2009年3月)の新規投資額は前年度の半分の水準に落ち込む見通しだ。株価低迷で投資回収が難しくなっているため。設立間もない開発型ベンチャーはVC依存が高い企業が多く、景気低迷が長引けば財務戦略の練り直しを迫られる企業が増えそうだ。【CFOならこう読む】 「ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が2008年度の「ベンチャーキャピタル等投資動向調査」をまとめた。国内主要90のVCの2008年度新規投資額(見通し)の合計は1000億円。2007年度比48%減で、ピークだった2006年度の3分の1にとどまる。主因は株式市場の低迷にある。2008年(1-12月)は新規株式公開(IPO)は49社と前年の半分以下。VCは投資先企業を上場させて株式を売却し、資金を回収するのが難しい 状況になっているためだ。 実際に各社が2007年度に実施した投資回収の手法について聞いたところ、「IPO株の売却」との回答は35.1%と前年度比9.8ポイント下落。逆に「外部売却や経営者への売り戻し」は、38.1%と8.3ポイント上昇している。 新規投資先企業の設立年数は「設立5年未満」が47.6%と最多だった。「5年以上10年未満」(24.9%)を含め、10年未満の比較的早い時期での投資が7割超を占める。」 (前掲紙) これだけIPO市場が低迷しているのは、逆に言うとシード期又はスタートアップ期ベンチャー企業への投資の絶好の好機であると言えます。銀行の貸出姿勢が厳しい中、資金不足にあえぐベンチャー企業が、VCに期待する部分は非常に大きいと思います。野口悠紀雄氏が言うように今必要なのは、「日本経済の構造大転換」であり、また「企業家にとって今の経済危機は続行のチャンス」です。そしてここに血液たる資金と経営ノウハウとガバナンスを供給するVCの存在は今こそ重要であると私は思います。 【リンク】 財団法人ベンチャーエンタープライズセンター ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-28 08:58
| IPO
2009年 01月 27日
国際会計基準、09年度から利用可能 会計審方針 金融庁の企業会計審議会(長官の諮問機関)は2009年度(10年3月期)から「国際会計基準」の適用を企業に認める方針を固めた。同基準は欧州を中心に100カ国以上で使われており、産業界から早期の利用を求める声が出ていることに対応する。 【CFOならこう読む】 海外で起債している一部の企業にとっては、IFRSを選択できるようになることで、コストが削減できるといった一定のメリットは生じると思いますが、一方、原則主義であるIFRSをそのまま日本に導入しても実務は動かないだろうなあと思う部分もあります。適用指針、実務対応報告、委員会報告等細かい規定に基づき日本の実務は回っているのです。また投資家サイドからは比較可能性という観点から日本基準との相違について、詳細な開示を要求されることが予想され、結局コスト面で見ても割高になってしまうことも考えられます。 私は2011年までコンバージェンスを進め、同時に日本企業向けのIFRS適用指針等の整備を進め、米国と同様2014年以降段階的にIFRSを義務付ける方向で行くのが良いと思っています。そうでないと内部統制のときと同様、またぞろ雨後の竹の子のようにハゲタカがうようよ現れ、億単位のカネを巻き上げられることになりかねません。コンサルタントに無駄なカネを使わなくても、全ての上場企業が無理なくIFRSに移行できるよう十分に時間をかけた工程表とすべきであると私は思います。 【リンク】 なし ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-27 08:57
| 会計
2009年 01月 26日
新規株式公開(IPO)から間もない企業に自社株買いなどで株価をテコ入れする動きが目に付く。IPO銘柄は流通する株数が少なく、自社株買いは売買機会の減少につながる可能性もある。だが売買が盛り上がらないため、買い手として登場せざるを得ない事情もあるようだ。 【CFOならこう読む】 昨年11月11日に自社株買いを発表した後、一時的に株価は上昇しましたが、その後は公募価格2530円の3~4割といった水準で推移しています。 ところで、イデアインターナショナルは、1月20日に業績の下方修正を発表しています。下方修正に至った理由を会社は次のように開示しています。 「売上高につきましては、オーガニックコスメブランド「アグロナチュラ」製品の成分不表示による自主回収、及びそれに伴う生産管理体制の見直しを行ってまいりましたが、年末の需要期に製品の投入が間に合わず、前回発表の業績予想数値を下回る見込みであります。また収益面につきましても、販売管理費を削減したものの、売上高の落ち込みの影響が上回り、営業利益、経常利益とも前回発表の業績予想数値を下回る見込みであります。」年末の需要期に製品の投入が間に合わないという事態が、自社株買い公表時点で全く予想されていなかったのか、仮に相当の確からしさで予想されていたなら、公表した後に自社株買いを行うべきではなかったかとの疑念が生じるところです。 ![]() 【リンク】 平成21年1月20日「平成21 年6月期 第2四半期累計期間(非連結)の業績予想の修正並びに第2四半期期末配当予想の修正に関するお知らせ」株式会社イデアインターナショナル ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-26 10:08
| 自社株取得
2009年 01月 24日
アスクル 筆頭株主から自社株買い アスクルは23日、同社株式の40%を保有する筆頭株主のプラスが株式の一部を売却するのに対応し、自社株のTOBを実施すると発表した。市場で売却された場合の株価への影響を考慮した。発行済株式の25%にあたる1100万株を約180億円で取得する。買付価格は1638円で23日終値を約4%下回る。買付期間は26日ー2月24日、1100万株すべてをプラスが売却した場合、保有比率は約15%に低下する。プラスグループの議決権ベースの保有比率も5割超から約37%に下がる取得した株式の約半分は早期に消却する。【CFOならこう読む】 自社株取得の目的をアスクルは次のように説明しています。 「当社は、当社株式の流動性及び市場株価への影響を鑑み、プラス株式会社が売却を希望する株式につき自己株式として買い受けることは資本効率の向上及び総合的な利益還元に繋がるものと判断いたしました。本公開買付けによってプラス株式会社の当社株式の所有割合が低下した場合、プラス株式会社の当社株式の所有割合の低下は、当社の経営の自主性及び独立性、並びに購買代理としての中立性をより一層強化し、「ソロエルサービス」を始めとした当社の次世代ビジネスモデルの展開を促進させ、当社事業の成長を加速させるものと期待しております。また、本公開買付けの応募状況に応じて、当社が法人税法上の特定同族会社の対象から外れることにより、将来の事業年度における当社の留保金課税にかかる負担が軽減される可能性があります。」アスクルはプラスの事業部門を引き継ぐ形で発足しましたが、保有比率の低下で、プラスからの独立性が高まることになります。 自社株取得の手法としてTOBを選択した理由及び価格の根拠については次のように説明されています。 「自己株式の取得の手法については、株主間の平等性、取引の透明性、市場における取引状況等を総合的に判断し、公開買付けの手法によることが適切であり、本公開買付けの買付価格の決定に際して、基準の明確性及び客観性を重視し、基礎となる当社普通株式の適正な価格として市場株価を重視するべきであると考えました。また、本公開買付けに応募せずに当社株式を保有し続ける株主の利益を尊重する観点に立って、資産の社外流出をできる限り抑えるべく、市場価格より一定のディスカウントで買い付けることが望ましいものと判断いたしました。」自社株取得の手法としては、ToSTNeTによることもできますが、1日の取引数量に制限がある上、例えばToSTNeT-2によった場合は、終値取引でかつ時間優先の仕組みのもとで、他の株主の取引機会を確保されているため、プラスの売却予定株数をすべて買い取ることが保証されません。 TOBの場合も、応募株数が買付上限を超えた場合、按分比例により買付が行われるため、プラスの売却株数が予定を下回る可能性があります。しかし、本件は、ディスカウント価格によりTOBを行うことで、他の株主の応募を回避するという手法がとられています。アスクル側はこれで良いのでしょうが、大株主であるプラス側はディスカウントTOBに応ずることによって株主から訴えられるといったリスクはないのでしょうか? 恐らくない、というのが私の結論です。その理由は次の通りです。 TOBには税務上のメリットがあるからです。ToSTNeTも含め市場取引を行うと、プラスには株式譲渡益が計上されますが、TOBによった場合には、相対での自社株取得になるので、買付価格が1株当たりの資本金等の額を超過する部分はみなし配当となり、この部分は100%益金不算入となります。 したがってTOBによると、プラスの譲渡益課税は大幅に圧縮できるのです。多少のディスカウントを受け入れても、税引後のキャッシュフローは、市場で売却するより多く獲得できるのです。ですからプラスにとってもディスカウントTOBに応じることには経済合理性があるのです。 余談ですが、ディスカウント率の決定の根拠として次のような説明がなされていることに若干目を惹かれました。 「当社は、本公開買付けにおける普通株式の買付価格を決定するにあたり、フィナンシャル・アドバイザーであるGCA サヴィアン株式会社より、当社の適正な株式の時価を算定するためには、本公開買付けを決議する取締役会決議直前の株価のみならず一定期間の株価の推移についても勘案すべきとの助言を受けるとともに、平成18 年以降の発行者による株券等の公開買付けにおいて買付価格に付されたディスカウント率は概ね10%以内であるとの助言を受け、これらを総合的に勘案し、買付価格を決定しております。」【リンク】 平成21 年1 月23 日「自己株式の取得及び自己株式の公開買付けに関するお知らせ」アスクル株式会社 ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-24 11:18
2009年 01月 23日
旧ライブドア、フジに310億円支払い 株急落巡り損害賠償和解 ライブドア(現LDH)の第三者割当増資を引き受けたフジテレビジョン(現フジ・メディア・ホールディングス)が、ライブドア事件で同社株価が急落し損害を受けたとして、LDHに約345億円の損害賠償を求めた訴訟は22日、LDHがフジ側に約310億円を支払うことで東京地裁で和解が成立、両社の訴訟は終結した。【CFOならこう読む】 フジは、2005年年5月23日にLDHの第三者割当増資に応じて払い込んだ金額(約440億円)とフジが取得した全株式を、2006年3月16日に売却した金額(約95億円)との差額である345億円及びそれに対する遅延損害金について、旧証券取引法第18条(虚偽記載のある有価証券届出書の届出者の賠償責任)に基づき、東京地方裁判所においてLDHに対して損害賠償を求める民事訴訟を提起していました。 今般、東京地方裁判所から職権による和解勧告及び和解案の提示があり、昨日、LDHとの裁判上の和解が成立しました。その内容は次の通りです。 ■ライブドアは、当社に対し、損害賠償金として、2009年2月10日までに金310億5442万8000円を支払う。 LDHは、和解案を受諾した理由をプレスリリースで次のように説明しています。 「当社が東京地方裁判所からの和解勧告を受諾することとした主な理由は、1)提示された和解案は原告請求額を減縮した金額の支払を内容とするものであり、当社主張の一部が実質的に認められたものと評価できること、2)現在当社が係争中である他の損害賠償請求訴訟と異なり、本件は、旧証券取引法第18 条・19 条に規定されている新株の募集に応じて取得した者への賠償責任であること、3)本件の早期解決により、当社の訴訟費用および労力を節減し、他の損害賠償請求訴訟に注力して取り組むことができること、の3点です。」LDHは、この和解金額を堀江元社長ら旧経営陣に賠償請求する方針です。 【リンク】 平成21年1月22日「和解による訴訟の解決のお知らせ」株式会社フジ・メディア・ホールディングス ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-23 09:44
| 資金調達
2009年 01月 22日
テクノ菱和、今期末 1株を1.1株に分割 16年ぶり最高益更新株主への配分手厚く テクノ菱和は2009年3月期末の株主を対象に、1株を1.1株に分割する見通しだ。今期の連結純利益が土地売却益の計上などで16年ぶりに最高を更新するのがほぼ確実なため株主への利益配分を手厚くする。分割は1997年9月以来。1株配当は前期比0.5円増の年16円(期末に9.5円配)の計画で、分割を考慮すると1.45円の増配となる。【CFOならこう読む】 株式分割は株数が1.1倍になる一方、1株当たりの価値(株価)は1/1.1に引き下げられるので、株主価値に与える影響はありません。株主還元が目的なら、株式分割をせずに1.45円だけ1株配当を増やせばそれで足りるはずですが、同時に株式分割をするのはどういう意味があるのでしょうか? 新聞記事は、この点、「会社は発行済み株式総数を増やして流動性の向上につなげたい考え」と説明しています。 それはそれで嘘ではないとは思いますが、別の理由もあると思います。 安定配当を基本方針とする日本の多くの上場企業は、儲かったら増配するのが困難です。一旦増配するとそれを継続することが求められるからです。 テクノ菱和も安定配当を行うことを次のように宣言しています。 「株主に対する配当政策は、経営の最重要課題の一つと認識し、長期的な視点に立って、財務体質の充実、競争力保持のため、内部留保の確保に意を用いつつ、配当性向を勘案して利益還元を図るとともに、安定した利益配当を維持することを基本方針といたしております。したがって増配をする場合にも1株配当の増加の幅は極力小さくし、株式分割を併せて行うことにより実質的な増配をアピールするという方法が好まれるのです。 この方法によれば、将来仮に利益水準が低下したとしても、減配をせず、株式併合により配当減資を減らすことができるというのも経営陣に好まれる理由の一つでしょう。 【リンク】 なし ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-22 09:16
| 配当政策
2009年 01月 21日
「親子上場」が減少 経営効率化狙い完全子会社に 親会社と連結子会社とがともに上場する「親子上場」の件数が減っている。2008年12月末時点で399件と2008年3月末から13件減少した。親会社がグループ経営の効率化を狙って完全子会社にするケースが目立つ。【CFOならこう読む】 EVAの伝道師として有名なベネット・スチュワートが、自著『EVA創造の経営』の中で、子会社の部分公開は親会社の株主にとってデメリットが大きいと結論づけています。 その理由として次のものを挙げています。 ①公開を維持するためのコストが重複米国では子会社の部分公開は少数の利用に止まり、優良大企業の間では子会社は100%所有するというのが大原則です。 今日の記事にあるように、日本では子会社の知名度向上や株式売却益などを目的に親子上場は1986年から2007年3月末はほぼ一貫して増えて来ました。 ![]() 「減少の背景には、利益相反を招く可能性があるとして、東証などが2007年秋に親会社と事業内容などが類似した主要子会社の上場を慎重に判断する方針を示したことがある。」(前掲紙)東証は、2007年10月30日に、「中核的な子会社の上場に関する証券取引所の考え方について」で次のような方針を示しています。 「昨今、親会社と実質的に一体の子会社、若しくは中核的な子会社(親会社グループの企業価値の相当部分を占めるような子会社)の上場意向が散見されております。子会社公開は、親会社の資金調達を目的としている場合が多いと思われますが、子会社上場の際、高PERがつく場合、それは子会社の高成長性が評価されたもので、一般投資家は自己の資金がこの高成長事業に投入されることを期待して投資するのです。したがって親会社にキャッシュを横流しにするだけの子会社公開は、一般投資家との間で重大な利益相反が生じます。したがって事業ドメインが類似しているか否かに関わらず親子上場には問題があると私は思います。 【リンク】 2007年10月30日「中核的な子会社の上場に関する証券取引所の考え方について」株式会社東京証券取引所 ▲
by yasukiyoshi
| 2009-01-21 10:33
| コーポレートガバナンス
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![]() 日々のニュースをCFOはどう読むべきか。CFOに役立つニュースをピックアップし、アカデミック&実務の視点から、そのニュースの本質をわかりやすく「解きほぐし」ます。 by yasukiyoshi ![]() ■このブログについて ●「CFOニュース」を始めた理由 ●このブログへのコメントについて ■マーケット情報 2月19日の東京市場 ●日経平均株価 7557.65円(前日比+23.21円) ●株価収益率(PER) 日経225種 前期基準8.70倍(予想68.87倍) ●円/ドル 93.56円~93.58円(前日比-0.98円) ●円/ユーロ 117.81円~117.85円(前日比-1.06円) ●長期金利(10年国債利回り) 1.260%(前日比+0.005%) 2月20日の米国市場 ●NYダウ平均 7,465.95ドル(前日比-89.68ドル) ●ナスダック指数 1,442.82ドル(前日比-25.15ドル) ![]() にほんブログ村ランキングに参加しています。 新規公開株情報サイト IPO 2.0 カテゴリ
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